ゲストは、睡眠健康指導士の田口里奈さん。テーマは「質の良い睡眠をとるための空間づくり」。
睡眠の質を上げるために食事や快眠グッズ、寝る前のルーティーンなど、いろいろな快眠法を試してみたけど「そんなに変わった気がしない・・・」みたいなかた、いらっしゃいませんか?
そこで考えてみてほしいのが、家や部屋の空間とインテリアです。ここを少し変えるだけで、生活習慣に負担なく、睡眠に良い変化が生まれる可能性があります。今回は、「眠りを良くする空間」をどうやって作るのかをご紹介します!
朝の日光を浴びるために「朝食用のスペース」を作って!
朝、日光を浴びることで、夜に睡眠ホルモン「メラトニン」が分泌されるということはご存知の方が多いかと思います。ただ、なかなかじっくりと日光を浴びるということは、時間がなくなってしまう朝だと特に難しいですよね。その問題を解決できるのが「朝食用のスペース」です。
朝ごはんを食べながら日光を浴びることで、半強制的に午前中の日光を浴びることができます!もちろん、ダイニングテーブル自体を窓の近くにレイアウトしても構いません。部屋の広さでダイニングを窓のそばに作るのが難しい方は、小さなスペースでもいいので作ってみてください。
日光を浴びる時間としては、15分~30分くらいが目安です。
朝ごはんを食べる時間だけって考えたら、忙しい朝でも捻出できそう。また、朝食を抜いてしまうと、日中の眠気が増し、夜の睡眠の質が低下するという研究結果も出ています。
朝食にはただお腹を満たす以外に、日光の摂取時間、また、睡眠ホルモンのメラトニンの原料となる「トリプトファン」を含む食品を体に取り込む絶好の機会です。
トリプトファンは、タンパク質を構成しているアミノ酸のひとつです。
豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、卵などを中心にしてみてください。
また、朝ごはん以外の時間でも午前中は特に日光が摂取できる場所を積極的に探してみましょう。リモートワークの方は、その朝食用のスペースで午前中の作業をしてもいいと思います。日光が多く入るオフィスで働く人は、窓がなく日光にほとんど当たらない環境で働く人に比べて、睡眠の質が良く、体調も良好な傾向であることも報告されています。
オフィスでもなるべく日光を浴びやすいスペースを選んだりして、とにかく朝に日光を摂取してください!
時間帯によって照明を変えるだけで寝つきが変わる!?
照明には大きく4種類あります。
・電球色 オレンジがかった温かみのある光
・温白色 ややオレンジ系の温かみが入った、白っぽさのある光
・昼白色 昼間の太陽光に近い、自然な白っぽい光
・昼光色 蛍光灯のような、青みがかった白い光
この4種類を好みや感覚ではなく、時間帯やライフスタイルに合わせて選ぶことが、いい睡眠にとって大切になります。
例えば朝の1時間、蛍光灯のような、青みがかった「昼光色」と、ややオレンジ系の温かみが入った、白っぽさのある光「温白色」の光を浴びた場合で、直後のメラトニン分泌量を比較した研究では、昼光色の光を浴びた方がメラトニンの分泌が低下することがわかりました。
通常、メラトニンは夜に濃度が高く、朝は低くなります。
メラトニンは眠気を誘うホルモンなので夜は質の良い睡眠のために必要なのですが、朝はスッキリとした目覚めのために分泌を抑える必要があります。なので、朝は青白い昼光色の光を浴びることで、メラトニンが抑えられ、脳が覚醒し、活動的な1日のスタートを切りやすい環境が作れるんです。
朝に青白い光を浴びておくことで、夜に多少の光を浴びてもメラトニンの分泌が抑制されにくく、質の良い睡眠が得られやすくなるので、夜のいい眠りのために、朝の青白い光が必要です。逆に夕方から夜にかけては、電球色や温白色などのオレンジ色の光が最適です。
青白い光は体が活動的に、オレンジ色の光は体がリラックスモードに自然と切り替えやすくなります。部屋によって照明を変えてみたり、光の色が切り替えられる照明器具に変えてみたりするとより実感しやすいかもしれないので、試してみてください。
寝室は「青」多めにするのがオススメ!
イギリスのホテルグループが行なった調査で、寝室の色によって睡眠時間に違いがあると報告がありました。
この調査で、睡眠時間が最も多かった色が「青」の7時間52分、最も短かったのは「紫」の5時間56分と、およそ2時間の差がありました。
高級寝具から手頃なメーカーまで、さまざまな価格帯で青系の寝具が展開されていますよね。
寝室の中でもベッドは特に視線を集める家具なので、青を取り入れやすいかと思います。
また、フローリングとカーペットの上を歩いたときの脳波や皮膚による‘緊張度’を比較した研究だと、カーペットの上を歩いたときの方が人の体がリラックス状態に向かうこともわかっています。
寝具やラグやカーペット、カーテン、ソファーのカバーやクッションを青系のものに変えるだけでいいので、試してみてください。
また、ベッドの配置場所によって、睡眠の質が変わることもあります。
寝室の中で好まれるベッドの位置として、「ドアが見える場所」「ドアから離れている場所」「寝室の壁際」という研究結果もあります。
これは共通して「安全に感じられる場所」です。
この「安全な場所で眠りたい」という本能の欲求が、眠るときの安心感を与えてくれるということだと思います。
ベッドの隣に棚や観葉植物などを置いて、身を隠すような空間にすることもオススメです。
ただ、ベッドの近くに背の高い家具を置いてしまうと圧迫感を感じてしまうので、腰くらいの高さの家具を選ぶといいかと思います。
また、近年は昼寝をすることで集中力や生産性の向上が期待できることも有名ですが、寝室やベッドで昼寝をするのは避けましょう。なぜなら寝過ぎちゃうから!
昼寝は10分~30分程度がオススメなのですが、ベッドは深く眠るための場所なので、短時間のつもりでも寝心地が良く、つい眠ってしまう可能性が高いです。
10分~30分であればデスクに伏せたり、ソファーに座ったような体勢での昼寝がいいと思います。
田口さんの書籍『科学的根拠に基づく 最高の睡眠空間』が発売中です。
かんき出版より税込1760円で発売中です。ぜひお手に取ってみてください。
田口里奈さん
・睡眠健康指導士で医療職インテリアコーディネーター。
・2012年から薬剤師として勤務。
・2016年、インテリアコーディネーターの資格を取得し、睡眠が空間にも大きく影響されていることに着目。
・2021年には上級睡眠健康指導士の資格を取得。
・現在は、エビデンスに基づく睡眠・健康知識をインテリアに落とし込んだコーディネートを中心に、ウェブメディアや記事の執筆を行なっています。
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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