中国では12歳でサッカーを引退?2034年W杯を見据える一方...の画像はこちら >>

12歳でサッカーから離れるケースが多いという中国サッカーの育成事情 Photo/Getty Images

少年サッカーの裾野が広がる一方で

人口大国である中国で、少年サッカーの競技機会が拡大している。各地で大会が盛んに開催され、子どもたちがサッカーに触れる機会も増えている。

その一方で、選手を継続的に育成していく上である課題を抱えているようだ。

2002年の日韓大会以降、ワールドカップ出場から遠ざかっている中国。現在中国では育成年代の強化に力を注いでおり、2026年1月に開催されたU-23アジア杯で準優勝、同年5月のU-17アジア杯でも準優勝を果たした。さらにU-17アジア杯では、11月に開催されるU-17ワールドカップの出場権も獲得。育成年代がアジアの舞台で結果を残すなど、その成果は着実に表れている。

中国メディア『Global Times』によると、中国は2015年から全国規模で学校サッカーの普及に取り組んでいるという。当時、教育部など政府6部門がガイドラインを発表し、指定サッカー校の設置や定期的な大会開催、指導者育成、施設整備などを通じて、学校教育にサッカーを組み込む方針を打ち出した。取り組みはその後も拡大し、現在では参加者数の増加だけでなく、指導やトレーニング、競技の質の向上にも重点が置かれている。2025年には、新たに4928校が全国青少年キャンパスサッカー校として認定された。

また2021年には、サッカー評論家の董路氏が「2034杯」を設立。この大会は同氏が日本の高校サッカー選手権大会が中国のSNSでも盛んに取り上げられていることに着目し、現在の小学生を対象とした大会を立ち上げたのが始まりだという。第6回となった今大会では、全国39地域で予選が行われ、882チーム、1万2604人が参加。
蘇州市で開催された決勝には128チームが進出し、海外からもチームが参加した。

このように少年サッカーの裾野が広がる一方で、同メディアは大きな課題もあると指摘。それが小学校卒業後の競技継続だ。

北京で青少年サッカーの指導に携わる趙欣欣(ジャオ・シンシン)氏によれば、小学校まではサッカーの練習を続けていた子どもたちが、中学校に進学すると、宿題や試験、家族からの期待などによってサッカーをやめてしまうことがあるという。趙氏はこの現象を「12歳引退」と呼んでいる。さらに、子どもに並外れた才能が見えてきた場合、保護者はよりレベルの高いチームを探すのか、転校するのか、遠征や練習を受け入れるのか、それともサッカーを趣味として続けるのか判断を迫られるという。結局のところ、選手としての才能だけでなく家庭がどの程度の時間や費用を負担できるかも、競技を続けられるかどうかを左右するだろうと同氏は指摘している。この「2034杯」についても、参加者の大半はプロ選手にはならないとされており、多くの小学生にとって、この大会は「小学生年代のサッカー生活の集大成」となっているという。

また趙氏は、大きな視点から日本サッカーと比較。日本代表では、欧州リーグでさらに成長した選手が代表チームに加わるケースが増えている一方、中国は依然として国内リーグを中心に将来の代表選手を育成しているという。同氏の見方では、両国の育成システムは異なる競争環境を持つ「生産ライン」のようなもので、中国の若手選手にはより高いレベルの試合経験が必要だという。そのためには外国のチームを中国に招く、中国のチームが海外へ遠征する、選抜された選手を海外リーグに送り出すといった取り組みが求められるとしている。
ただし、海外でのトレーニングは国内の育成システムの代わりにはならず、すべての家庭が利用できるものでもない。同氏によると、海外でプレイするには能力や身体的な準備だけでなく、費用に加えて、異なる言語や食生活、日常生活に適応する力も必要になるという。

『Global Times』は、中国サッカーの真の試練は2034年ワールドカップではなく、これから新学期が始まる9月になる可能性があると指摘。新学期を迎え、中学校へ進学した子どもたちが、果たしてサッカーを続けることができるのか。少年サッカーの裾野が広がり、子どもたちが競技に触れる機会が増えている今だからこそ「12歳引退」をいかに食い止め、継続的に選手を育成できる環境を整えられるかが、中国サッカーの将来を左右することになりそうだ。

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