ラグビー日本代表はアメリカに圧勝、しかし来年のW杯での対戦は...の画像はこちら >>

2本のトライを決めたCTBディラン・ライリー photo/Getty Images

2027年W杯予選プールで激突する相手

ラグビー日本代表(世界ランク12位、以下ジャパン)とアメリカ代表(同14位)との間でパシフィックネーションズカップ準決勝が行われ、ジャパンが63−14のスコアで圧勝した。両代表の通算対戦成績はジャパンの13勝1分13敗で、ジャパンは2015年10月から続く連勝を5に伸ばし、対戦成績を五分に持ち込んだ。



開始早々から、ジャパンは素早い展開で密集戦を制し続け、オフェンスラインに活きたボールを配給し、FW、BKが一体となった攻撃を展開し、4連続トライを奪って28-0と大量リードを奪う。他国のプロリーグに所属する選手を欠いたアメリカ代表は明らかに動きが鈍く、ジャパンの素早い展開に追いつかない状況が続き、このまま大差で楽勝かとおもわれたが、前半20分過ぎからはアメリカ代表がペースを握る。ジャパンの最大の弱点であるコリジョンの弱さをついて2連続のトライを奪い28-14と追い縋ってきたのだ。

しかし、アメリカ代表の上潮ムードはこの時間帯だけ。ジャパンが相手のミスを的確にトライに結びつけ、着々と加点し、最終的に9トライ9ゴールを奪った。

試合全般を通じ、素早い球回しと、各プレイヤーの迅速なリロードが持続したことが産んだ大勝だったが、一方で、依然としてジャパンに存在する課題が浮き彫りになった一戦でもあった。

まずは先述した通り、コリジョンの場面での力負け。1本目のトライはトライライン前に迫られた後にピック&ゴーを連続されて、押し込まれて奪われ、2本目はCTBダビテ・ロペティの力強い突進を止められずに奪われた。格上国との対戦では、常に相手は強力なフィジカルを全面に押し出して攻撃してくる。実際にアイルランド、フランス、オーストラリアとの対戦では完全に力負けして大量点を奪われた。ラグビーという競技の根幹に関わる部分ゆえに一朝一夕には改善は難しいが、力で対抗するのか、速さを追求するのかを明確にした上で一刻も早く対策を講じることが必要だ。

2点目はハイボールの競り合いへの対応がまだ未熟であるということ。
この試合に関しては大きな破綻は来さなかったが、攻撃時においても守備時においても優位に試合を進められるようなキャッチは見られなかった。上位国には優秀なキッカーとキャッチャーが存在し、数多くのチャンスを生み出している。守備時の確実なキャッチはもちろん、攻撃時においても有効なオプションにできるよう磨きをかけて欲しい。

そして、この試合で一番目立ったのが、前半20分過ぎからと後半5分過ぎからの停滞時間だ。この時間帯はせっかく上げ潮だったチームのモメンタムを手放し、相手に流れを与えてしまっていた。アメリカ相手だったがゆえに前半の2本のトライのみで済んだが、上位国との対戦では、こうした停滞時間にトライを重ねられ、手の届かない点差をつけられて、試合の趨勢が一気に決まってしまう、というシーンを度々見せつけられた。ゲームマネジメントの問題として、首脳陣にはぜひ知恵を絞っていただき、有効な対策を考えて、選手に落とし込んでいただきたいと思う。

アメリカ代表は来年のW杯予選プールで対戦することが決まっている相手だ。予選突破に向け、ジャパンを最大のターゲットに定めて、メンバー、戦略ともに最高のものを用意してくると考えられる。フランスに勝つことばかりを考えていると足元を救われる可能性は十分にありうる。今回の大勝に浮かれることなく、しっかりと課題を解決した上で対戦に臨んで欲しいものだ。

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