先週の日経平均は、4,000円前後の荒い値動きでしたが、強い買い意欲によって上昇トレンドを維持しました。ただ、チャート上には相場の天井圏で出現しやすいサインも出ていて、警戒も必要です。
先週の日経平均は乱高下の中でも買いが入る
先週末6月26日(金)の日経平均株価は6万9,360円で取引を終え、前週末終値(7万1,250円)からは1,890円の下落となり、単純な週末の終値比較では売りに押された印象となっていますが、週間の値動きを細かく見ていくと、状況はもっと複雑です。
<図1>日経平均の5分足チャート(2026年6月22日~6月26日)
図1は先週1週間の日経平均の値動きを5分足チャートにまとめたものです。
あらためて先週の日経平均の推移を振り返ると、週初の22日(月)につけた高値7万2,831円から、24日(水)の安値6万8,461円の値幅4,370円をはじめ、25日(木)の高値7万2,594円から26日(金)の安値6万8,639円の値幅3,955円など、4,000円前後の株価の乱高下が繰り返される格好となりました。
また、急落後の25日(木)に終値ベースでの最高値を更新するところまで一気に上昇しており、大きく売られてもそれを上回る買い意欲の強さも感じられる展開だったと言えます。
とはいえ、結果的には下落して週間の取引を終えているため、「今後も押し目買いが報われて、上昇していけるのか?」が気になるところであり、目先の相場の焦点になります。
上昇トレンドは継続中だが、天井サインも
そこで、日経平均のトレンドの状況について確認していきます。
<図2>日経平均(日足)の多重移動平均線(2026年6月26日時点)
図2は、日経平均の日足チャートに多重移動平均線を描いたものになります。
多重移動平均線とは、複数の移動平均線を描くことでトレンドの方向感や強さを探るために用いられ、強いトレンドが出ていれば、多くの移動平均線が同じ方向を向き、移動平均線の束も広がっていきます。
反対に、トレンドレスの場合は、移動平均線どうしの交差が激しく、乱雑な見た目となり、下落トレンド入りすると、株価が下限の線を下抜け、多くの移動平均線も下向きに転じていきます。
図2では、2日移動平均線から28日移動平均線まで、2日間ずつ14本の移動平均線を描いていますが、先週の日経平均の値動きは荒かったものの、多重移動平均線の形状はまだ上昇基調を保っていることが分かります。
また、株価水準で見ても、22日(月)の高値7万2,831円から5%安あたりまで下落していますが、調整局面入りの目安とされる10%安の水準(6万5,547円)、弱気相場入りの25%安の水準(5万8,264円)まで距離を残しています。
さらに、前回のレポートでも紹介した、日経225オプション取引(7月限)のコールの買い玉の状況を見ても、現在の株価よりも高い権利行使価格の建玉は前回ほどの急増は見られないものの、増加傾向が続いており、オプション取引市場からは相場の先高観がうかがえます。
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<図3>日経225オプション(7月限)コール買い建玉残高の状況(2026年6月27日夜間取引終了時)
今週は「月またぎ」で7月相場入りしますが、来週末7月10日(金)は、株価指数ミニ先物およびオプション取引のSQ日というタイミングとなるため、ポジティブな相場環境や材料などの条件が揃えばスルスルと株価が上昇していくことも考えられます。
ただ、その一方で相場の天井を示唆する兆候も出始めています。
<図4>日経平均(日足)とMACDの動き(2026年6月26日時点)
図4は日足の日経平均とMACDの推移を示したものです。
先週末26日(金)にMACDがシグナルを下抜けてきたほか、ローソク足の並びも、荒い値動きが続く中で、上値を結んだ線と下値を結んだ線との距離が拡大している様子がうかがえます。
こうした状況は「ブロードニング・フォーメーション」と呼ばれ、株価が上下しながら値幅を縮小していく「三角保ち合い」とは反対の形状から、「逆三角保ち合い」とも呼ばれています。
一般的に、ブロードニング・フォーメーションは、買いと売りの攻防が激しくなり、その結果として、株価の動きが上下に振れている様子を示しています。多くの場合、相場の天井圏で出現しやすく、要注意のパターンになります。
もちろん、株価が上抜けして上昇トレンドが続く可能性もあるのですが、高値更新を思わせて下にストンと落ちることが意外と多いです。実際に、図4でも今年の1~3月にかけて、ブロードニング・フォーメーションが出現し、その後の相場がしばらく下落基調に転じています。
当時は、中東情勢の悪化が売りの要因となりましたが、ブロードニング・フォーメーションが形成されている状況下は、ネガティブ材料に敏感に反応しやすくなっている点には気を付ける必要があります。
今週の注目イベント
続いて、今週のスケジュールやイベントについても整理します。
先ほども述べたように、「月またぎ」で7月相場を迎える今週の株式市場ですが、国内では月初の1日(水)に日銀短観が公表されるほか、米国では6月分の消費者信頼感指数(カンファレンスボード)やISM製造業景況指数、雇用統計などの経済指標が予定されています。
なお、今回の米雇用統計については、今週末3日(金)の米国株市場が独立記念日の振替えによる休場のため、前日の2日(木)に前倒しで公表される変則的なスケジュールとなります。
これらの経済指標を通じて、日米ともに景況感や金融政策の思惑を探っていくことになりそうです。
米国株市場については、6月26日公開「3分でわかる!今日の投資戦略」のレポートでも指摘したように、S&P500種指数やナスダック総合指数の株価が6月あたまにつけた高値に届かず、日足チャートからは、天井パターンの「トリプルトップ」を形成しつつあるように見えるため、これを打ち崩せるかどうかが注目されます。
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このほか、米国では7月4日の独立記念日を控え、政治的な成果をアピールしたいトランプ米大統領が何かしらの発言や行動を起こすことも考えられ、今週も株価が上下に振れやすい相場地合いが続くことになりそうです。
TOPIXが相場を支えられるか
仮に、今週の日経平均が軟調な推移となった場合、注目されるのが東証株価指数(TOPIX)になります。要は、「相場の牽引役となっているAI・半導体関連銘柄が売られた際に、バリュー株が受け皿になれるか?」がポイントになります。
<図5>TOPIX(日足)とMACDの動き(2026年6月26日時点)
図5は、TOPIXの日足チャートとMACDの推移を示していますが、上昇の勢いが目立っている日経平均に対し、TOPIXは25日移動平均線をサポートにしながら、堅実に上昇している様子がうかがえます。
また、3月から4月にかけては、株価が25日移動平均線を下抜けてしまったものの、75日移動平均線がサポートとなりました。さらに、25日移動平均線と75日移動平均線の「デッドクロス」も回避できており、日経平均が「上値の伸び」が焦点になっているのに対し、TOPIXについては、「下値の堅さ」が印象的となっています。
中東情勢への不安後退によって、出遅れが指摘されているバリュー株への物色が活発化し、それがTOPIXの動きにも反映されていただけに、目先の中東情勢の変化には引き続き注意が必要です。
また、先ほども言及した、株価指数ミニ先物およびオプション取引のSQ日が近づいてきていることもあり、「割高な日経平均を売って、割安なTOPIXを買う」裁定取引の動きが出てくることも想定されます。
<図6>NT倍率(日足)の推移(2026年6月26日時点)
実際に、日経平均をTOPIXで割った「NT倍率」は4月以降に急上昇しており、直近では6月25日に過去最高の18.02倍まで大きくなっています。
今後のTOPIXも日経平均と同じタイミングで下落する展開がありそうですが、下げ方は日経平均よりも緩やかになりそうなため、NT倍率が縮小していくことが見込まれます。
「割高なものを売って、割安なものを買う」という裁定取引の手法は、株価の騰落に関係なく、両者の価格差が縮小すれば利益が出るため、日経平均が大きく下落する場面を見せた際には、TOPIXの動きも併せてウォッチしていくのが良さそうです。
(土信田 雅之)

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