諸外国に比べれば少ないといわれる日本の離婚率。しかし離婚をする夫婦は多いように感じます。

この時に行われる財産分与、税金の扱いを知らないと思わぬ落とし穴にはまることになりますから注意が必要です。


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離婚による財産分与とは?

 筆者も50歳を過ぎましたが、この年齢になると筆者の周りでも、筆者と同年代の子育てがひと段落した夫婦の離婚が目立ちます。


 離婚の原因はさまざまありますが、離婚の際に行われるのが「財産分与(ざいさんぶんよ)」です。


 財産分与とは、結婚生活中に夫婦が協力して築き上げた財産を、離婚時に公平に分け合う手続きのことです。


 よって、稼ぎが多く、蓄積した財産に大きく貢献した側から、稼ぎが少なく財産への貢献度が低い側へ、財産を渡すことになります。


 原則として婚姻中に形成した夫婦の財産は「半分ずつ(2分の1)」とされます。例えば、夫が外で稼ぎ、妻が専業主婦という場合でも、妻の内助の功があって財産が築けたとみなされるため、基本的には50%ずつ分けます。


 また、離婚の原因が何であっても、夫婦で築いた財産の分与を求める権利が、すぐになくなるわけではありません。例えば、相手の浮気が原因で離婚する場合でも、「浮気をした側(有責配偶者)」が財産分与を求める権利があります。(※慰謝料は財産分与とは別に請求できる場合があるほか、財産分与の中で考慮される場合もあります)。


財産分与を受けた側は税金はかからないが…

 では、財産分与に伴う税金の扱いはどのようになっているのでしょうか?


 夫婦であっても、財産の移転には贈与税がかかります。そのため、財産分与も同じように、財産をもらう側に贈与税がかかるのではないか、と気になる方もいるかもしれません。


 でも、財産分与でもらうお金や財産は「もともと2人のものだったものを分けただけ」なので、贈与税や所得税は原則としてかかりません。


 しかし、ここで落とし穴があります。

財産をもらう側ではなく「渡す側」に税金がかかる場合があるのです。財産を渡す側は、自分の財産がただでさえ減るわけです。それに追い打ちをかけるかのように税金もかかる、となれば、たまったものではありませんね。


財産を売却せずにそのまま渡しただけなのに「渡した側」に税金がかかる!

 財産分与で財産を渡す方法としてはいくつか考えられます。


 まず、保有する財産を売却して換金し、そのお金を渡す場合です。このケースでは、財産(不動産や株式など)を売却しているわけですから、譲渡した時の時価が、その財産の取得費よりも高くなっていれば、その値上がり益(譲渡所得)に対して税金がかかります。


 次に、保有する財産を売却せずそのまま相手側に渡す場合です。実は、売却せず相手側に渡すだけでも、売却した場合と同様に譲渡所得が発生し、課税されてしまうのです。


「売却せずただ譲っただけなのに、なぜ税金がかかるの?」と思われるかもしれませんが、税法上は「財産分与義務の消滅という対価を得て、その時の時価で財産を売却した」とみなされます。


 そのため、渡した時の時価が、その財産の取得費よりも高くなっていれば、その値上がり益(譲渡所得)に対しての税金がかかります。


現物で渡した場合の注意点とは?

 株式や投資信託の場合は、証券会社ごとの手続きの可否もありますので、事実上は売却して得たお金を渡す形になるケースが一般的だと思います(楽天証券では株式や投資信託を現物で渡すこともできますが、一般口座での受け入れになります)。


 一方、自宅など不動産の場合は、売却せずにそのままの形で渡すことが多いです。


 いずれの場合も、財産分与の際の財産額に、渡す側の税金を加味した形で分与することをあらかじめ話し合っておくことが重要です。


 例えばこんなケースです。


〇夫側の財産:1億円
〇妻側の財産:ゼロ


 これだけ見れば、夫から妻へ5,000万円の財産を渡せばよいことになります。


 しかし、夫側が財産を換金する際、税金が1,000万円生じるとすると、夫の手残りは5,000万円ではなく4,000万円となり、結果として妻の方が手取りベースの財産が多くなってしまいます。


 財産分与の総額を決める際は、株の「現在の価値(時価)」だけで計算するのではなく、「税金を差し引いた後の価値」で話し合いを進めるのがスムーズです。


 後になって「知らなかった!」では済まされない税金の世界。もしもの時の備えとして、最低限の知識は身に付けておきましょう。


(足立 武志)

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