世界中で株が上昇すると「もっと持っていれば」と思い、急落すると「売っておけば」と後悔しがちです。株はいつまでも上がり続けるわけではありません。
今日のクイズ
資産形成において、国内株式、外国株式、外国債券、国内債券などの資産に保有する投資資金を何パーセントずつ配分するかを決めるアセット・アロケーション(資産配分)は非常に重要です。
資産配分を決める上で参考になるのが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針です。GPIFは、世界最大の公的年金で、運用資産293兆4,276億円を保有しています(2025年12月末時点)。GPIFは、2001年度以降、累計で196兆3,721億円もの運用収益を獲得しています。
そのGPIFが組んでいる「基本ポートフォリオ」は、以下A、B、Cのうち、どれでしょう?
基本ポートフォリオは、293兆円の運用資産のアセット・アロケーションを示しています。この決められた比率の±5%あるいは±6%の範囲に、アセット・アロケーションが収まるように管理しています。
中立ポジションが決まっていれば、相場の急変で慌てないで済む
正解を伝える前に、私がファンドマネジャー時代、株の保有比率をどのように決めていたかについて説明します。
私は当時、日経平均株価が急騰しても急落しても、あまり動揺することはありませんでした。あらかじめ「中立ポジション」という基準が決まっており、それに従って淡々と運用すればよかったからです。
例えば、私が担当しているあるバランスファンドでは、株の組み入れ比率(中立ポジション)は40%(下限35%~上限45%)と定められていました。株の組み入れ比率が40%であれば、日経平均が急騰しても急落しても問題ありません。
強気の時は、株の組み入れをオーバーウエート(40%を少し上回る比率:45%が上限)にしてもいいし、弱気の時は、株の組み入れをアンダーウエート(40%を少し下回る比率:35%が下限)にしてもよいです。
中立ポジションは、「セーフ・ハーバー(安全な港)」とも言われます。相場がどんなに急落・急騰しても、そこにいる限り「勝ちも負けもない」、安全な港というわけです。相場がどうなるか、まったく分からなくなった時は、そこへ逃げ込めばよい、ということです。
個人投資家の方も、株を通常時にどのくらい保有するかという「中立ポジション」を決めておくとよいでしょう。そうすれば、相場の急落や急騰で慌てずに済みます。
例えば、投資に回せるお金がトータルで200万円あるとして、「株は100万円持つ」と決めれば、それが中立ポジションです。100万円持っていれば、日経平均が急騰しても急落しても、じっとしていていいわけです。
正解
GPIFの基本ポートフォリオは、Bです。基本ポートフォリオとは、アセット・アロケーションの中立ポジションのことです。GPIFの運用資産は現在、以下の通りとなっています。
<GPIF運用の基本ポートフォリオと、実際の資産構成(2025年12月末時点)>
GPIFは、2001年度以降、累計196兆3,721億円もの運用益を獲得しています。とはいっても、決して特殊な運用を行ったわけではありません。
ごく当たり前の長期・国際分散投資をやることで、運用資産を増やしてきました。私たちも、まねしようと思えば、簡単にまねすることができます。老後の準備として、運用で資産を増やすことを目指す私たちにとって、参考になるものです。
GPIFは、基本となる資産構成割合(基本ポートフォリオ)を定め、それに従って、分散投資を行っています。
現在の基本ポートフォリオ(中心)は、外国株式25%、国内株式25%、外国債券25%、国内債券25%です。株(外国株式+国内株式)半分・債券(外国債券+国内債券)半分と、とてもよくバランスの取れたポートフォリオだと思います。国内投資(国内株式+国内債券)半分・海外投資(外国株式+外国債券)半分というのも、良いバランスだと思います。
GPIFの基本ポートフォリオで2014年10月までは、国内債券の割合が60%と高かったのですが、国内債券の利回り低下を受けて、比率をまず35%に引き下げました。2020年4月に現在と同じ25%まで引き下げました。
GPIFを応用したアセット・アロケーション
みなさまが資産形成するためのアセット・アロケーションとして、GPIF型をそのまま使ってもよいですが、個人の事情に合わせて、以下のように修正してもよいと思います。
<GPIF基本ポートフォリオを応用したさまざまなアセット・アロケーション>
GPIFの基本ポートフォリオを、タタキ台として、みなさまにふさわしいアセット・アロケーションを工夫してください。
アセット・アロケーションで、投資の成果はほとんど決まる
投資成果のほとんどはアセット・アロケーション(資産配分)によって決まります。
アセット・アロケーションの次に大切なのが銘柄選別です。まず、アセット・アロケーションを決め、次に銘柄を決めます。例えば100万円投資資金があったとして外国株に30%投資すると決めたとします。外国株を30万円持つと決めた上で、具体的に何を買うか次に考えればよいことになります。
ところが、個人投資家には「何を買うか」だけ考えてアセット・アロケーションをどうするか考えない方がたくさんいます。雑多な投資商品をいくつも持っていると、全体でどういうリスクを取っているか分からなくなってしまいます。
もし、皆さんが、以下のように質問されたらすぐに答えられますか?
【質問】あなたが今、保有する金融商品(投資信託、株、上場投資信託[ETF]、不動産投資信託[REIT]、債券、銀行預金など)全体で、どういうアセット・アロケーションになっているか、分かりますか? 国内株式、外国株式、外国債券、国内債券、現金預金、その他にそれぞれ何%投資していますか?
すぐに答えられる人はほとんどいないかもしれません。ちょっと調べた上で、きちんと答えられますか?
どういうリスクを取っているか分からない方は、分かるものだけ分類してください。
【国内株式】日経平均インデックスファンド・A社株…
【外国株式】全米株式インデックスファンド・G社株…
【外国債券】米国債…
【国内債券・現金預金】個人向け国債・銀行預金…
【その他】金・プラチナ、複雑なリスクをとっている投資信託、暗号資産…
複雑なリスクをとっていて、そのリスクの中身が何であるか理解していない金融商品は、極力減らしましょう。
理想的なのは、「プレーン・バニラ(基本的な状態の商品)」といわれる単品商品だけでポートフォリオを組むことです。最初は、国内株式だけ、外国株式だけ、外国債券だけのように、取っているリスクがクリアで分かりやすいものから投資していった方がよいと思います。
(窪田 真之)

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