メタ・プラットフォームズの2026年12月期1Qは、33.1%増収、30.3%営業増益。SNS広告が好調で、前4Qから全社増収率が回復した。

AIを使った広告配信システムの開発が続いているが、この効果が出ていると思われる。また、クラウドサービスへの参入の可能性が報道されたが、実現すれば業績に寄与することになろう。目標株価を820ドルとする。


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決算レポート:メタ・プラットフォームズ(広告売上高が好調。クラウドサービスに進出するとの報道があった)
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毎週月曜日午後掲載


本レポートに掲載した銘柄:メタ・プラットフォームズ(META、NASDAQ)


1.メタ・プラットフォームズの2026年12月期1Qは、33.1%増収、30.3%営業増益。

 メタ・プラットフォームズ(以下メタ)の2026年12月期1Q(2026年1-3月期、以下今1Q)は、売上高563.11億ドル(前年比33.1%増)、営業利益228.72億ドル(同30.3%増)となりました。広告売上高が前年比32.9増と好調でした。巨額の設備投資が続いているため、減価償却費が前1Q39.00億ドルから今1Q59.99億ドルへ増加し、営業利益率は同41.5%から40.6%へ低下しましたが、低下幅は軽微でした。


 今1Qをセグメント別に見ると、主力事業である広告は売上高550.24億ドル(同32.9%増)と好調でした。前4Q同24.3%増から伸び率が加速しました。地域別にはUS&カナダ、欧州、アジア太平洋、その他の全ての地域で前年比が前4Qのそれを上回りました。特に欧州とその他が好調でした。


 その結果、広告事業が含まれるファミリー・オブ・アプスは売上高559.09億ドル(前年比33.4%増)、営業利益269.00億ドル(同23.6%増)となり、巨額投資が続いたため営業利益率は下落しましたが、順調な業績でした。


 また、設備投資の多くを負担しているリアリティ・ラブスは売上高4.02億ドル(同2.4%減)、営業損失40.28億ドル(前年同期は42.10億ドルの営業損失)でした。赤字は拡大しませんでしたが、これはSNS広告向け設備投資が多かったためと思われます。


 デイリー・アクティブ・ユーザー数(DAU)は前4Q35.8億人から今1Q35.6億人へやや減少しましたが、これはイランでのインターネット障害とロシアでのWhatsAppアクセス制限の影響によるものです。この影響を除くとフェイスブック、インスタグラム中心に順調に伸びている模様です。


 今1Qには、メタの新しいAIシリーズである「Muse」シリーズ最初のモデルである「Muse Spark」(ミューズ・スパーク)をリリースしました。「Muse Spark」はMeta AIの中核AIであり、視覚理解、健康、ショッピング、ソーシャルコンテンツ、地域的な情報、ゲーム制作などの分野で、メタのコンテンツユーザーのアシスタント(パーソナルスーパーインテリジェンス)となるものです。また、広告主にとっては、事業を拡大し、新規顧客を獲得し、既存顧客へのサービスを向上させるためのビジネスエージェントとなるようにトレーニングされています。「Muse Spark」はじめとするAIが今後のメタの業績に与える影響に引き続き注目したいと思います。


表1 メタ・プラットフォームズの業績
決算レポート:メタ・プラットフォームズ(広告売上高が好調。クラウドサービスに進出するとの報道があった)
株価 582.90ドル(2026年7月2日)時価総額 1,477,069百万ドル(2026年7月2日)発行済株数 2,564百万株(完全希薄化後、Diluted)発行済株数 2,534百万株(完全希薄化前、Basic)単位:百万ドル、%、倍出所:会社資料より楽天証券作成。注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。注3:会社予想は予想レンジの平均値。

表2 メタ・プラットフォームズのセグメント別業績(四半期)
決算レポート:メタ・プラットフォームズ(広告売上高が好調。クラウドサービスに進出するとの報道があった)
単位:100万ドル出所:会社資料より楽天証券作成

表3 メタ・プラットフォームズ:地域別売上高メタ・プラットフォームズ全社:地域別売上高
決算レポート:メタ・プラットフォームズ(広告売上高が好調。クラウドサービスに進出するとの報道があった)
単位:100万ドル、%出所:会社資料より楽天証券作成

メタ・プラットフォームズ:広告の地域別売上高
決算レポート:メタ・プラットフォームズ(広告売上高が好調。クラウドサービスに進出するとの報道があった)
単位:100万ドル、%出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ1 メタ・プラットフォームズ:アプリ・ファミリーのDAU、MAU
決算レポート:メタ・プラットフォームズ(広告売上高が好調。クラウドサービスに進出するとの報道があった)
単位:億人、出所:会社資料より楽天証券作成、注:フェイスブック、インスタグラム、メッセンジャー、ワッツアップのいずれかに最低1回ログインしたユーザーのDAU、MAU

グラフ2 メタ・プラットフォームズ:アプリ・ファミリーの1人当たり売上高
決算レポート:メタ・プラットフォームズ(広告売上高が好調。クラウドサービスに進出するとの報道があった)
単位:ドル/人、出所:会社資料より楽天証券作成、注:ファミリー・オブ・アプス売上高をデイリー・アクティブ・ユーザー数(1日に各アプリのいずれかに最低1回ログインした人の数)で割ったもの。2024年12月期1Qより従来マンスリー・アクティブ・ユーザー数で割っていたものを変更した

2.2026年12月期、2027年12月期ともに広告売上高は順調な増加が予想される。報道によればクラウドサービスへの進出を計画中。

1)2026年12月期、2027年12月期とも順調な売上高の成長が期待できよう。

 会社側は、今2Q売上高ガイダンスを580~610億ドル、レンジ平均値595億ドル(前年比25.2%増)としています。

また、年間営業費用(売上原価+研究開発費を含む販管費)を1,620~1,690億ドルとしています。前回予想から修正はありません。2025年12月期の1,177億ドルから大幅に増える見込みですが、これは大型設備投資継続による減価償却費の増加、外部のクラウドサービスからデータセンターを借りる費用、技術系人材の人件費等の増加によります。


 また、会社側は今2Q~今4Qの実効税率のガイダンスを13~16%としました。


 設備投資は前4Q221.37億ドルから今1Q198.40億ドルへ減少しましたが、前1Q136.92億ドルから大幅に増加しました。大部分はサーバー、データセンター、ネットワークインフラ向けです。会社側の2026年12月期通期設備投資予想は前回予想の1,150~1,350億ドルから1,250~1,450億ドルへ上方修正されました。半導体等の部品価格の上昇と追加のデータセンター投資によります。


 このガイダンスと、今1Qまでの実績と決算電話会議での会社側の説明を参考にして、楽天証券では今1Q業績を売上高610億ドル(前年比28.4%増)、営業利益235億ドル(同15.0%増)と予想します。


 また、2026年12月期通期を売上高2,590億ドル(同28.9%増)、営業利益970億ドル(同16.5%増)、2027年12月期通期を売上高3,280億ドル(同26.6%増)、営業利益1,240億ドル(同27.8%増)と予想します。この予想には後述のクラウドサービス事業への進出は織り込んでいません。


表4 メタ・プラットフォームズのセグメント別業績
決算レポート:メタ・プラットフォームズ(広告売上高が好調。クラウドサービスに進出するとの報道があった)
単位:100万ドル出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ3 メタ・プラットフォームズの設備投資(四半期。
ファイナンス・リースを含む)
決算レポート:メタ・プラットフォームズ(広告売上高が好調。クラウドサービスに進出するとの報道があった)
単位:100万円、出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ4 メタ・プラットフォームズの年間設備投資
決算レポート:メタ・プラットフォームズ(広告売上高が好調。クラウドサービスに進出するとの報道があった)
単位:億ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

2)報道によれば、クラウドサービスへの進出を計画中。

 報道によれば、メタは余剰となったAI計算能力を販売するクラウド事業への進出を計画している模様です。メタが計画中のクラウドサービスは、メタの最新型AI「Muse Spark(ミューズ・スパーク)」を含む同社のインフラ上で動くAIにアクセスし、レンタル料金を払う模様です。また、ネオクラウド各社のようにAI計算能力を販売することも検討している模様です。ただし、報道では計画は策定段階です。


 これが実現すれば、メタにとっては新しい事業機会になると思われます。


 メタは巨大企業ですが、あくまでも一事業会社としてAIシステムを構築しています。その主な目的はSNSの会員の嗜好を的確に読み取り、最適なSNS広告を送信するためのシステムの構築や、社内外の生成AIユーザーに提供する「Llama」「Muse Spark」のような高度なAIの開発と思われます。従って、メタがこれまでに購入したAI半導体で構築したAIインフラの中身と、今購入している最新型AI半導体(主にエヌビディアの「Blackwell」)、今年後半から納入が始まるであろうエヌビディアの次世代AI半導体「Rubin」を使って構築するインフラとを比べると、AIインフラの計算能力に不効率が生じる場合があると思われます。


 これは一般論になりますが、エヌビディアの「H100」「H200」「Blackwell」が混在したAIインフラで「学習」を行うと、最もスピードの遅い「H100」に学習スピードが決まってしまうと言われています。「推論」は古いAI半導体と新型が混在していてもできますが、「H100」と「Blackwell」では電力効率に大きな差があります。つまり、効率的なAIインフラを構築するには、古いAI半導体を売却またはレンタルという形で外部に放出して、新しいAI半導体でインフラを構築することが合理的と考えられるのです。


 これはメタが事業会社であってクラウドサービス会社ではないことから成り立つ話です。クラウドサービス会社では、AI開発会社、各種の研究機関、大手事業会社からのAI半導体レンタル需要が多いため、最新型の「Blackwell」から1世代前の「H200」「H100」、旧式の「A100」までがフル稼働になっています。


 メタが実際にクラウドサービス事業に参入するかどうかは、会社側から正式発表がないためまだ不明ですが、仮に現在メタが保有している「H100」中心にレンタルする場合は、かなり大きな需要が予想されます。例えば生成AI開発会社だけでなく、事業会社です。AIエージェントを使った情報システムを新規開発したいという事業会社が多くなっている模様ですが、AIサーバーが確保できないため開発を諦めざるを得ない事業会社も相当数あると思われます。そのような事業会社をクラウドサービスの顧客として開拓すれば、まず1事業部門でAIエージェントを開発し、次は複数事業部門あるいは全社でAIエージェントを開発するというように事業の拡大が期待できます。また、「H100」は減価償却が進んでいること、「H100」の1年以上のレンタル価格が下がっていないことを考えると高い採算が期待できると思われます。


 メタのクラウドサービスが実現するのかどうか注目したいと思います。


3.メタ・プラットフォームズの今後6~12カ月間の目標株価を820ドルとする。

 メタ・プラットフォームズの今後6~12カ月間の目標株価を820ドルとします。


 長い目で見て、楽天証券の2027年12月期予想1株当たり利益(EPS)41.3ドルに想定株価収益率(PER)20倍前後を当てはめました。株価が下がった結果、今期、来期の予想PERが20倍割れと割安感が出てきたこと、クラウドサービスへの進出が報道されたことを評価しました。


 中長期で投資妙味を感じます。


本レポートに掲載した銘柄:メタ・プラットフォームズ(META、NASDAQ)


(今中 能夫)

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