2,800名超の個人投資家からアンケートを集計。日経平均の先行きDIが前回から低下し、過度な強気見通しが修正される結果となりました。
はじめに
今回のアンケート調査は2026年6月29日(月)から7月1日(水)にかけて実施、2,800名を超える個人投資家からの回答を頂きました。
2026年6月末の日経平均株価は7万0,062円で取引を終え、5月末の終値6万6,329円からは3,733円を超える上昇となりました。月間ベースでは3カ月連続の上昇となり、この期間の上げ幅の合計(約1万9,000円)は2万円に迫っています。
改めて月間の値動きを振り返ると、「高値更新から下落、そして再び高値を更新した後に上値が重たくなる」といった具合に、前月と似たような値動きをたどりました。
具体的に見ていくと、中東情勢に対する不安後退と、旺盛な投資需要を背景とするAI・半導体相場の継続が追い風となり、初旬の日経平均は6万8,000円台まで上昇しました。
ただ、同時にAI相場の過熱感も意識され、中旬にかけては売りに押される場面が目立ち、一時6万2,000円台前半まで下落しました。それでも相場の先高観は続き、株価が反発した後は7万円水準を一気に突破し、7万2,000円台の後半まで値を伸ばしていきました。
その後、月末にかけては7万円台の攻防となりましたが、月間を通じて値動きが荒く、月間値幅(高値と安値の差)は1万円を超えています。
日経平均のDIについては、強かった前回調査の反動もあり、1カ月先・3カ月先ともに後退しました。一方、為替の見通し(米ドル円)については、債券市場で金利(利回り)があまり低下しなかったことや、米国の早期利上げ観測の後退、高市政権の財政政策の思惑などが絡んで、円安見通しが加速する結果となりました。
次回もぜひ、本アンケートにご協力をお願いいたします。
日経平均の見通し「過度な強気が修正され、DIの値は低下」
今回調査における日経平均の見通しDIは、1カ月先がプラス13.41、3カ月先はプラス17.64となりました。前回調査の結果がそれぞれプラス40.75、プラス21.89でしたので、DIの値はともに低下した格好です。
とりわけ1カ月先DIの低下が目立っていますが、回答の内訳グラフを見ても分かるように、強気派の割合が30%を超えています。
前回調査の強気派の割合(50.40%)が過半数を超えていただけに、今回のDIの結果は、見通しが弱気に傾いたというよりも、「過度な強気見通しが修正された」といえそうです。
最も、弱気派の割合(17.53%)が前回(9.65%)から増加していることや、中立派が過半数を占めていることから、「ここ3カ月のあいだで見せてきた株価上昇の勢いがそろそろ落ち着いてきそう」という心理も今回の調査結果から透けて見えるように思われます。
実際に、3カ月先DIの内訳グラフを見ても、前回とあまり構成が変わっていないほか、DIの値自体も1カ月先とあまり差がありません。そのため、強気の見通しは崩れていないものの、これまでの楽観ムードからやや慎重になりつつある様子がうかがえます。
こうした中で迎えた7月相場も日経平均は荒っぽい値動きが続いています。6月は上昇基調が続きましたが、7月相場については上値が切り下がる展開が目立っており、これまでのけん引役となっていたAI・半導体関連銘柄を中心とするグロース株の上昇基調が一服しつつあるような印象となっています。
その一方で、バリュー株への買いが活発となり、7月に入って東証株価指数(TOPIX)が最高値を更新するなど、株式市場内での「循環物色」が相場を支えている格好になっています。月の半ばからは日米企業の決算発表が本格化しますが、決算の行方を探りつつ、再びグロース株への買いが勢いを取り戻せるかが、今月の焦点になりそうです。
2022年11月30日に、ChatGPTが一般公開されたのを機に始まったとされるAI相場は、早くも3年半の月日がたちましたが、AI技術の飛躍的な進歩や投資の加速に伴って、AIがこなせる領域も拡大しており、旺盛な投資需要はまだまだ続くことが見込まれています。
株式市場もそれに歩調を合わせる格好で上昇してきました。
7月相場は2026年後半の株式市場の方向感を占う重要な月になりそうです。
外国為替DI:7月見通し「市場の焦点が再び金融政策へ移る中、円安基調が継続」
楽天証券FX・CFDディーリング部
楽天DIとは、ドル円、ユーロ円、豪ドル円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものである。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示す。
「1カ月後のドル円はどう動いているとお考えですか?」楽天証券が、個人投資家を対象にドル円相場の先行きについてアンケート調査を実施したところ、回答者の10.97%が「ドル安/円高」、33.88%が「変わらず」、55.15%が「ドル高/円安」に動くと予想していることが分かった。
円安予想から円高予想の割合を引いて求めたDIは+44.18になった。
先月DIの+27.06から大幅に上昇し、円安予想が増えた。
DIは、マイナス100から+100までの値をとり、DIのプラス値が大きくなるほど、円安見通しの個人投資家の人数が多いことを示し、逆にマイナス値になるほど、円高見通しの個人投資家の人数が多いことを示す。
市場の焦点が再び金融政策へ移る中、円安基調が継続
6月の為替市場では、米国とイランを巡る地政学リスクへの警戒感が徐々に後退し、市場の関心は再び金融政策と金利見通しへ移った。中東情勢の緊迫化を背景に一時上昇した原油価格も、供給懸念の後退とともに月後半にかけて落ち着きを取り戻した。
投資家の注目は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)や、新体制となった米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策運営、さらに日本銀行の金融政策正常化へと移った。一方、円相場はこうした環境下でも軟調な推移が続き、円安基調が維持された。
こうした中、6月のFOMCでは政策金利を3.50~3.75%で据え置いた。
また、新たに就任したケビン・ウォーシュFRB議長の下で初めて開催されたFOMCでは、インフレ抑制を重視する姿勢やフォワードガイダンスへの依存度低下が意識され、市場ではFRBによる早期利下げ期待が後退した。これを受けて米国債利回りは底堅く推移し、ドル相場を下支えする要因となった。
一方、日銀は政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げ、金融政策正常化を着実に進めた。これを受けて10年国債利回り(JGB)は2.7%近辺まで上昇したものの、植田和男総裁は引き続きデータに基づき慎重に政策を運営する姿勢を示した。
国内では物価・賃金の改善が続いているが、米国の早期利上げ期待の台頭が米日金利差を徐々に拡大させており、USDJPYは月末に162円台へ上昇し、162.58で取引を終えた。依然として米国金利の動向が、日銀の政策正常化を上回る相場材料として意識されていることがうかがえる。
6月は、地政学リスクが完全に払拭されたわけではないものの、市場の関心は再び金融政策と金利見通しへ回帰した1カ月となった。日銀による政策正常化が進んだ一方で、市場では「Higher for Longer」を意識した米金利の高止まり期待がドルを支え続け、円安基調が維持された。(7月1日執筆)
ユーロ円
ユーロ円相場の先行きについては、回答者の7.79%が「ユーロ安/円高」、55.64%が「変わらず」、36.57%が「ユーロ高/円安」に動くと予想していることが分かった。
円安予想と円高予想の差であるDIは+28.78と、前回の+20.07から堅調に上昇した。
豪ドル円
豪ドル円相場の先行きについては、回答者の7.20%が「豪ドル安/円高」、61.51%が「変わらず」、31.30%が「豪ドル高/円安」に動くと予想していることが分かった。
円安予想と円高予想の差であるDIは前回の+17.13から今回+24.10と、円安予想がやや前進した。
今後、投資してみたい金融商品・国(地域)
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲
今回は、前回に続き、毎月実施している質問「今後、投資してみたい金融商品」で、「外国株式」と「金やプラチナ地金」を選択した人の割合に注目します。選択肢の数は、ページ下部の表のとおり13個ずつです。
図:今後、投資してみたい金融商品で「外国株式」と「金やプラチナ地金」を選択した人の割合(複数選択可)
2026年6月の調査において、「今後、投資してみたい金融商品」で「外国株式」を選択した人の割合は44.29%、「金やプラチナ地金」を選択した人の割合は15.82%でした。先月の本欄で述べた傾向が継続した格好です。
こうした傾向は、「中東情勢が早期に鎮静化するという楽観論」によるものであると、筆者はみています。
6月中旬に米国とイランが覚書に署名し、60日間にわたる停戦に向けた本格的な協議がはじまりました。このことを機に、「和平」「合意」「ホルムズ正常化」といったキーワードを伴った報道や情報発信が加速し始めました。
そしてそれが、「もう戦争は終わった」「原油の供給は元に戻る」「もう中東のことで心配することはない」などの印象を強め、市場を含む世界中に楽観論が急速に広がりました。
この楽観論の広がりと、楽天DIの当該質問の結果は、深く関わっているといえるでしょう。6月の同調査結果は5月に比べてより、外国株式を選択した人の割合が上昇し、金やプラチナ地金を選択した人の割合が低下しました。
今後も同種の楽観論が拡大すれば、外国株式を選択した人の割合の上昇、金やプラチナ地金を選択した人の割合の低下は、続くと考えられます。
しかし、この楽観論については、大きな課題があり、漫然と傍観することはできません。覚書への署名は、60日間(8月中旬ごろまで)の協議内容を確定させるものであり、最終的な停戦を確定するものではないためです。
また、その協議内容には、米国とイラン、イスラエルとイランの間に存在する歴史的なわだかまりを解かなければ前進し得ない、イラン核問題を「解決すること」が含まれています。解決には、1970年代に発生したイラン革命にまでさかのぼる必要があるでしょう。
さらには、7月に入り、ホルムズ海峡にて米国とイランの攻撃の応酬が見られており、協議が進展しているとは言い難い状態です。イラン核問題の背景やホルムズ海峡の現状を考えれば、この「楽観論」は、実は不安定な状況の上に存在しているといえます。
中東情勢の動向を注視する際は、「中東情勢が早期に鎮静化するという楽観論」をできるだけ取り除く必要があるでしょう。その上で、引き続き、「今後、投資してみたい金融商品」で「外国株式」「金やプラチナ地金」を選択した人の割合に、注目していきたいと思います。
表:今後、投資してみたい金融商品 2026年6月調査 (複数選択可)
表:今後、投資してみたい国(地域) 2026年6月調査 (複数選択可)
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