インドフード・サクセス・マクムールは、インドネシア最大の食品企業で即席麺市場では世界一のシェアを誇ります。食品を原料から一貫生産することによる、コスト競争力の高さが強みです。

過去10年間で株主資本が2.7倍に増加したものの、時価総額は1.3倍にとどまっており、PBRも1倍割れと割安です。


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即席麺で世界一、インドネシアのインドフード社に割安感(西 勇太郎)
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即席麺で世界一、インドネシアのインドフード社に割安感(西 勇太郎)
インドフード・サクセス・マクムールについての4コママンガ

即席麺、乳製品、スナック、調味料、冷凍食品などを扱うインドネシア最大の食品企業

 インドネシアの財閥サリム・グループの中核企業、インドフード・サクセス・マクムール(INDF インドネシア)(株価6,700ルピア(約61円)、時価総額59兆ルピア(約5,300億円):7月20日終値)は、即席麺ブランド「Indomie」で世界的に知られる企業です。


 農業原料の生産から加工食品、流通までを一体化した垂直統合モデルを持ち、インドネシア国内の食品市場で圧倒的な存在感を持ちます。事業は即席麺、乳製品、スナック、調味料、冷凍食品など多岐にわたり、インドネシア国内のみならず国外でも広く展開しています。特に即席麺部門は世界最大級の生産規模を誇り、アフリカや中東などでも強いブランド力を持っています。


<Indomieは日本国内のアジア系食料品店でも購入可能>
即席麺で世界一、インドネシアのインドフード社に割安感(西 勇太郎)
出所:インドフード・サクセス・マクムール資料

 インドフード・サクセス・マクムールは、1968年に創業者スドノ・サリム氏率いるサリム・グループの食品事業として発展し、1990年代に本格的な加工食品メーカーへ成長しました。特に「Indomie」の爆発的普及によって国内市場を席巻し、2000年代には農業原料、製粉、油脂、乳製品、スナックなどへ事業を多角化しました。


 現在はインドネシア最大の食品企業として世界各地に輸出し、アフリカや中東でも強い存在感を持ちます。


 なお、サリム・グループは、スドノ・サリム氏が1930年代にインドネシアで創業した商社を起源とします。


 第2次世界大戦後の経済成長期に食品、流通、金融へ事業を拡大し、1968年に食品事業として後のインドフード・サクセス・マクムールを設立。1980~90年代にはスハルト政権との近さを背景に巨大コングロマリットへ成長し、銀行、製粉、油脂、即席麺など幅広い産業を支配しました。


 1997年のアジア通貨危機で金融部門が崩壊し再編を迫られましたが、食品、農業、流通を中心に再建。現在はスドノ・サリム氏の三男のアンソニー・サリム氏のもと、インドネシア最大級の企業グループとして国内外で影響力を維持しています。


 ちなみにインドフード・サクセス・マクムールについては4月掲載のレポートもご参照ください。


2026年4月8日: インドネシア【インドフード・サクセス・マクムール(INDF)】


利益急増も株価は横ばい

 インドフード・サクセス・マクムールの当期純利益は、即席麺「Indomie」の世界的拡大、インドネシア国内の人口増と中間層の成長による食品需要の増加、垂直統合による原価低減、農業、製粉、油脂、乳製品などへの事業多角化、海外市場への積極展開などによって、過去10年間にわたり増加してきました。


<インドフード・サクセス・マクムールの当期純利益推移(2015年12月期以降)>
即席麺で世界一、インドネシアのインドフード社に割安感(西 勇太郎)
※2026年は予想値出所:インドフード・サクセス・マクムール資料などより作成

 他方、過去10年間の株価は、当期純利益の急増にもかかわらず、おおむね横ばいで推移してきました。


<インドフード・サクセス・マクムールの株価推移(2015年12月期以降)>
即席麺で世界一、インドネシアのインドフード社に割安感(西 勇太郎)
※2026年は直近値出所:インドフード・サクセス・マクムール資料などより作成

過去10年で株主資本は2.7倍も、時価総額は1.3倍にとどまる

 過去10年間の変化で見ると、売上高が1.9倍、当期純利益は3.6倍と拡大しました。この期間、株主資本の蓄積が順調に進んで2.7倍となりましたが、時価総額は1.3倍にとどまっています。結果的にPBRは1.7倍から0.8倍へと低下し、割安感が出ている状況となっています。


 この割安感が解消され、PBRが過去10年間の平均水準である1.5倍にまで上昇した場合には、株価は1万2,500ルピアとなります。


<インドフード・サクセス・マクムールの業績推移(2015年12月期と2025年12月期)> (十億ルピア) 2015年12月期 2025年12月期 変化(倍) 売上高 64,062 123,493 1.9 売上総利益 17,258 41,192 2.4 営業利益 7,119 23,712 3.3 当期純利益 2,968 10,685 3.6 株主資本等合計 27,269 73,147 2.7 時価総額 45,439 58,829 1.3 PBR(倍) 1.7 0.8 - PER(倍) 15 6 - ※時価総額は、2015年12月期は期末時点値、2025年12月期は直近値
出所:インドフード・サクセス・マクムールの資料などより作成

 インドフード・サクセス・マクムールの過去6年の業績をセグメント別で見ると、完成品食品を販売する、消費者向けブランド製品セグメントが、売上高・利益ともに最も増加率が高かったです。即席麺「Indomie」の世界的拡大により高いブランド力と価格決定力を確保するとともに、乳製品、スナック、調味料など高利益率の製品群が成長したことが要因です。


<インドフード・サクセス・マクムールのセグメント別業績推移(2015年12月期と2025年12月期)> (十億ルピア) 2015年12月期 2025年12月期 変化(倍) セグメント別売上高 64,062 123,493 1.9   消費者向けブランド製品 31,608 75,377 2.4   製粉・パスタ 15,437 24,501 1.6   アグリビジネス 12,039 16,190 1.3   流通 4,978 7,425 1.5 セグメント別利益 7,363 24,569 3.3   消費者向けブランド製品 3,856 15,757 4.1   製粉・パスタ 1,341 2,832 2.1   アグリビジネス 1,506 4,128 2.7   流通 172 627 3.6 出所:インドフード・サクセス・マクムールの資料などより作成

 今後については、即席麺「Indomie」を中心とした消費者向けブランド製品事業の継続成長、インドネシア国内の人口増と中間層拡大による食品需要の底堅さ、製粉・油脂など上流部門の原価改善、そして流通網強化による販売効率向上などを理由として、増収増益トレンド継続が見込まれています。


 株価水準がこのまま変わらなければ、PBRは2027年度に0.6まで低下することが見込まれます。


<インドフード・サクセス・マクムールの業績予想> (十億ルピア) 2025年12月期 2026年12月期 2027年12月期 実績 予想 予想 売上高 123,493 130,611 137,588 当期純利益 10,685 11,464 13,098 株主資本等合計 73,147 86,932 96,630 時価総額 58,829 58,829 58,829 PBR(倍) 0.8 0.7 0.6 PER(倍) 6 5 5 ※時価総額は直近値
出所:インドフード・サクセス・マクムール、FactSetの資料などより作成

即席麺同業他社比でPBRに割安感があり、解消されれば株価は1万7,000ルピア

 一般に株式の評価と収益性はおおむね、図のような比例関係にあります。


<株価評価と収益性はおおむね比例関係>
即席麺で世界一、インドネシアのインドフード社に割安感(西 勇太郎)
出所:各社資料より作成

 この関係を活用し、インドフード・サクセス・マクムールと上場同業他社について、収益性については自己資本利益率(ROE)を、株価評価については株価純資産倍率(PBR)を適用した散布図を作成します。


 なお、インドフード・サクセス・マクムールの上場同業他社である主な即席麺企業には、日清食品ホールディングス(2897 東京)、PT Indofood CBP Sukses Makmur(ICBP インドネシア)(インドフード・サクセス・マクムールの80%連結子会社で消費者向けブランド製品を担う)、東洋水産(2875 東京)、シマダヤ(250A 東京)などがあります。


 これらの企業についての散布図を作成すると、ROEとPBRの間におおむね比例関係があることが確認できます。その中で、インドフード・サクセス・マクムールについては割安方向にずれており、この点から、株価に割安感があるといえます。


 この割安感が解消された場合のインドフード・サクセス・マクムールのPBR(散布図の青破線に乗る水準)は2.0であり、相当する株価は1万7,000ルピアです。


<主な即席麺企業のROEとPBRの関係>
即席麺で世界一、インドネシアのインドフード社に割安感(西 勇太郎)
出所:各社資料より作成

<主な即席麺企業10社のROEとPBR> 社名 証券
コード 取引所 売上高 ROE PBR 百万ドル % 倍 Indofood Sukses Makmur INDF インドネシア 7,484 15 0.8 日清食品HD 2897 東京 5,237 9 1.5 PT Indofood CBP Sukses Makmur ICBP インドネシア 4,536 19 1.5 東洋水産 2875 東京 3,566 14 1.9 Otoki 007310 韓国 2,584 3 0.5 Nongshim 004370 韓国 2,471 6 0.7 Sam Yang Foods 003230 韓国 1,654 38 6.7 Monde Nissin MONDE フィリピン 1,501 15 2.1 Thai President Foods TFMAMA タイ 841 10 1.7 シマダヤ 250A 東京 273 14 1.3 出所:各社資料より作成

 インドフード・サクセス・マクムールは今後も収益拡大が見込まれる中で、現在の株価6,700ルピアには同業他社比で割安感があります。過去実績比で割安感が解消された水準は1万2,500ルピア、同業他社比で割安感が解消された水準は1万7,000ルピアです。


(西 勇太郎)

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