先週はAI株が見直し買いされたものの、アルファベットの決算を機に急落。今週もSKハイニックスやマイクロソフトなどの決算に振り回される展開になりそう。

さらにホルムズ海峡だけでなく紅海も封鎖された中東情勢の行方が多大な影響を与えるでしょう。日本では決算発表が相次ぐ銀行株、製薬株、電力株などに資金逃避が進むかもしれません。


決算ウイークは「AI株急落」に警戒?…いまの株式市場では「好...の画像はこちら >>

今週のトピック:日米韓のAI関連株が決算発表。米国FOMC、日銀会合で金利据え置き?

日付 イベント 7月28日(火) ・キーエンス(6861)、SCREEN HD(7735)が決算発表
・米国で7月消費者信頼感指数 7月29日(水) ・韓国SKハイニックス(SKHY)、アドバンテスト(6857)が決算発表
・米国FOMC終了。金利据え置きが有力も波乱あり?
・米国でマイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)が決算発表 7月30日(木) ・東京エレクトロン(8035)、韓国サムスン電子、米国アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アップル(AAPL)が決算発表
・米国で6月個人消費支出の価格指数、2026年4-6月実質GDP速報値 7月31日(金) ・日銀の金融政策決定会合終了。利上げ見送りが濃厚
・キオクシアHD(285A)、ファナック(6954)、三井住友FG(8316)が決算発表

・29日(水)の半導体検査装置メーカー・アドバンテスト(6857)、韓国半導体メモリメーカー・SKハイニックス(SKHY)、30日(木)早朝のマイクロソフト(MSFT)を皮切りに日米韓の人工知能(AI)関連株が相次ぎ決算発表。少しでも悪材料が出ればAI株は続落?


・29日(水)終了の米国連邦公開市場委員会(FOMC)で原油高に対抗した早期利上げが示唆されればパニック安の恐れも


・国内の決算発表が本格化。好業績期待のメガバンク株、原油高で潤う資源、商社、海運株がAI株から主役の座を奪う?


7月27日(月)の日経平均

 前営業日比553円高の6万5,164円で反発スタート。一時マイナス転換しながらも前場は6万4,764円で終えました。後場では前営業日比170円高で推移しています(7月27日14時現在)。


決算ウイークは「AI株急落」に警戒?…いまの株式市場では「好材料」が「下落要因」となるかもしれない
日経平均株価 チャート

先週(7月20日~24日)の主要株価指数

  終値 前週末比 前週末比率 日経平均株価 6万4,611円 +470円 +0.73% TOPIX 4,011.3pt +92.1pt +2.35% ダウ 5万1,947ドル ▲199ドル ▲0.38% S&P500 7,411pt ▲45pt ▲0.61% ナスダック 2万4,975pt ▲544pt ▲2.13% 注:▲はマイナスを示す

今週のマーケット:日米韓の主力AI企業の決算発表で乱高下!紅海封鎖で内需株、ディフェンシブ株への資金逃避が進む?

 今週は日米韓のAI半導体企業の決算発表が集中し、その決算内容や中東情勢次第では世界的な株安が進行する恐れもあります。


 何より心配なのは中東で米国とイランの停戦協議が完全に崩壊し、ホルムズ海峡だけでなくイエメンの親イラン勢力フーシ派による紅海封鎖まで事態がエスカレートしていることです。


 先週の米国原油先物価格は1バレル85ドル台まで上昇し、中東情勢は3月に世界同時株安を引き起こした米国とイランの開戦直後に逆戻り。


 米国トランプ大統領は24日(金)にイランへの新たな攻撃中止命令を出して、金融市場の動揺を鎮静させる方針のようです。


 しかし、弱腰の米国に対してイラン側がますます増長して、今後も海上封鎖を交渉カードに使う可能性が高くなっています。


 そんな中、今週は株価が急落する世界のAI半導体企業の決算発表が相次ぎます。


 29日(水)朝には韓国の半導体メモリメーカー・SKハイニックス(SKHY)が決算発表。


 AIデータセンター向け高帯域幅メモリ(HBM)の爆発的な需要で記録的な売上高・営業利益の増加が予想されており、結果次第では日本のAI株の反転急騰につながるかもしれません。


 ただ、中東情勢の悪化で市場の雰囲気は「好材料探し」より「悪材料探し」に傾いているため、SKハイニックスがいかに好決算をたたき出しても、好材料出尽くしと受け取られ、AI株急落の流れが加速するかもしれません。


 日本時間30日(木)早朝には米国マイクロソフト(MSFT)やメタ・プラットフォームズ(META)、31日(金)早朝にはアマゾン・ドット・コム(AMZN)も決算発表。


 これら米国巨大IT企業はハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)として2026年だけで100兆円を超えるAI投資を行う予定。


 巨額投資に見合った収益をAIビジネスで実際に上げていなかった場合、AI株が全面安する恐れもあります。


 先週、決算発表したグーグルの親会社アルファベット(GOOG)は2026年4-6月期のAIクラウド事業の売上高が前年同期比82%増と市場予想を上回る過去最高の成長率を達成。


 しかし、2026年の設備投資計画を最大2,050億ドル(約33.4兆円)に引き上げたことやフリーキャッシュフロー(事業で得た利益から設備投資などの支出を引いた現金収支)がマイナスになったことが悪材料視され、株価は前週末比7.8%も下落。


 今週のマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アマゾンがその二の舞いになる恐れがあります。


 日本でも先週、前年同期比42%増というハイレベルな営業増益を発表した半導体切断装置のディスコ(6146)が今後の収益予想が市場予想に届かなかったという理由で、24日(金)に前日比12.3%も急落。


 30日(木)の東京エレクトロン(8035)、31日(金)のキオクシアホールディングス(285A)などが好決算を発表しても、素直に評価されるかどうかは中東情勢など市場を取り巻く雰囲気次第になりそうです。


 今週はAI関連株以外にも、29日(水)にはIT大手のNEC(日本電気:6701)、証券大手の野村ホールディングス(8604)、30日(木)には武田薬品工業(4502)、みずほフィナンシャルグループ(8411)、31日(金)には三井住友フィナンシャルグループ(8316)など多数の非AI株が決算を発表。


 原油価格高騰による国内物価高の加速懸念もあって日本の10年国債の金利が2.8%台まで再上昇しているだけに、金利上昇が収益貢献につながるメガバンク株や地方銀行株が資金の逃避先になるかもしれません。


 またディフェンシブ色の強い製薬株や電力株、AI株が売られると買われることが多いゲーム株やソフトウエア株は好決算に素直に反応して上昇する銘柄が目立ちそうです。


注目イベント:米国FOMC、6月個人消費支出の価格指数

 今週は29日(水)夜に終了する米国FOMCとウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見も控えています。


 ホルムズ海峡だけでなく、サウジアラビア産原油の輸送路に当たる紅海まで封鎖される状況の中、先週の米国ガソリン価格は再び1ガロン4ドル台の節目を突破。


 10%の暫定関税が失効した米国では、トランプ大統領が先週24日(金)、日本に12.5%など新たな関税措置を発動。この新関税も米国の物価高加速の要因になります。


 これを受けて、金融市場では今回FOMCでの利上げ確率は低いものの、9月利上げ予想が50%を超える水準まで上昇。


 FOMC後の記者会見でウォーシュFRB議長が米国内の物価高により厳格に対処する強硬姿勢を示すと、株式市場がさらにネガティブな雰囲気に包まれてもおかしくないでしょう。


 また30日(木)発表の6月個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)の伸び率が高止まりすると、早期利上げ観測がさらに強まりそうです。


市場別マーケット動向

日本市場

 日本市場はAI株の乱高下が続く中でも、今週、2026年4-6月期の決算発表を行う地銀、メガバンク、ゲーム・エンターテインメント、電力、製薬、食品株など、主に内需株が資金逃避という意味でも買われる展開になりそうです。


 先週もAI株が乱高下して日経平均株価が辛うじて前週末比0.73%高となる中、メガバンク株などの影響力が高い東証株価指数(TOPIX)は2.35%も上昇。


 1ドル163円80銭台の円安が進んでいますが、トランプ新関税や中東情勢悪化もあって自動車、鉄鋼、化学といった外需株は手掛けにくい面もあります。


米国市場

 中東情勢緊迫化の中、米国トランプ大統領は相変わらずイランへの大規模攻撃を警告したあと、攻撃停止を示唆するなど発言が二転三転。


 11月に中間選挙を控え、支持率低下につながるガソリン価格高騰や株価の下落を食い止めたいトランプ大統領の口先介入は今週も続きそうです。


 ホルムズ海峡や紅海の封鎖が常態化しても、原油高で資源株、金利上昇で銀行株、ディフェンシブ株として電力、ガス、鉄道など公益株や製薬株が買われる可能性もあります。


 先週もAI株が不調の中、AIの波に乗り遅れたアップル(AAPL)は24日(金)に前日比3.5%高、前週末比でも0.2%安にとどまっており、今週もAI株下落とアップル株上昇が同時進行する相場展開になるかもしれません。


業種・銘柄の動き

銘柄 先週の騰落率 ポイント キオクシアHD(285A) +7.5% 31日(金)の決算発表をにらみ乱高下? 三井住友FG(8316) +6.6% 31日(金)の決算発表で続騰も!? SKハイニックス(SKHY) +0.4% 29日(水)の決算で疑心暗鬼払しょくの急騰もある? マイクロソフト(MSFT) ▲3.1% 30日(木)早朝に決算発表。
AIクラウド事業失速なら急落も 注:▲はマイナスを示す

先週までの振り返り:原油価格高騰で資源株、金利先高感で銀行、保険株が上昇。空運株やソフトウエア株が売られる

 先週は中東情勢緊迫化による原油高で資源株が上昇。INPEX(1605)が前週末比10.6%上昇するなど鉱業セクターが週間の業種別上昇率1位になりました。


 石油元売り最大手のENEOSホールディングス(5020)が6.2%高するなど石油・石炭製品セクター、三菱商事(8058)が10.6%高するなどエネルギー事業の比率が高い商社株が属する卸売業セクターも上昇率上位でした。


 上昇率2位は米国の銀行の好決算が相次いでいることを好感して三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が8.1%高となるなど、銀行業セクターがランクイン。


 乱高下するAI株から、原油価格や金利の上昇で今後も高収益が続きそうな資源、銀行株に投資資金が逃げ込んだ格好になりました。


 個別株では、石炭事業から撤退して事業の多角化を進める三井松島ホールディングス(1518)が2027年3月期の大幅追加増配を発表して48.1%高と急騰。


 いよぎんホールディングス(5830)と経営統合に向け協議、検討を進めていくことについて基本合意することを発表した愛媛銀行(8541)が20.6%高。


 その報道で業界再編期待が高まったことや金利の先高観もあり、宮崎銀行(8393)が15.4%高となるなど、地銀株に上昇する銘柄が目立ちました。


 一方、下落率ワーストは日本航空(9201)が4.0%下落するなど、燃料費の高騰が懸念される空運業。


 AI株乱高下の中、短期上昇後の見切り売りが出たソフトウエア関連株が属するサービス業がワースト2位に。


 医師向けサイト運営のエムスリー(2413)が5.2%安。21日(月)に上場来高値をつけたものの利益確定売りに押された人材派遣のリクルートホールディングス(6098)が6.0%安でした。


 また、高島屋(8233)が9.9%安となるなど、株高による高額消費の拡大で株価が急上昇してきた百貨店株も利益確定売りに押されて大きく下落しました。


セクター・業種(上昇・下落)

銘柄 騰落率 備考・要因 鉱業 +10.06% 原油高を好感して反発 銀行業 +7.93% 米国銀行の好決算や地銀の統合期待で上昇 保険業 +7.38% 米国金融株の上昇を好感 サービス業 ▲2.51% ソフトウエア関連株の手じまい売りが進む 空運業 ▲3.19% 原油価格高騰を嫌気 注:▲はマイナスを示す

(トウシル編集チーム)

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