「SaaSの死」という言葉が独り歩きし、今年に入ってから好業績にもかかわらず売られるソフトウエア株や、SIer(システムインテグレーター)、AIエージェント株が増えていました。ところが、その中から好業績が見直されて急反発する銘柄が出てきています。

今、買ってみて面白いと私が考えている5銘柄を紹介します。


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ベース、Ubicom、PKSHA…「SaaSの死」で売られたSIer、AIエージェント株に復活期待(窪田真之)
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好業績の小型株を買っていきたい。今後、小型株優位を予想する三つの理由

 今日は、好業績で「買い場」と判断する小型のSIer(システムインテグレーター)、AIエージェント株を紹介します。ただ、その前に、今、私が小型株を増やす良いタイミングだと考えている理由を説明します。


 私は、ファンドマネジャー時代も今も、小型株が好きです。好き嫌いで選ぶと、私のポートフォリオは小型株が多めとなる傾向がありました。ただし、注意が必要でした。


 小型株をオーバーウエート(東証株価指数[TOPIX]の構成比よりも高い比率とすること)している時、大型株主導で日本株が大きく上昇すると、ベンチマーク(競争相手)である配当込み東証株価指数に大負けしてしまうからです。


 従って、小型株優位の展開になると見通せない時には慎重に大型株を多めに組み入れていました。しかし、大型株優位が終わり、小型株優位に転換すると予想する時には、思い切って小型株の比率を高めることもありました。


 私がもし、今も日本株ファンドマネジャーをやっているとしたら、今、小型株の比率を高めとすべきタイミングと思います。そう考える理由を説明します。


 日本では2021年以降5年以上、大型株優位の株価上昇が続いてきました。特に大型バリュー株(金融・資源関連などの大型高配当利回り株)の上昇が際立っています。大型グロース株の一角(半導体関連株など)も大きく上昇しました。一方、小型バリュー株・小型グロース株は相対的に上値が重いままです。


日経平均、東証プライム、東証スタンダード、東証グロース250指数の動き比較:2022年4月1日=100、2026年8月14日まで
ベース、Ubicom、PKSHA…「SaaSの死」で売られたSIer、AIエージェント株に復活期待(窪田真之)
出所:QUICKほか各種資料より楽天証券経済研究所作成

 日経平均株価は大型の半導体・AI関連株の構成比が高いので、上昇率が一番高くなっています。東証プライムも、大型株の比率が高いので上昇率は高いのですが、日経平均ほどではありません。


 東証スタンダード市場は小型バリュー株が多いので、日経平均と比較すると大幅に出遅れています。東証グロースは、ほとんど上昇していません。


 これから私は、


【1】東証プライム市場の好業績小型株


【2】東証スタンダード市場の好業績小型株


に積極的に投資していくのが面白いと考えています。


 東証グロース市場は玉石混交なので、銘柄選別が難しいです。また、東証グロース市場で業績が伸びてくる銘柄は、すぐ東証プライムに移行する傾向があるので、東証グロースに残っている銘柄から良い銘柄を見つけにくくなっています。今はむしろ、過去3年に、東証グロースから東証プライムに移った小型グロース株をねらった方が良いと私は思います。


 今後、大型株の上値がやや重くなる中、好業績小型株のパフォーマンスが良くなると予想しています。それには、三つの理由があります。


【1】経験則:大型株優位と小型株優位は循環する


 最初の理由は、経験則です。2020年以降、長く大型株優位が続きました。ただし、「大型株優位」の相場と「小型株優位」の相場は、循環的に繰り返します。経験則からは、そろそろ小型株優位に転換する頃合いであると思います。


【2】日本で金利上昇が続く可能性がある


 過去の経験則では、金利上昇局面は、大型株のパフォーマンスが不振になり、小型株が相対的に見直される傾向があります。


【3】東証のガバナンス改革が進む


 東京証券取引所(東証)が、株価純資産倍率(PBR)1倍割れ企業に「株主価値改善策の開示と実施」を求めてから、日本企業に自社株買いが増えてきています。この流れが続けば、PBR1倍割れが多い小型株が見直される可能性があります。


 以上、日本株で小型株が優位になると私が予想している理由を説明しました。それでは、この先、私が注目している小型株を紹介します。


「SaaSの死」で売られたソフトウエア関連株に注目

 小型株には、今、最高益を更新する見込みなのに株価指標で見て割安な銘柄が多数あります。最高益を更新する見込みなのに株価収益率(PER)が低く、予想配当利回りの高い銘柄がたくさん見つかります。


 今日は、その中でも、特にSIer、AIソリューション、AIエージェント提供企業に注目します。いずれも、今年に入ってから「SaaSの死」で悲観が広がって売られたものの、足元の業績が好調であることを評価して、株価が底打ちしつつあります。私が投資してみて面白いと考えるのは、以下5銘柄です。


投資の参考銘柄:好業績のソフトウエア関連株:2026年8月17日時点
ベース、Ubicom、PKSHA…「SaaSの死」で売られたSIer、AIエージェント株に復活期待(窪田真之)
出所:QUICKほか各種資料より楽天証券経済研究所作成。予想配当利回りは、今期1株当たり配当金(会社予想)を8月17日株価で割って算出。1株当たり配当金は、ベース186円(うち60円は記念配当)、SRAHD220円、ビジネスエンジニアリング42円、UbicomHD40円、PKSHA Technology10円。UbicomHDは会社予想を公表していないので市場予想を利用。今期とは、PKSHA Technology2026年9月期、ベース2026年12月期、その他2027年3月期

 ベース(4481)SRAホールディングス(3817)ビジネスエンジニアリング(4828)の3社はSIerですが、いずれも顧客向けにカスタマイズしたソリューションを提供することにおいて差別化したサービスを展開しています。ベースは、受託開発中心のSIerですが、富士通(6702)野村総合研究所(NRI:4307)など大手企業と取引があり、高い技術力を背景に高い利益率を得ています。


 Ubicomホールディングス(3937)は、医療業界に特化したソリューション提供で高い収益を上げています。また、フィリピンを拠点としたAIシステム開発を大企業に提供するビジネスでも差別化できています。


 PKSHA Technology(3993)は、AIエージェントを開発提供する成長企業として注目しています。個別企業にカスタマイズしたAIソリューションと、パッケージ化されたAI-SaaSプロダクトの二つを提供します。


 なお、ここまで「SaaSの死」とは何か説明していませんが、以下、簡単に説明します。


「SaaSの死」でソフトウエア、SIer、AIエージェントが売られた背景

 今年に入ってから「ビジネス用のAI(人工知能)が高度化すると、既存のソフトウエアは不要になる」という極端な考えが広まり、米国・日本を含め世界中でソフトウエア株が一斉に売られました。これが、「SaaSの死」と言われる現象です。


 きっかけとなったのは、米国のAI開発企業アンソロピックがリリースしたビジネスAIツール「クロード・コワーク」です。

これまで人間やSaaSがやってきた業務の多くを、将来AIが自律的にこなしていくという期待が高まりました。 


【注】SaaS(サース)とは


 Software as a Service(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の頭文字を取った造語。クラウド経由で提供されるソフトウエアのこと。ソフトウエアには、端末にインストールして使うソフトウエア(組み込みソフトウエア)と、インターネットを通じて利用するソフトウエア(SaaS)があります。


 組み込みソフトウエアは、利用する端末ひとつひとつにインストールする必要がある上に、バージョンアップがある度に再インストールが必要で手間がかかります。一方、SaaSは、インターネットに接続するだけで簡単に使えて、常に最新バージョンにアップデートされている便利さがあります。


 そうした背景から、近年は、組み込みソフトウエアの利用が減り、SaaSを利用する企業がどんどん増えていました。


 SaaSを提供する企業は、業績が好調で昨年の前半くらいまでは成長株として株式市場で軒並み大きく値を上げていました。ところが、「SaaSの死」という衝撃的な言葉が広まると、一斉に株価が下落するようになりました。


 私は、「SaaSの死」というキャッチコピーがあまりに見事だったために、株式市場は過剰反応していると思います。実際、「SaaSの死」で売られたソフトウエア株には、今も業績が好調で、最高益を更新中の銘柄が多数あります。


AIを使って高度化するSaaSはさらに発展する

 多くの人が分かっていることは、「既存のソフトウエアが今すぐ不要になるわけではない」ことです。AIがいくら高度化しても、個別のビジネスにそのまま使えるわけではありません。

個別のビジネスの「ドメイン知識(専門知識)」をしっかり学習させ、そのビジネスに合わせて「カスタマイズ(特注仕様)」しないと、使いものになりません。


 これから、ビジネスの現場で、AIにドメイン知識をしっかり学習させてカスタマイズして「AIエージェント」として独り立ちさせる作業が、どんどん進められるでしょう。ただし、それで既存のSaaSが死んでいくことにはならないと思います。以下二つの理由によります。


【1】既存のビジネス用SaaSはドメイン知識に詳しく個別ビジネスにカスタマイズされている


 既存のビジネス用SaaSは、ドメイン知識を学習し、カスタマイズすることで、個別のビジネスに役立つように進化してきました。個々のビジネスをよく知っているという点において汎用AIに対して優位です。


 個別ビジネスにカスタマイズされていないパッケージ・ソフトは不要になっていく可能性もありますが、個別ビジネスにカスタマイズされたソフトウエアがすぐに淘汰(とうた)される可能性は低いと思います。


【2】既存のSaaSもAIを採り入れてAI-SaaSとして進化していく


 既存のSaaSがAIを採り入れない旧来のソフトウエアのままであれば、いずれAIに淘汰されると思います。ただし、既存のSaaSも当然ながら、AIを採り入れて進化していくことになります。AIを採り入れて高度化したSaaSを、AI-SaaSと呼ぶことがあります。そうして高度化していくSaaSは、継続して発展していくことになります。


 そもそもAIも広義のソフトウエアです。

クラウド経由で使われるAIも、広義のSaaSであるともいえます。つまり、「AIによってSaaSが死ぬ」という考えにはそもそも矛盾があるわけです。正しく言い換えるならば、「AIを採り入れないSaaSは淘汰されるが、AIを採り入れて高度化するSaaSはさらに発展する」と言うべきと思います。


「SaaSの死」で売られるSIer

「SaaSの死」というキャッチコピーで売られたのは、ソフトウエア株だけではありません。システム開発会社や、SIerの株も同じように売られました。


 最近、AIが人間に代わってプログラミングをできるようになってきたことから、「将来、システム開発は全てAIにやらせる」と言う経営者も現れ、システム開発を行う企業の株が売られるようになりました。


 確かに、AIによって最近、システム開発の省力化がかなり進んでいるのは事実です。生成AIは言語能力が高く、システム言語(コード)も完璧に学習し、人間に代わってプログラミングをこなすようになりました。


 簡単なソフトウエアであれば、アンソロピック社の「クロード・コード」を使えば、自然言語でプロンプト(AIへの指示)を出すだけで、開発できる可能性が示されました。つまり、技術者でなくても、簡単なソフトウエアを作れる可能性が示されたわけです。


 これに株式市場は過剰反応していると思います。システム開発企業の株価は業績好調でも売られるようになりました。簡単なソフトウエアが簡単に作れるようになる可能性が出たものの、複雑なシステム開発を全てAIに丸投げできるわけではありません。


 コーディングなどをAIに任せることでかなりの省力化が進みますが、それでSIerが売られるのは、過剰反応であると思います。


 大手のSIerは、AIを活用することでシステム開発のコストを下げ、さらに収益性を高めていくことになると思います。ただし、簡単な業務システムを作っているだけのシステム開発会社は、淘汰されていく可能性はあります。


AIエージェントで伸びる企業まで売られる

「SaaSの死」という言葉の独り歩きで、最近さまざまなインターネットサービスを提供する企業まで、一部売られるようになりました。


 近年、インターネット上のあらゆるサービスにAIが活用されるようになってきました。クラウド経由でAIエージェントを提供する成長企業まで売られているのを見ると、さすがに行き過ぎではないかと考えています。


「超」成長株の見つけ方

 成長株投資にチャレンジしたい方に、以下、私の新著をご紹介します。幻冬舎より5月27日に出版されました。私がファンドマネジャー時代に、実際にやっていた成長株投資の手法を解説しています。


2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーが明かす「超」成長株の見つけ方


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