株価が上昇する要因はさまざまですが、大きく「需給」と「企業価値増加」の二つに分けることができます。それぞれどのようなケースが当てはまるのか、そして個人投資家はどちらを重視すべきなのかを知っておきましょう。


株主優待の落とし穴:その「お得」は、本当に利益になってる?の画像はこちら >>

株主優待の廃止や内容変更に注意

 株主優待を実施している日本の上場企業は多く、個人投資家の中にも株主優待を楽しみにして投資している人も少なくないと思います。


 株主優待は、株主への利益還元の一つとして有効な方法ですが、一方で大株主にとっては不利益にもなりえます。


 例えば100株以上保有する株主に一律5,000円分の自社商品券を渡すという株主優待をしている企業があるとします。


 100株保有している株主も、1,000株保有している株主も、100万株保有している大株主も、受け取ることができるのはみんな一律で5,000円分の自社商品券ですから、株数が多い株主にとっては不利なことが分かります。


 もしこれが配当金であれば、1,000株保有している株主は100株保有している株主の10倍の配当金が受け取れますから、株式数に見合った公平な扱いになります。


 このような事情から、株主平等原則の観点から株主優待を廃止するという企業が出ています。また、諸々の理由によって株主優待の内容を変更したり、縮小したりするケースもあります。


 株主優待の廃止や内容変更によって、株価が大きく下落してしまうこともありますから、あまり一つの銘柄に資金を集中させないで、できるだけ分散させて投資することが重要です。


株価の動向によっては「高い買い物」となることも

 株主優待を目的とした株式投資で最も気を付けなければならない失敗が、株価の大きな下落により株主優待が「高い買い物」になってしまうことです。


 例えば株価5,000円の株を100株(50万円)買ったとします。この株を保有していると年間で1万円分の食事券がもらえると知り、喜んで買って保有していました(説明の便宜上、配当金はゼロとします)。


 ところが業績悪化などにより、1年で株価が2,000円まで下落してしまいました。今売れば30万円の損失です。1万円分の食事券をもらうために、30万円の損失を被ってしまうというのはとても悲しいことです。


 ではこの株を保有継続して、損失の発生を回避して年間1万円分の食事券で含み損を賄おうとすると、30年間保有していなければなりません。これも途方もない期間となります。


 このように、株主優待を受け取ろうとその株を買っても、株価そのものが大きく下落してしまうと、株主優待だけではなかなか損失を賄えず、厳しい状況になってしまうという点は理解しておく必要があります。


信用取引を使った「裏ワザ」とは?

 最近多いのが、株式数だけではなく保有期間によって優待内容を変えるというケースです。これは、企業としても個人投資家に安定株主として長期間保有継続してもらいたいという意図があるためですが、この保有期間にこだわりすぎてしまうと、上述のように株価が大きく下落してしまい、損失を被ってしまいます。


 そこで考えられるのが信用取引を使った「裏ワザ」です。例えば株価が下降トレンドに転じてきたので売却したいが、売却すると保有期間がリセットされてしまう…という場合、保有している現物株はそのまま保有しつつ、同じ株を同じ株数だけ空売りするのです。


 現物株は保有継続していますから保有期間がリセットされることもありませんし、空売りによる両建てによって、株価が下落しても実質的には損失の拡大を抑えることができます。


 もし株価の下落が止まって再び上昇トレンドになったら、保有する現物株はそのままにして、空売りだけ買い戻せばよいのです。


何の目的で株式投資をするかを改めて考えよう

 実は筆者は株主優待を主目的とした株式投資はしていません。それは、筆者の株式投資の目的は資産を増やすことであり、株主優待品を受け取っても資産を増やすことと必ずしも直結しないからです。


 もちろん株主優待を目的とした株式投資は初心者の方にはなじみやすいし、楽しみながら投資ができる点はよいと思います。


 ただ、その一方で上述の通り株主優待にこだわり過ぎた結果、損をしてしまったり、株主優待が高い買い物になってしまったりすることもあります。


 筆者が考える一つのアイデアは、もし株式投資の主な目的が株主優待品を受け取るのではなく、資産を増やすことなのであれば、銘柄選定は株主優待ではなく企業業績などのファンダメンタルズで行い、その中で株主優待を行っている企業があればその会社の株に投資する、という方法です。


 もしくはファンダメンタルズなどで銘柄選定および実際の投資を行い、投資した銘柄がたまたま株主優待を行っていれば、ありがたくそれを受け取る、という方法もあります(筆者はこの方法です)。


 株主優待の存在が強くなりすぎて、株式投資の本質を見失わないようにしてください。


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(足立 武志)

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