「トンネルの街」長崎のいちばん重要なバイパスに!

 長崎市で「長崎南北幹線道路(茂里町-滑石工区)」の事業が進められています。長崎周辺で多数整備されてきた高規格道路のなかで「本丸」とも言える核心的な道路です。

「主要道路はこれ1本」バスも路面電車も全集中する市街地に「ト...の画像はこちら >>

 長崎南北幹線は、長崎道・長崎ICから長崎市街を南北に縦断し、時津町に至る約15km。うち2025年に事業化した茂里町-滑石工区5.3kmは「長崎時津縦貫線」の一部にも位置づけられています。

 この道路は長崎市街を南北に貫き、路面電車や多くのバスが走る「国道206号」のバイパスです。

 浦上川沿いに形成された長崎市街は平地が極めて少なく、国道206号からすぐ急峻な山岳地帯となるため、ほとんどの交通が国道206号に集中します。この縦軸に対し、長崎の道路ネットワークは国道206号から山を隔てた郊外に交通を分散させるため、市街の東側を通る高速道路(長崎道)とのあいだに複数の横軸に当たるトンネル主体の高規格道路が作られてきました。

 これに対し、長崎南北幹線道路は国道206号という唯一無二のルートに並行する「縦軸」のバイパスとなります。

 長崎南北幹線道路のルートはこうです。長崎ICから長崎市街へは有料の「ながさき出島道路」が通じています。そこからJR長崎駅の南側を経て浦上川沿いを北上し、今回の茂里町付近まで通じる都市計画道路「浦上川線」が2010年までに4車線で開通しています。現在はJR線をまたいで国道206号に接続する線形ですが、今後つくられる長崎時津縦貫線はそのまま川沿いを橋梁で北上し、山間部を一気にトンネルで貫き、長崎市北部の滑石ICに至ります。

 その先、長崎縦貫線としては未着手区間ですが、佐世保方面へ通じる計画の「西彼杵道路」へのアクセス道路として別の都市計画道路(長崎畝刈線、1.4km)が時津ICまで事業化しています。将来的には西彼杵道路と一体になり、国道206号で約70km離れた長崎市から佐世保市まで、現在約76分かかるところを約54分へ短縮できる、とされています。

「お買い物に便利」になった隣町

 背景には国道206号を北上した先、時津町内の渋滞の深刻さも指摘されています。大村湾に面した時津町は、国道206号沿いや埋立地などに大規模な商業施設が多数できました。

「主要道路はこれ1本」バスも路面電車も全集中する市街地に「トンネルのバイパス」建設へ 将来は「第二の長崎道」
時津町内の西彼杵道路。長崎南北幹線道路はここにつながる(乗りものニュース編集部撮影)

 しかし、長崎市から時津町、長与町、西海市、佐世保方面へ向かう主要ルートはほぼ国道206号一択という状況なうえ、前出した高速道路からの横軸も多くが国道206号につながっているため、通勤も買い物も物流も、1本の道路に集中します。

 この結果、長崎市と時津町のあいだの国道206号は交通量が1日4万台を超え、人口約3万人の時津町がボトルネックになっているのです。国道206号から交通を逃がすのではなく、「206号そのものを回避するバイパス」が、長崎南北幹線道路~西彼杵道路の構想です。

 長崎市によると、同市は「全国の県庁所在都市の中で数少ないシングルネットワーク(自動車専用道路が1本しかない)都市」だといいます。すなわち長崎道のことで、これが寸断されれば災害時に救助・支援活動に支障をきたすため、長崎南北幹線道路~西彼杵道路のルートでダブルネットワーク化することによる防災面のメリットも強調しています。

 同ルートの本丸となる長崎時津縦貫線は、茂里町以北で「長崎平和公園」の西地区にあたる陸上競技場、市民総合プールなどの「再配置」を伴うほか、多くの家屋移転も必要となります。これに対し県と長崎市が用地取得で協定を締結。県は2036年度の開通を目指しています。

【なんて壮大!】これが「長崎南北幹線道路~西彼杵道路」の構想です!(地図/写真23枚)

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