朝の通勤ホーム。ホームに描かれた乗車位置のマークの前に並んで電車を待つ。
10両以上の長い編成でも、停止位置のズレはせいぜい数十cmほどに抑えられています。なぜ、そんな器用なことができるのでしょう。
答えのひとつは、ホームの線路脇やレールのあいだなどに設置された小さな標識です。これは「停止位置目標」、現場では「停目(ていもく)」と呼ばれる目印で、「6」「8」「10」など編成両数を示す数字が書かれているものもあります。
運転士は、自分の電車の編成両数に対応した停目を目安に、先頭車両の先端を所定の位置に合わせるようブレーキを操作していくのです。
ただし、この「ピタリ」を毎回成功させるには、かなりの経験と判断力が要ります。停止位置は、駅の手前数十mほどから始まるブレーキ操作のタイミングで決まり、わずかな判断の違いが結果に影響します。
電車の減速具合は、雨や雪などによるレール状態、乗客の多さによる重量変化、車両ごとの特性などの影響を受けます。そのため列車の運転士は、研修や見習い期間を通じて速度、重さ、天候、勾配などを瞬時に読み取り、数十cmの誤差に収める精緻なブレーキ操作を日々身につけているのです。
とはいえ、人の腕だけで毎回数cm単位まで合わせるのは簡単ではありません。そこで活躍しているのが、駅への停止操作を支援する「定位置停止装置」、英語の頭文字を取って「TASC(タスク)」と呼ばれるシステムです。「Train Automatic Stop Control」の略で、「定位置停止支援装置」などとも表記されます。
仕組みはこうです。駅の手前に設置された地上子(ちじょうし)などから位置情報を受け取り、車上のコンピュータが現在の速度と停止位置までの距離をもとに減速パターンを自動で計算。そのパターンに合わせて必要なブレーキ力を制御し、所定の位置に止めるように支援します。
国内で早い時期に本格導入された例としては、1993年の東京メトロ銀座線が挙げられます。ホームの長さに余裕がない駅が多く、オーバーランを防ぐ目的などから導入されました。
その後、ホームドアの整備が進むにつれて、JR各社や地下鉄、私鉄の一部路線でTASCやATOなどの定位置停止制御が導入されていきました。ホームドアと電車のドア位置を合わせるには、停止位置のばらつきを小さく抑える必要があるからです。ズレが大きいとドアが開けられず乗客の乗り降りができなくなるおそれがあり、さらに隙間に人が取り残されてしまう危険もあります。
もっとも、すべての路線がTASCを使っているわけではありません。
万一、急病人対応などで通常の停止位置から大きくずれた場合の備えも、近年は見直しが進んでいます。2021年の京王線車内事件では、緊急停車した列車のドアとホームドアの位置が合わず、乗客が窓から避難せざるを得ない状況になりました。
これを受けて国土交通省は、緊急時に位置がずれている場合でも双方の扉を開け、乗客を安全に誘導・救出することを基本とするよう指示しました。
一見、あたり前に見える「電車がピタリと止まる」風景。その正確さは、運転士の訓練、地上から位置を教える装置、万一に備えた運用ルールが噛み合って働くことで支えられているのです。

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
