長崎に原爆が投下された9日、女優・吉永小百合(81)と山田洋次監督(94)が東京・新文芸坐で第15回「戦争の記憶と記録を語り継ぐ映画祭」でトークショーを行った。

 壇上では司会者より吉永が現在、新作の撮影中であることが明かされた。

詳細は後日公表されるが、本人は「春夏の場面が終わり、これから秋冬。9か月かけて撮る予定です」とだけ触れた。本来、この時期はライフワークの「原爆詩の朗読」に奔走しているが、今年は難しい。それでも「なにか力になりたい」思いを募らせ、この日のイベントに率先して動いた。

 戦後81年。戦争を知る人は減る一方だ。吉永には中学生のときの出来事が原点にある。母に「どうして戦争に反対しなかったの?」と聞くと、返ってきたのは「言えなかった」という言葉だった。「言えないって、どういうことだろうと思って。言えなくなってはいけない」。恐怖感と危機感を覚えた。

 これまで特に核兵器に関して「絶対に持ってはいけない」という考えを一貫して訴えてきた。

トークは戦争を扱った山田作品で吉永主演の「母べえ」(2007年)、「母と暮せば」(2015年)の上映後に行われた。「母と―」では二宮和也(43)と親子を演じた。長崎の原爆で息子を失い、癒えることのない喪失が描かれた。

 「二宮さんとは共演後、本当の親子の関係のように仲良くしていますが、ああいう青年がパッといなくなったら、どんなに大変か…」とイメージするだけで言葉に詰まった。山田監督は深くうなづきながら「現れるのを撮るのは簡単だが、いなくなった悲しみをどうやって表現するか。本当はもっともっと、そこに工夫をこらすべきだったかもしれませんね」と顧みていた。

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