イギリスで開催された世界有数の航空ショーで、ウクライナが公開した新たなドローン兵器が注目を集めています。すでにロシアへの長距離攻撃で実績のある自爆ドローンが、今度は子機を空中から発射する「母機」として再利用されるというのです。
「実は昨夜も、この機体がモスクワの大型倉庫2か所を攻撃したんです」
イギリスで開催された「ファーンボロー国際航空ショー2026」。ウクライナ国営防衛産業(Ukroboronprom)のブースで、担当者はそう語りました。彼が指さしていたのは、大型ドローン「Liutyi(リューティ)」です。
Liutyiは、ロシア国内の石油施設や軍需施設への長距離攻撃で知られる機体です。航続距離は約2000kmとされ、機体ごと目標に突入する自爆型ドローンとして、すでにウクライナ軍によって運用されています。その活動は、ロシア国内で撮影された映像などからも確認されています。
しかし、Liutyiは「自ら突っ込む兵器」のままでは終わりませんでした。今回、Ukroboronpromが初めて一般公開したのが、小型ジェット無人機「UAV-191」です。この機体はLiutyiの翼下に最大4機搭載され、空中から発射されることを想定しています。
UAV-191は小型の巡航ミサイルのような見た目ですが、担当者は「これは巡航ミサイルではなく、ターボジェットエンジンを搭載したUAVです」と説明します。最高速度は約500km/h、射程は約200km。
つまり、これまで自爆攻撃という一方向の役割を担ってきたLiutyiを、今後は発射母機として再利用するのです。担当者によると、攻撃用と囮用の子ドローンに任務を分担させることで、より柔軟な長距離攻撃システムを構築することを目指しているといいます。
“実戦”が兵器を進化させる航空ショーでは、実用化まで何年もかかるコンセプトモデルが展示されることも珍しくありません。しかし、今回公開されたLiutyiとUAV-191の親子ドローンのコンセプトは、それらとは少し性格が異なります。
母機となるLiutyiは、すでに実戦で使われている兵器です。その実戦経験を基に、新たな能力を付与する存在がUAV-191なのです。このコンセプトからは、実戦配備済みの兵器であっても絶えず改良を加え、能力向上につなげようとするウクライナ防衛産業の姿勢が見て取れます。
ロシアとの交戦が続くウクライナでは、防衛産業における開発サイクルの短さが注目されています。開発されたドローン兵器は短期間で実戦に投入され、そこで得られたノウハウや教訓は、すぐに次の設計へと反映されます。このサイクルを繰り返すことで、既存兵器の改良と新しい兵器の開発が同時に、そして猛烈なスピードで進んでいるのです。
Ukroboronpromの担当者も、「ウクライナには実戦で培ったノウハウがある」と語り、その経験を海外との共同開発や輸出にも生かしたい考えを示しました。
今回の展示は、単に新型ドローンを披露するだけのものではありませんでした。実戦で得られた経験を次の改良へつなげ、新たな能力を加えながら兵器を絶えず進化させていく。そうした開発のあり方そのものが、現在のウクライナ防衛産業を象徴しているようでした。

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