小銭を入れた瞬間に金額が出る!

 路線バスを降りるとき、運賃箱に小銭を入れると、待つ間もなく投入額が表示されます。複数の硬貨をまとめて入れても、きちんと合計が出るのは不思議に感じる人もいるのではないでしょうか。

バスの運賃箱、投げ入れた小銭をなぜ“一瞬”で数えられる!? ...の画像はこちら >>

 実はバスの運賃箱は、入ってきた硬貨をすばやく判別し、その場で金額を数えています。バラバラの小銭を後からまとめて数えているのではなく、投入されたそばから金種を見分けているのです。

 このしくみは「即時計数式」と呼ばれます。運賃箱などの製造を手掛ける小田原機器の公式ウェブサイトによると、同社は1986年に現在の「即時計数式」の基礎となる運賃箱を完成させました。整理券のバーコードを読み取って運賃を計算し、投入された金額と照らし合わせる、当時としては画期的なシステムだったといいます。

 では、運賃箱はどのようにして硬貨の種類を見分けているのでしょうか。その考え方は、身近なあの機械にも使われています。

硬貨を見分ける目は、自販機と同じ

 硬貨を見分ける仕組みは、自動販売機などに使われるコインセレクターと近い考え方です。

 電子式のコインセレクターは、電子回路とコイルで磁界をつくり、硬貨が通るときの変化を読み取って、その大きさや材質などを一瞬でとらえ、どの金種かを判別します。

 この見分け方はとても精密です。例えば、コインセレクターを手掛けるオクトの公式ウェブサイトでは、大きさや厚み、重さ、色、デザインが100円玉に似たメダルでも、100円玉とは判別しないと説明しています。すり減った硬貨や、汚れた硬貨が戻ってくることがあるのは、こうした判別条件から外れるためです。

 硬貨と整理券を分ける工夫もあります。これらを分離する「斜めベルト方式」を採用した運賃箱は、投入金額を目で確認できるようにしています。

 投入された硬貨は、その後どうなるのでしょうか。

 運賃箱には、投入された硬貨を金庫に収めるもののほか、両替用の小銭として再利用する循環式のものもあります。この循環式は「硬貨循環式運賃箱」とも呼ばれ、運賃として支払われた硬貨を、そのまま釣り銭の種銭として活用するしくみです。

 普段使うバスの運賃箱は、硬貨を見分ける機能と、すばやく数えるしくみを備えた、小さなハイテク機器だったのです。

【写真】レトロなバスの運賃箱

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