インバウンド需要に沸いている日本。観光地はもちろん、大きな都市ではどこに行っても外国人の姿が目に入ってきますが、日本に住み、インフレ&物価高の影響を大きく受けている日本人からすると「日本の何がそんなに良いのか?」と疑問に思ってしまいますよね。

そこで、すこし日本にゆかりのある外国人に「日本の印象」を聞くことで、我々が忘れかけていた日本の素晴らしさに改めて気づくことができるかもしれません。

ハワイ育ちの18歳が沖縄の朝食ビュッフェに驚き!「全部知って...の画像はこちら >>
ハワイ州ホノルル出身で、9月からオレゴン州の大学に通うケイトリンさん(18歳)。幼い頃から姉とともに沖縄の伝統芸能に親しみ、現在もハワイの沖縄コミュニティで獅子舞などの活動を続ける、日系5世です。初めて日本を訪れたのは2024年12月。東京や大阪を旅した後、2026年6月には家族で沖縄を訪れました。

そこで味わったホテルの朝食は、旅先で口にした料理でありながら、なぜか彼女に「懐かしい」という感覚を呼び起こしたといいます。今回はそんなケイトリンさんに日本の印象を伺いました。

初めて訪れた沖縄なのに、どこか身近に感じた

ハワイで生まれ育ったケイトリンさんにとって、沖縄文化は幼い頃から身近な存在でした。

姉の影響で3歳頃から琉球舞踊を始め、三線や歌にも触れ、現在は獅子舞を中心に活動しています。

とはいえ、実際に沖縄を訪れたのは2026年6月が初めて。

ハワイ育ちの18歳が沖縄の朝食ビュッフェに驚き!「全部知ってる」と笑顔になった温かい記憶
勝連城跡から望む勝連南風原の海と湾(ケイトリンさん提供)
現地で印象に残ったのは、同世代の若者たちとの交流だったといいます。

「沖縄では、私と同じくらいの年齢の子たちとたくさん話しました。ハワイで育つのと沖縄で育つのとでは違うこともあるけど、友達同士の関係は意外と似ているんだなと思ったんです」

なかでも親しくなったのが、旅の通訳をしてくれた20歳の女性だったとか。


18歳のケイトリンさん、21歳の姉とも年齢が近かったことから、すぐに打ち解け、まるで姉妹が一人増えたかのような雰囲気になったそうです。

取材中、ハワイで使う若者言葉「Clock it」を、ジェスチャーを交えながら、楽しそうに話してくれました。

ケイトリンさんによると、「Clock it」は友達の服装が最高に決まっているときなどにも使うそうですが、「それな」「よく言った」と相手の発言に同意するニュアンスを持つ表現だとか。

「アメリカのSNSで流行しているネタが、沖縄の若者たちにもすぐに通じて驚きました。沖縄のいろいろな町で子どもたちに会ったんですが、姉と一緒に流行っているネタをやると、みんなすぐ分かって一緒に笑えたんです。なんだか“共通言語”みたいでした」

一方で、会話は若者らしい話題だけではありません。ハワイと沖縄にはともに米軍基地があることから、そうした生活環境について話すこともあったといいます。

育った場所や言葉は違っても、同世代だからこそ通じ合えるものが多い。そんな距離の近さも、ケイトリンさんが沖縄で感じた印象のひとつだったようです。

「全部知っている」不思議な感覚

初めて訪れた沖縄でありながら、人との距離感にどこか馴染みのあるものを感じたケイトリンさん。

その「初めてなのに知っている」という不思議な感覚は、人との交流だけではありませんでした。毎朝ホテルで目にした朝食にも、強い懐かしさを覚えたといいます。

ホテルの朝食会場に入った瞬間、目の前に並ぶ料理を見て、思わずこう感じたそうです。


ハワイ育ちの18歳が沖縄の朝食ビュッフェに驚き!「全部知ってる」と笑顔になった温かい記憶
毎朝楽しみにしていたホテルの朝食ビュッフェ(ケイトリンさん提供)
「並んでいるものを見て、『あ、全部知ってる』って思ったんです」

朝食ビュッフェに並んでいたのは、ご飯や味噌汁、魚や肉のおかず、漬物、小鉢など。日本人にとっては馴染みのある朝食ですが、海外から訪れた観光客には「日本らしい朝ごはん」として新鮮に映るかもしれません。

アメリカの朝食といえば、シリアルとミルクや、スクランブルエッグにハッシュポテトといったスタイルが定番。ご飯と味噌汁が並ぶ日本の朝食とはかなり違います。

ところが、ケイトリンさんにとって、目の前に並ぶ料理は見覚えのあるものばかりでした。

「姉と私は毎朝そこへ食べに行きました。すごくおいしくて、朝になるのが楽しみなくらいだったんです」

なぜ、沖縄のホテルの朝食が、それほどまでに彼女の心を惹きつけたのでしょうか。

沖縄の朝食が思い出させた、祖母の食卓

その理由は、ハワイで過ごした幼少期にありました。

「父方のNana(祖母)が、私たち姉妹によく日本式の朝ごはんを作ってくれていたんです」

ケイトリンさんの祖母が用意してくれたのも、ご飯と味噌汁、魚や肉などの主菜、そして漬物をはじめとした小さなおかずが並ぶ朝食でした。

「小さい頃からずっと食べていたので、私たちにとってはすごく普通の朝ごはんでした。だから沖縄で同じような料理が並んでいるのを見たとき、全部何なのか分かったんです。それが本当にうれしかったです」

初めて訪れた土地なのに、その朝食は「新しい日本食」ではありませんでした。むしろ、ハワイの祖母の家で過ごした時間を思い出させる、安心できる食卓だったのです。


一方、今回の旅行では、初めて口にしたものもありました。そのひとつが「もずく」です。

ハワイ育ちの18歳が沖縄の朝食ビュッフェに驚き!「全部知ってる」と笑顔になった温かい記憶
お土産用にドン・キホーテで購入した沖縄の乾燥海藻(ケイトリンさん提供)
もずくを食べたのは沖縄が初めてだったというケイトリンさん。旅先で新しい味に出会う一方で、毎朝ホテルで待っていたのは、祖母との記憶につながる味。

沖縄はケイトリンさんにとって、「初めて来た場所」であると同時に、「どこか知っている場所」でもあったのです。

「また行きたい」ではなく「戻りたい」場所に

育った場所も、話す言葉も違う。それでも、食卓や家族の感覚、友達同士の距離、若者ならではの笑いには、驚くほど似たところがある。

ケイトリンさんは今回の旅を振り返り、こう話しました。

「できるだけ早く、また沖縄に戻りたいです。次は姉と二人で『ガールズトリップ』をしようという話もしてるんですよ」

幼い頃からケイトリンさんが、ハワイで受け継いできた沖縄文化。そのルーツの土地を実際に訪れてみると、そこには「外国へ来た」という感覚だけではなく、祖母の朝ごはんや第二の家族のようなコミュニティにつながるものがありました。

ハワイ育ちの18歳が沖縄の朝食ビュッフェに驚き!「全部知ってる」と笑顔になった温かい記憶
沖縄県平和祈念資料館での家族写真(ケイトリンさん提供)
ケイトリンさんにとって沖縄は、一度訪れただけで「また行きたい」と思う観光地ではなく、遠く離れているのに、どこか自分の家族や故郷を思い出させる場所になったのかもしれません。


<取材・文/トロリオ牧(海外書き人クラブ/ユタ州在住ライター)>

【トロリオ牧(海外書き人クラブ)】
2001年渡米、ユタ州ウチナー民間大使。スーパーの品出しやウェイトレス、保育士などを経て、米国政府職員として17年間勤務。パンデミックを機に生き方を見つめ直し、2023年に辞職。現在はラジオ出演や日本のWebメディアで執筆活動を行う。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員
編集部おすすめ