歌舞伎俳優の市川團十郎が現地時間4日、イタリアで開催中の第83回ベネチア国際映画祭(12日まで)の「襲名」(25日公開)公式上映で三池崇史監督、市川新之助と舞台あいさつを行った。

 三池監督がメガホンを取り、13代目市川團十郎襲名披露の軌跡に密着したドキュメンタリー映画「襲名」がアウト・オブ・コンペティション部門に出品。

上映後、スタンディングオベーションの喝采を浴びた團十郎は「ボナセーラ(こんばんは)」と観客にあいさつ。「『襲名』というものは日本独特の世界ですけれど、こうやって三池さんの力の中で、多くの方々に見ていただけて本当に光栄でした。最後の方は字幕もなく、自分たちの素の芝居でしたので、不安で不安で仕方がなかったんですけれど、最後まで見ていただいて、ありがとうございます」と感謝した。

 続けて「私自身もこの映画の姿と同じように、もっと高みを目指して頑張りたいなと改めて思いましたし、この一期一会の時間を皆さんとこうして過ごすことができて、本当に嬉しく思っております。ぜひ歌舞伎を今後何かチャンスがあったら日本に来た際に見てみてください。本日はありがとうございました。グラッツェ(ありがとう)」と呼びかけ、場内は大歓声に包まれた。

 世界三大映画祭の一つであるベネチア映画祭で上映され、「作品として、すごいものができたなという感覚はあるんですけれど、いかんせん自分のことなので、恥ずかしさがこみ上げて汗が止まらないなという感じでした。ですが、やっぱり文化を大事にしている人々にとっては、異国の文化であったとしても初めての世界観を体験して『なんなんだろう』『こういうものか』という、そのリアルな感覚を感じ取ってくれたんだろうな、ということが伝わってきて幸せでした」と手応えを口にした。

 初めて映画祭に参加した新之助は「僕は本当に、まず本当にありがたくて。最初に出させていただいた映画で、ベネチア国際映画祭に出品されて、このベネチアの地に来ることができて、皆様に囲まれながらその映画を見られたというのが、もう本当に嬉しくて」と笑顔。「拍手の時とかもみんな笑顔にあふれていて、本当に嬉しいなって思いました。

けど、やっぱり自分のことなので見ていてすごく恥ずかしくて、父とも顔を見合わせながら『恥ずかしかったね』と言い合いながら、本当にお互い汗がドバドバでした」と声を弾ませた。

 三池監督は映画を撮る経緯について「この『團十郎』というのは歌舞伎界の最高峰の名前であり、頂点に立つ男、歌舞伎そのものを引っ張っていく立場になるわけです。それを聞いた時に、やはりこの歴史的瞬間を記録に残したい、自分も絶対に参加したいと思い、今回の映画になりました」と説明。「ただ、本来は1年で終わるはずだったのですが、コロナ禍をはじめ様々なことがあり、4年近くかかりました」と苦労も明かした。

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