新幹線では、リクライニングを倒してくつろいだり、荷物を隣の席に置いたりすることもある。しかし、混雑している車内では、座席の使い方ひとつで周囲の乗客を困らせてしまう場合もあるだろう。

 今回は、新幹線で周囲への配慮を欠く乗客を目にしたものの、その後の展開にスカッとしたという2人のエピソードを紹介する。

新幹線車内で、はしゃぐ5歳児と注意する母親

「後ろの人のことを考えられない人だね」無言で新幹線のリクライ...の画像はこちら >>
 ある日、久世直人さん(仮名・40代)は、米原駅から姫路駅に向かう新幹線「ひかり」に乗っていた。

「車内は混んでいました。私の前には、母親と5歳くらいの男の子が座っていたんです」

 男の子は好奇心旺盛で、見るものすべてに興味を示すような元気な子だった。しばらくすると、前の席から「うぃ~ん!」という楽しそうな声が聞こえてきたという。

「男の子がロボットごっこでもするみたいに、リクライニングをどんどん倒してきました」

 すると母親は「ダメでしょ! 後ろの人のことも考えないと」と、すぐに男の子に注意した。そして、久世さんにも「すみません」と申し訳なさそうに頭を下げたそうだ。

「私は、『かまいませんよ』と答えました。それよりも、ちゃんと周りのことを考えるように教えていて、すてきな母親だなと思いましたね」

座った途端リクライニングを限界まで倒されて…

 その後、新大阪駅から40代くらいのスーツ姿の男性が乗ってきた。

 男性は、空いている窓側の席を見つけると、通路側に座っていた女性に声をかけることなく、女性の前を通り、席に座った。

「女性は露骨にイヤそうな顔をしていました。私も、ちょっと感じの悪い人だなと思って見ていました」

 そして、その男性が座ったのは、先ほどの男の子の前の席だった。

「座ったと思ったら、いきなり座席をバタンと後ろに倒したんです。しかも、かなり深くまで倒していました」

5歳児の一言に乗客が失笑


 突然、目の前まで倒された座席。男の子は驚いた様子だったが、すぐに先ほど“母親から言われたこと”を思い出したようだった。


 そして、車内に響く声で「このおじさんは、後ろの人のことを考えられない人だね。僕はもう考えられるようになったけど!」と言ったという。

「もう、あまりにもタイミングがよくて。通路側にいた女性が、思わずクスクス笑い始めたんです。その男の子は、嫌味を言っているつもりなんてまったくないんですよね。さっき母親から教わったことを、そのまま口にしただけだと思います」

 周囲にも、次第に笑い声が広がっていった。一方、男性は「あっ」というような表情を浮かべると、気まずそうに周囲を見渡していたという。その後、男性は席を立ち、別の車両へと移っていった。

「数分前に自分が注意されたことを、まさか大人に言うとは思いませんでした。子どもの純粋なひと言だからこそ、余計に響いたんでしょうね」

混雑する自由席で2席を占領する迷惑客

「後ろの人のことを考えられない人だね」無言で新幹線のリクライニングを倒した男性に、5歳児が放った“純粋すぎる一言”
新幹線
 5年ほど前の春、東海道新幹線の自由席を利用していた有馬遼太さん(仮名・30代)。その日は、車内が混雑しており自由席もかなり埋まっていたという。

「私が座った席の近くに、50代くらいの男性が座っていました。その男性は、自分の座席だけでなく、隣の席まで使用し、体を横にするような格好で眠っていたんです。
さらに、隣の座席には荷物まで置かれていまして、完全に2席使っている状態でした。空いている車内ならまだしも、その日は混んでいたので、『何をやっているんだろう』と思いましたね」

 周囲には立っている乗客もおり、これから乗ってきて座席を探す人もいるかもしれない。しかし男性は、そのような状況に気づいていないのか、気持ちよさそうに眠っていたそうだ。

「寝ていたので、本人に悪気はなかったかもしれませんが、混んでいるときに2席使うのは、見ていてモヤモヤしました」

車掌に声をかけられた結果…

 しばらくすると、車掌が車内を巡回してきた。そして、男性のところで足を止め、声をかけた。

「男性は起こされて、ようやく目を覚ましました。車掌から声をかけられた男性は、状況を察したようで、それまで体を横に倒していたのに、すぐに荷物をどかして一つの席に収まりました。車掌さんにも謝っていましたね」

 先ほどまで2席を使用して、堂々と眠っていた姿から一変。男性は気まずそうな様子で、一つの座席に収まった。

「かなり小さくなって座っているように見えました。本人も、『やってしまった』と思ったのかもしれません。立っている人が座れる状態になったので、見ていてホッとしました」

 有馬さんはその姿を見て、抱いていたモヤモヤが少しだけ晴れたそうだ。


<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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