高木豊の交流戦総括 パ・リーグ

セ・リーグ編:交流戦で大きく負け越したセ・リーグ球団に高木豊が喝! 巨人は"大黒柱"を失った危機感が吉に>>)

 交流戦で楽天以外の5チームが勝ち越したパ・リーグ。特に西武、ソフトバンク、日本ハムは大きく貯金を作ったが、高木氏に各チームの戦いを振り返ってもらった。

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【ソフトバンク、西武が見せた強さ】

――今シーズンの交流戦も、昨シーズン同様にパ・リーグの強さが際立ちましたね。

高木豊(以下:高木) なかでも、ソフトバンク(14勝4敗)の破壊力は突出しています。少しレベルが落ちるピッチャーが相手だと高い確率で打ち崩しますし、野手陣のバッティング技術が高いです。本塁打・打点でリーグトップを走る栗原陵矢は、交流戦でさらに覚醒した感がありますよね。正木智也の長打力も光っていましたし、あらためて選手層の厚さを感じます。

――ただ、交流戦で優勝したのは14勝3敗1分けの西武でした。全6カードで勝ち越しましたね。

高木 先発ピッチャー陣が盤石ですね。髙橋光成、平良海馬、隅田知一郎、武内夏暉、渡邉勇太朗らがいて、新助っ人のアラン・ワイナンスもいい。抑えを任されているルーキーの岩城颯空がちょっと疲れてきていますが、それでも逆転までは許しませんでした。篠原響や黒田将矢といった新たな戦力も出てきましたしね。

 野手のほうは、タイラー・ネビンが戻ってきてから一気に打線が活性化しました。1番を打つことも多いアレクサンダー・カナリオはスイングスピードが半端じゃなく速いですし、交流戦MVPの長谷川信哉もポイントで仕事をしてくれる。

ここ数年、負けが多かったチームだけに、勝つ喜びを全面的に出している印象です。若いチームでもあるし、さらに面白くなってくると思いますよ。

――直近2年で獲得した外国人選手や、FAでの補強、ドラフト戦略が成功している印象です。

高木 そうですね。ネビンは打線の核になっていますし、守備も手を抜かない。リーダーのような存在としてチームを引っ張っていますよね。渡部聖弥と小島大河も1年目から戦力になっています。そこに、長谷川や滝澤夏央らの成長が合わさり、戦力のバランスがすごくよくなってきています。小島の影響を受けてか、キャッチャーの古賀悠斗も4番を任される試合があるほど打ち始めていますね。

 現役ドラフトで獲得した平沢大河もよかったですしね。平沢の調子が落ちたら、桑原将志がケガから戻ってきていい働きをしたり、チームに好循環が生まれています。

【日本ハムは投打とも上向き。
オリックスは離脱者の影響も】

――日本ハムは、シーズン開幕から波に乗りきれていませんでしたが、交流戦で14勝4敗と大きく勝ち越して今後に弾みをつけました。

高木 新庄剛志監督のやりたい野球が、やっとできるようになってきました。出だしで阪神に3連勝できたのが大きかったですね。古巣の阪神は新庄監督にとって特別なチームだったと思いますし、甲子園で3つ勝てたわけですから。

 投打ともに状態を上げてきましたが、問題は守備とフランミル・レイエスのあとを打つバッターです。あと、セ・リーグのバッターはパ・リーグに比べて非力ですから、ピッチャーがそれほど怖さを持たずに攻めていけていたと思います。交流戦では勝てていましたが、リーグ戦に戻った時にはまた苦労するかな、という印象です。

――オリックスは9勝8敗1分け。巨人に3連敗するなど負けが込むこともありましたが、そのあとに4連勝するなど終盤に巻き返しました。

高木 オリックスは森友哉が故障で離脱。太田椋は途中で戻ってきましたが、ふたりがいるのといないのとでは打線の厚みが違います。森は調子が上がってきていただけに、もったいなかったですね。

 シーズン前半はチーム状態がよかったですが、下降気味になってくると宮城大弥や山下舜平大らがいないことの苦しさが表面化します。やはり主軸のピッチャーが抜けてしまうと、それを埋めることは至難の業。シーズン序盤みたいにチームに勢いがある時はいいのですが、今後はやりくりに苦労しそうです。

 打つほうは西川龍馬の状態がいいので、杉本裕太郎あたりが安定して打ってくれれば、チームの雰囲気も変わってくると思います。あとはピッチャーが夏場を耐えられるかどうかですね。

【ロッテは上位進出の目も。楽天は打線で苦労】

――10勝6敗2分けと勝ち越したロッテは借金を返済。ケガで離脱した藤原恭大選手の不在をカバーするため、チームがまとまってきた印象です。

高木 チーム全体の戦う姿勢がすごくよくなってきています。二遊間の小川龍成、友杉篤輝は守備だけではなく、バッティングでも貢献できるようになってきていますね。ふたりのどちらかが出塁して、西川史礁や佐藤都志也らが還すというパターンも確立されてきました。

 あと、今シーズンは一軍では見られないんじゃないかと思っていた安田尚憲が上がってきて、3年ぶりのホームランを打つなど要所要所でいいバッティングを見せています。

巨人戦でライデル・マルティネスの真っすぐを引っ張ってスタンドに叩き込んだホームランは、理想的なバッティングだったと思います。今の形を体に覚えさせることですね。

 投げるほうでは、八木彬の台頭が明るい材料です。彼を登板させるとチームが逆転したり、勝ち越したり、ラッキーボーイになっています。ほかにも小野郁や澤田圭佑、横山陸人らリリーフに力のあるピッチャーが多いので、先発が整備されてくればロッテは上がり目があると思います。

――唯一負け越した楽天は、4勝14敗で交流戦最下位。三木肇監督が6月10日に休養を発表するなど、非常に苦しいチーム状況です。

高木 リーグ戦でなかなか勝てず、交流戦で勢いをつけたかったところで6連敗スタート。打線が全然つながりませんし、逆転する力もないので、先制されると試合の流れを引き戻せません。監督交代については、まだ地に足がついていないというか、チームが落ち着かない状態だと思うんです。まずはその状態を打破してほしいです。

 いい選手はある程度揃っていて、特に野手陣は、辰己涼介や村林一輝ら実績のある中堅のほかに、黒川史陽や中島大輔らここ数年で台頭してきた選手もいます。

浅村栄斗や鈴木大地など実績のあるベテランもいる。ただ、これだけ投打ともに苦しいと、どこから手をつけていいのか難しいですよね。

 ほかの5チームが交流戦で勝ち越し、リーグ戦の状況はますます厳しくなってしまいましたが、応援してくれるファンがいるわけですし、ひとつひとつ課題を改善して巻き返していくほかないと思います。

――リーグ戦が再開して、どんな展開になるのか注目ですね。

高木 開幕前はソフトバンクと日本ハムの2強と見られていたパ・リーグですが、西武の躍進もあって混戦模様は続くでしょう。5位のロッテが上がっていく可能性もあると見ています。今年は各チームの実力が拮抗していますし、ますます目が離せない展開になると思います。

【プロフィール】

高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。

2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

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