バレーボールネーションズリーグ(VNL)2026男子、第3週の日本ラウンドが、7月15日、大阪で開幕する。VNLは第1週から第3週まで予選ラウンドを行ない、その上位7チームと開催国・中国の計8チームで決勝ラウンドを戦う。

 日本は予選ラウンド第2週まで8連勝し、現在、首位に立っている。日本ラウンドでは、パリ五輪の準々決勝で敗れたイタリアとの試合を皮切りに、カナダ、ベルギー、アルゼンチンと4試合を行なう。史上初の優勝を目指す戦いになる。

 日本はこれまで、石川祐希を筆頭に、髙橋藍、西田有志、山内晶大、山本智大といったメンバーを中心にこの大会を戦い、2022年には5位、2023年に銅メダル、2024年に銀メダルを勝ち取ってきた。低迷していた男子バレーボールの復権を印象づけた大会とも言えるだろう。2025年は6位と、やや不満の残る結果だっただけに、今回のVNL日本ラウンドは今後を占う戦いになる。

 今回、西田有志、宮浦健人というふたりのオポジットが日本の希望になりそうだ。

 オポジットは攻撃に特化したポジションである。どれだけ託されたトスを仕留め、チームに勝利をもたらすことができるか。サッカーで言えばストライカーのような、白か黒かで評価されるポジションと言える。それだけに、自ずと選手も個性的なキャラクターが多くなるのだ。

 西田と宮浦は性格こそまるで違うが、それぞれオポジットの流儀を感じさせる。

このふたりが同じチームにいる。それが日本の武器であることは間違いない。

【男子バレー】ネーションズリーグ8連勝をもたらした二枚看板 ...の画像はこちら >>
 西田は昨年の代表シーズンを休養に当て、VNL、バレーボール世界選手権に参加しなかった。もっとも、正確に言えば休んでいたわけではない。とことん自分と向き合い、肉体と対話し、技を改善させる。そのために試合をひと休みし、変身を遂げるための時間が必要だったのだ。

「バレーしかしていないです。24時間だと足りないですね」

 2年目のSVリーグ開幕前、西田は訥々(とつとつ)とそう語っていた。周りの選手からも「あんなに自分を追い込んでいる人はいない」という声が聞こえてくるほどだった。

【代表復帰でチームに活力】

「練習が始まる1時間半から2時間前に体育館へ来て、ランニングとかアップを始めて準備運動をするんですが、これが"練習を100%でするための1時間半"。チーム練習では重心管理、ジャンプの仕方とかを、練習から100%(の力)で入れるようにしています。すべての時間を注ぎ込み、リカバリーも含めたら10時間以上。

家でも、空気圧迫(マッサージ)や水素(吸入)を1時間以上かけてやっています。最後に体を動かしながら自分と向き合って終わるメニューですね」

 そうやって開幕を迎えた西田は、SVリーグチャンピオンシップで所属する大阪ブルテオンを見事に優勝へと導いた。チャンピオンシップMVPも受賞。ファイナルのサントリーサンバーズ大阪戦で、エースを連発してチームに流れを呼び込む姿は強烈で、試行錯誤の賜物だったと言えるだろう。無回転で唸りを上げたボールは、レシーバーには悪夢そのものに映ったはずだ。

 その西田が今年は代表活動に復帰し、チームは明らかに活力を得ている。復帰後初のウクライナ戦ではチーム最多得点で、ストレートでの白星に貢献。また、17年ぶりの公式戦勝利になった強豪ポーランド戦では、1セット目の拮抗した場面でエースを決めて、チームに流れをもたらした。磨き上げたサーブの軌道は、世界トップの選手でも読めない。スロベニア戦も、石川に次ぐ17得点と、猛威を振るっている。

 そして、オポジットが西田だけではないところが、8連勝で無敵を誇る日本の強さだ。

 昨年のVNLでは、西田不在もあって、宮浦が日本のオポジットとして戦っていた。

堂々たるプレーで、VNL世界ベストアタッカーランキングで4位に入った。

「自分にとってはすばらしい経験でした」

 宮浦はこの時のことをそう振り返っていた。

「全試合に出場して、よかったところ、よくなかったところはあったのですが、もっとよくするために常に考えて、できるようになったところも多いと思います。そこは"1年前の自分よりも成長できた"と感じることができました。今まで継続してきたことがつながり、新たに必要な部分も見えて、それにトライしてキャパ(キャパシティー)を増やさないとなって」

 宮浦は常に自分と対峙するタイプである。職人肌と言うのだろうか、うまくいかなくても、誰かのせいにすることは決してない。その覚悟のようなものが、技を熟達させ、人間としての深みも与える。エースとして戦ったVNLに続いて行なわれたフィリピンでの世界選手権で、日本が予選敗退の結果に終わると、彼は自らの責任のように語っていた。

「どんな状況であっても、"自分がやるんだ"という気持ちでやらないといけないと思っています。苦しい局面でも"自分が打開するんだ"って。オポジットはそういうポジションなんで......オポジットが醸し出す雰囲気、余裕というのがあって、競った場面でも"持ってきてくれたら問題ないよ"という雰囲気が足りなかったなと」

 今回のVNLで、宮浦は長身選手が揃うポーランド戦で髙橋に次ぐ16得点を挙げ、勝利に貢献した。4セット目に放ったバナナサーブは悪魔的な変化で、セットポイントを取った一撃は痛快だった。

首位攻防戦になったアメリカ戦でも、1セット目の6得点でチームに勢いを与え、4セット目には3枚ブロックを打ち抜くなど、髙橋に次ぐ20得点で勝利をもたらした。髙橋のフェイクセットをライトから叩いたコンビネーションは、ここまでの日本のひとつのハイライトと言えるだろう。

 西田、宮浦の二枚看板がそれぞれ違う道のりで成長を遂げ、日本は頂点に立つべき時が到来した。ロス五輪まで2年。VNL初優勝に向け、日本ラウンドではまず、前回五輪で苦杯をなめたイタリアと戦う。

編集部おすすめ