大阪で開催されている「ACNバレーボールネーションズリーグ2026男子」の2日目。

 7月16日にカナダと対戦した日本は、被ブロック4本を喫するなど攻め手を欠き第1セットを落とすと、第2セットも終盤に追いついたものの競り負け、2セットダウンとなる。

 この第2セットの途中から、日本は積極的に選手交代を行ない、状況を打破しようとした。そのなかのひとりが、アウトサイドヒッターの大塚達宣(パワーバレー・ミラノ/イタリア)だった。

【男子バレー】10連勝の立役者・大塚達宣がアタックに込めた仲...の画像はこちら >>
 第2セットの13-17から髙橋藍(ボグダンカ・LUK・ルブリン/ポーランド)に代わって投入されると、第3セット以降は最後までコートに立った。

 これまでも日本代表において、大塚が「交代策のひとつ」として起用された場面は何度もある。この日、大塚が意識していたのは、実にシンプルなことだった。

 「まずは自分がしっかり強くボールを叩ける位置でアタックすること。ボールを強く、そして、相手コートの奥に、です」

 振り返ると第2セットは、日本チーム全体としても歯車が噛み合わず、大塚も計6本のアタックを放ったが1得点に終わっている。それでも、メンタルがぶれることはなかった。

「相手ブロックのつき方などを考えすぎると、自分自身、うまくいかないことはイタリアでプレーした時も経験してきたので、まずは自分がしっかりと強くアタックして、たとえそれが決まらなくても、間違いなく相手にじわじわとダメージを与えられていると思っています。

 実際にディグ(スパイクレシーブ)で上げられたとしても、チャンスボールになってこちらに返ってきたり、相手のミスにつながったりする場面もありました。

 なので、アタックが決まった・決まらなかったで一喜一憂するのではなく、気持ちの面でもしぶとく、しつこく、常に『強く・長く』打ち続けることができたのはよかったと思います。それが最終的に得点になる部分もあったので」

 第3セットも終盤、19-22と苦しい状況に立たされたが、そこから日本は4連続得点で逆転に成功している。

そのうちの2得点は、大塚のバックアタックとレフトからのスパイクだった。大塚が反撃の糸口をつくり、日本はセットを奪い返した。

【エースアタッカーとしての覚悟】

 それ以降、大塚は尻上がりに調子を上げていく。終わってみればチーム最多の7得点を挙げた第3セットを皮切りに、第4セットは宮浦健人(ウルフドッグス名古屋)と富田将馬(大阪ブルテオン)に並ぶ最多5得点。最終第5セットもチームトップの5得点を叩き出す大活躍で勝利に導いた。

 第5セットのなかでも、日本の10点目、そして14点目をマークしたアタックは圧巻。相手コートのエンドラインぎりぎりに着弾する、まさに「強く・長く」が具現化したものだった。

 試合後、その最終セットを振り返る大塚の言葉は頼もしかった。

「展開的にも『ここで1点を取りたい』という場面でしたし、決めてやろうという気持ちはありました。特に第5セットは『自分がやってやるんだ』という感覚が強かったです」

 本人が明かしたところによると、それと同じ感覚でプレーした試合が過去にあったという。今年3月18日、イタリア・セリエAのプレーオフ準々決勝ラウンド第3戦だ。

 この試合、大塚の所属するミラノは強敵ヴェローナ・バレーとフルセットの熱戦を演じ、最終的に勝利を収めている。その最終第5セットで気を吐いたのが大塚であり、結果的に試合のMVPに選ばれた。

「あの時のことを思い出したわけではありませんが、ヴェローナ戦の第5セットも同じような展開で、『ここで決めたらいける』『自分が1本決めることでチームも乗ってくるだろう』と感じながらプレーしていたんです。今日も同様のメンタルでした」

 バレーボールを始めた小学校から、中学、高校、大学......と、所属先のチームで常にエースアタッカーを担ってきた大塚。プロになってからも、時に立場が異なっても、チームを勝利に導こうとする姿勢は変わらない。

 イタリア2年目の2025-26シーズンも途中で負傷離脱に見舞われる時期はあったが、シーズンを通してチームの主軸を務めた。その経験は血肉となって、今の代表活動でも生きている。

【しつこく戦い続けてつかんだ勝利】

 その一方で、どれだけアタックを決めたとしても、常に持っているのは仲間への思いだ。

「自分がチームを勢いに乗せてやるんだ、という気持ちはもちろんありました。ですが、そこまでの過程があるからこそ。みんながディグなどで地道につないで、僕のところまで託してくれたボールに対して、やはり責任を持って決めきりたいと思っています。それがカナダ戦では力みにならず、しっかりと自分のやりたいことにつなげられた」

 日本は逆転勝ちで大会10連勝を飾った。その立役者のひとりとなった大塚は、今のチームに備わる強さをこのように語った。

「僕だけではなく、途中から入ったメンバーも含め、みんなで引っ張り合い、高め合いながら、第2セットも終盤で追いつくことができました。

この感覚にプレーが乗っかってくれば、いけるのではないかと感じたのは確かです。しつこく戦い続ければ、勝機はやってくる。みんなで助け合って、みんなで耐えながら、つかんだ勝利だったと思います」

 コートに立った時、大塚はまず自分のやるべきことを重視した。そこからはコツコツと、彼の表現を借りるなら「しつこく」、ただひたすら脳裏に描いたプレーを実行し続けた。そして最後の最後に、確かな結果として花開いた。

 全員でつかんだ勝利には違いない。それでも大塚達宣の一挙手一投足とメンタリティが、日本の戦い方、そして強さそのものだと実感したカナダ戦の勝利だった。

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