横浜F・マリノス
三井寺眞の可能性(2)

今話題の若き新星、横浜F・マリノスの三井寺眞。16歳ながらJ1の舞台で奮闘する彼のすごさ、将来性について、識者はどう評価しているのだろうか――。

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三井寺眞の可能性(1)◆ゴール連発で話題の16歳・三井寺眞はどこがすごい?>>

 注目の16歳、三井寺眞のJ1デビューは鮮烈だった。

 Jリーグの開催時期が春秋制から秋春制へと移行し、いわば歴史的シーズンを迎えた今季J1での開幕戦。しかも会場は、Jリーグ誕生の地でもある東京・国立競技場(MUFGスタジアム)。そこで、いきなり先制ゴール、すなわち自身のJ1初ゴールを決めてしまうのだから、どうしたって"持っている"の印象は強くなる。

 だが、16歳の活躍は、これだけでは終わらない。

 第3節ヴィッセル神戸戦で決めたワンタッチボレーシュートもまた、「鮮やか」と言うほかない見事なテクニックによるものだった。

 右サイドからのクロスが相手DFの頭に当たり、逆サイドまで流れてきたボールは、多少なりとも予想外の軌道を描いていたに違いない。ところが、これを躊躇なくスライディングボレーで仕留めたシュートは、その技術的難易度の高さだけで比較すれば、開幕戦でのゴール以上に強烈なインパクトがあったと言っていい。

 しかも、このゴールが決勝点となって、チームに1-0の勝利をもたらしたのだから、その価値は倍増する。

 本人によれば、ボレーはそれほど得意ではないとのことなのだが、偶発的に訪れたチャンスでも落ち着いて決めてしまうあたりに、並外れた技術はもちろん、それをピッチ上で発揮するための強心臓もうかがわせる。

 直近の第6節終了時点で、三井寺は全6試合に出場し、うち5試合は先発出場で2ゴール。16歳が日本のトップリーグで何の違和感もなく普通にプレーできていること自体、称賛に値するのだが、数字の上でも堂々たる結果を残しているのだから、驚きはさらに増す。

 所属する横浜F・マリノスが、三井寺がプロ契約可能となる16歳の誕生日を待ちわびたかのように契約を結び、しかも、ルーキーシーズンの開幕戦から先発でピッチに立たせたのも納得だ。

【Jリーグ】規格外の16歳・三井寺眞が乗り越えるべき壁とは? J1で成長するために必要なこと
16歳ながらJ1の舞台で奮闘している三井寺眞 photo by Torao Kishiku
 とはいえ、そこはやはり16歳。心身両面で成長途上にある少年には、試合を重ねるごとに疲れの色が見えるのも事実である。

 有り体に言えば、開幕戦ほどのパフォーマンスが見られなくなっているのだ。

 F・マリノスを率いるスティーブ・コリカ監督も、第5節京都サンガF.C.戦後の記者会見で、「(出場を)継続していくことを望んでいるが、どこかで休息が必要だと思っている」と話していたとおり、続く第6節の柏レイソル戦では、今季リーグ戦では初めて先発メンバーを外れ、ベンチスタートに。後半途中から20分あまりの出場にとどまった。

 そもそも第5節の京都戦にしても、先発しながら後半10分で交代しているのだが、コリカ監督によれば、「ハーフタイムの交代も考えた」という。

 ただでさえ、ユース年代とは比べ物にならないほど強度の高い試合を毎週こなすことは、16歳にとってはかなりの負担になっている。しかも、第5節は水曜日開催で、週2試合をこなさなければならないとなれば、コンディションを上げる以前に、疲労を取ることさえ難しかったはずだ。

 だが、「まだ初めての経験なのだから、波があるのは自然なこと」とコリカ監督。成長とともに体ができてくれば、それはおのずと解決されてくる問題でもあるのだろう。

 ここまでに出場した6試合をトータルで振り返ったとき、必ずしもすべての試合で際立ったパフォーマンスを見せているわけではない。

 年齢という事前情報を知らず、フラットにF・マリノスの試合を見たとき、いつも三井寺が目立っているとは限らない。

 だが、前述したとおり、16歳がJ1の舞台で普通にプレーできていること自体、そもそもとんでもないことなのだ。

 久々にJ1に現れた16歳の逸材を、慌てず、騒がず、長い目で見守りたい。

浅田真樹●文 text by Masaki Asada

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