この記事をまとめると
■三菱デリカミニを公道で試乗■専用の足まわりを導入しておりFFモデルより4WDモデルは車高が高い
■悪路の走行性能も高められており、オンオフともに高い安定感を実現している
話題のデリカミニで公道を走ってみた
三菱のスーパーハイトワゴン「eKクロススペース」をベースに仕立てられたのが新型となった「デリカミニ」だ。そのアイコニックな外観が明らかになるや、一躍注目を集め、発表直後から受注が集中しているという。「デリ丸」と名付けられたマスコットも大人気となり、さらに人気を高めている。
そのデリカミニにいよいよ公道で試乗する機会を得たのでリポートしよう。
名前から察すると新開発のニューモデルと思われがちだが、じつはeKクロススペースのビッグマイナーチェンジとも捉えられている。軽のスーパーハイトワゴンにはホンダN-BOXという強力な牙城があり、他車はどのモデルも苦戦を強いられていた。eKクロススペースも同様で、より個性を強調し独自のキャラクターの創出が求められていたところだ。それは丁度ミニバンカテゴリーにおいてトヨタのノア&ヴォクシーやホンダ・ステップワゴン、日産セレナなどの競合が凌ぎを削り合うなかでデリカD:5が三菱の得意とする悪路への強さをアピールして存在感を示した手法と似ている。デリカミニはそのD:5のサクセスストーリーをスーパーハイトワゴンの軽カテゴリーで再現したわけだ。
実車を見ると、フロントグリルのデザインが特徴的だ。アイコニックなドライビングランプやダイナミックフォースの流れを汲む逞しいデザインが注目を集めるキーポイントとなった。キュービック形状のグリル模様はD:5の初期型グリルをオマージュしているようにも見える。
前後のタイヤアーチ周辺は黒に塗装され、165/60R15という軽自動車としては大きな外径を持つタイヤと組み合わされると、より足まわりが堅牢に見える。
このサイズを採用している軽はスズキ・ハスラーの一部車種なだけで、タイヤ外径が通常タイヤより20mm大きくなり、最低地上高を10mm押し上げる効果がオフロード走破性をより高め、見た目の逞しさも増す。
タイヤはダンロップ・エナセーブで、このサイズは他社では設定がなく、現状ほかの選択肢はないのだが、デリカミニの人気が高まれば他社もリリースしてくる可能性は高そうだ。
この大径タイヤを支えるサスペンションはフロントにストラット/コイル式。リヤは3リンクのトルクアーム式リジットアクスルでeKクロススペースから継承しているが、ショックアブソーバのチューニングを最適化し、また電子制御グリップコントロールと組み合わせて、悪路走破性を高めている。
アウトドアで大活躍間違いなし! 足まわりはまったく別物!
試乗してみると、まず室内の静かさに驚かされる。特別な車体のチューニングは施されていないが、気密性が高く感じられ、またエンジンの騒音、ロードノイズも低く押さえ込まれていて質感が高く感じる。タイヤのキャパシティが高まったことで走行中のNVH性能が圧倒的に高まり、室内の快適性は大幅に向上させられている。タイヤの設定空気圧が2.4kg/cm2から2.5kg/cm2に高められたことでオンロードでの走行性、タイヤのケーシング剛性が高まり、車体のロールやピッチングを抑えることに成功し、また快適性にも寄与したことになる。
砂利道に入ると、ショックアブソーバのチューニングの適切さが明らかに感じられる。伸/縮両方向の初期ダンピング特性を弱めることで路面追従性が高まっているほか、砂利道で石ころなどの硬い反力を上手くいなしていてまろやかな走り心地になっている。悪路を走っていても快適性が高く感じられるのはショックアブソーバチューニングの効果によるものなのだ。
デリカミニのパワートレインは3気筒660ccにツインスクロールターボを装着し、CVTトランスミッションとビスカスカップリングの4WD機能を備えている(一部FFモデルも設定されている)。
これも従来からあるシステムだが、デリカミニでは前後アクスルの最終減速比を変更し、前輪を常に速くまわすことで意図的に前後輪回転差を生じさせ(といっても非常に小さな比率だが)、ビスカスカップリングが常に後輪へ駆動力をわずかに伝達しているフルタイム4WDとして機能している。その効果もあり、悪路での安心感は圧倒的で、一般的な舗装路や高速道路でも優れた安定性を発揮している。
また、パワーユニットはISG(ベルトドライブスタータージェネレーター)を装備し、最初のエンジン始動はスターターモーターで行なうが、アイドルストップからの再始動時にはジェネレーターモーターがベルト駆動でエンジンを始動させるため静かで振動もない。リチウムイオンバッテリーを搭載して必要に応じてエンジンをアシストするので燃費性能にも優れているのである。
外観のディメンションは大きく変わりないが、前後バンパー下部のフィニッシャーによりアプローチアングルは29度、デパーチャーアングル47度を実現していて、160mmの最低地上高もあり、キャンプ地へのアプローチや降雪地での走破性も実際に優れている。
前冬に積雪路を走らせたが、グリップコントロールによるトラクション制御に優れ、低ミュー路の坂道発進も、スラロームも意のままだった。
デリカミニの走りは外観から想像する以上に本格的で、これから納車を受ける多くのユーザーの期待を裏切らないだろう。

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