この記事をまとめると
■EVはエンジン車よりも出力特性を自在に変化させることができる



■モーターの回転の感触や力の出具合は電流調整の仕方にかかっている



■モーターやEVの開発者の開発目標が明確でなければ面白味のないEVになってしまう



EVの走りの楽しさは開発者の目標次第

電気自動車(EV)の技術者によると、メーカーを問わず、モーターの応答性はエンジンの100分の1ほど優れるという。つまり、わずかな電流の流れによって、モーター出力を素早く自在に変化させることができるというわけだ。



また、モーターは、0回転(停止状態)から少し動き出せば、そこからの電流の流し方次第で最大トルクを一気に出せる特徴がある。

したがって、モーターのまわり出しからの電流調整如何で、出力特性を自在に変化させることができることになる。



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逆に言うと、そこの制御をきめ細かく行わず、いきなり大電流が流れてしまうと、それこそ体が後ろへ持っていかれるほど猛烈な加速をしてしまうことになりかねない。



そうしたモーターの特性から、運転者のアクセル操作に対する電流や電圧の調整プログラム次第で、加速感覚はいかようにも変えられる。たとえば、スポーツカーであれば、アクセルペダルの踏み込みが深くなるほど電流の流れを高くしていけば、加速度が一気に高まるような特性を描くことができる。逆に、ゆったりと上質な走りにしたければ、運転者のアクセル操作に正比例した電流の流し方にすれば、思いどおりの加速で、かつ上品な走りを生み出すことができるのではないか。運転が苦手な人には、多少多めにアクセルを踏み込んでも、急加速しない特性も作り込める。



EVの疑問! 「吹き上がりのいいエンジン」みたいにモーターも「モノによって」フィーリングは異なるのか?
日産アリアの走行シーン



モーターは設定次第で「別のエンジンか」というほど感触に違いがでる

エンジンも、排気量や、過給の有無などによって、いろいろなエンジン特性を設計することができる。しかし、それとは別に、エンジン内の摩擦損失の多少などが、回転の吹き上がりの良し悪しなどに影響し、エンジンの製造精度が問われる面がある。エンジン単体の設計だけでなく、製造工程でいかに精度高く仕上げられるかが、吹き上がりの良いエンジンのカギを握る。



また、吸排気バルブの開閉時期や、点火時期などの違いによっても、どれくらいの回転数で滑らかにまわるかといった特徴に違いが出る。たとえば、ホンダのVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)は、低中速回転域と高回転域で、別のエンジンではないかというほど出力特性も、回転の感触も違ってくる。



一方モーターは、内部の磁力の効果で回転力を生み出すので、当然ながら磁石に使う銅線の巻き方により多少の違いは出るが、回転の感触や力の出具合は、述べてきたように電流調整の仕方にかかっている。



EVの疑問! 「吹き上がりのいいエンジン」みたいにモーターも「モノによって」フィーリングは異なるのか?
トヨタbZ4Xのスケルトン画像



それは、簡単なようで、じつはモーターやEVの開発者が、どのような走りや加速をさせたいかという、開発目標が明確でなければ、プログラムを設計できないことになる。開発目標があいまいだと、面白みのないEVになってしまう。



また、加速だけでなく回生も関わるので、バッテリーの充放電特性も考慮しなければならず、それには、バッテリーの安定的な温度管理も必要だ。



エンジンとモーターのどちらがいい動力として容易かではなく、いずれにしても、設計者や開発者が、具体的に明確な性能目標設定できるかが問われている。

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