自動車用コーティング剤の「中央自動車工業」M&Aを積極化、新たな収益の柱づくりへ 成長投資180億円

自動車用コーティング剤やエンジン部品などを販売する中央自動車工業<8117>は、M&Aを積極化する。

前中期経営計画(2023年度~2025年度)で既存事業に関連するM&Aが年間50億円規模の増収に寄与した実績を踏まえ、2027年3月期から2029年3月期までの3年間を対象とする新中期経営計画で、M&Aを新たな収益の柱を生み出す手段と位置付けた。



前中期経営計画では示していなかった成長投資額を明らかにし、M&Aなどを含む成長投資に3年間で180億円を充て、既存事業の成長で2029年3月期に売上高600億円(2026年3月期は466億9200万円)を目指す。

前中期経営計画での実績を受け、新中期経営計画ではM&Aを含む成長投資額を明示したことで、新たな収益の柱づくりに向けたM&Aの動きが一段と活発化しそうだ。

新たに資金配分方針を策定

中央自動車工業は2026年5月に公表した「中期経営計画(2026年度~2028年度)」で、2027年3月期から2029年3月期までの3年間を「経営基盤強化(人的資本投資含む)と新規事業開発を加速(M&A含む)」する期間と位置付けた。

新規事業戦略では「M&A、社内ベンチャー、オープンイノベーション(社内外の技術やサービスを組み合わせて革新的な価値を創り出す取り組み)を通じた新たな収益の柱を創出」する方針を掲げた。

このうちM&Aについては「安全、健康、環境、モビリティのスコープで新たな事業創出を目指す」としている。

具体的な買収対象となる業種や企業は明らかにしていないが、2026年3月期の決算短信では「M&Aにより強化した異業種を含む新たな領域でのビジネスの拡大」に取り組む方針を示した。

有価証券報告書でも、研究開発では、自動車関連分野にとどまらず異業種分野も視野に入れ、環境、健康、安全をテーマとしたオリジナル商品の開発を進めるとしている。

加えて、新中期経営計画では、新たにキャッシュアロケーション(資金配分)方針を策定した。

2029年3月期までの3年間で、基盤強化に110億円、成長投資に180億円、株主還元に140億円を配分する。

成長投資にはM&Aのほか、スタートアップ投資、新事業開発、ブランディング・マーケティング、研究開発・新商品開発、デジタル投資を含む。

前中期経営計画でも、M&Aについて「環境、健康、安全、モビリティという軸でM&A候補選定」とし、「M&A、新規事業、ベンチャー投資を通じて新たな事業領域創出にチャレンジ」する方針を掲げており、新中期経営計画の方向性は基本的にこれを引き継いでいる。

4件のM&Aで年間50億円規模の増収

新たな事業領域創出にチャレンジする方針のもと、前中期経営計画では4件のM&Aを実行した。

2023年に自動車用カスタムパーツを企画・製造・販売するフラッグス、2024年に自動車補修部品を輸出販売するケー・エム・エンタープライズを子会社化した。

さらに、2025年には自動車補修部品を輸出販売する森田産業と、抗菌剤・消臭剤を製造するYOOコーポレーションを傘下に収めた。



新中期経営計画では、これら4件のM&Aが年間50億円規模の増収に寄与したと振り返っている。

この実績を踏まえ、新中期経営計画では2029年3月期の売上高600億円などの計数目標を既存事業の成長目標としたうえで、既存事業以外の成長施策としてM&Aに注力する方針を明示した。

自動車用コーティング剤の「中央自動車工業」M&Aを積極化、新たな収益の柱づくりへ 成長投資180億円
中央自動車工業の2010年以降の適時開示M&A

経常利益は11年連続で最高益を更新

中央自動車工業の2026年3月期の売上高は前年度比12.4%増の466億9200万円、経常利益は4.1%増の129億3100万円だった。
売上高は14年連続で増加し、経常利益は11年連続で過去最高を更新した。

自動車用コーティング剤の「中央自動車工業」M&Aを積極化、新たな収益の柱づくりへ 成長投資180億円
中央自動車工業の売上高構成比

同社は、ケミカル製品(コーティング製品など)や自動車用部品(ブレーキ部品、エンジン部品など)、アルコール検知器などを扱う「自動車部品・用品等販売事業」と、損害保険会社が全損と認定した車両の処分に関わる業務を手がける「自動車処分事業」を展開している。

2026年3月期の売上高構成比は、自動車部品・用品等販売事業が全体の76.9%、自動車処分事業が23.1%となり、自動車部品・用品等販売事業のうち国内は全体の54.4%、海外は同22.5%だった。

今後、異業種を含むM&Aが進めば、現在の報告セグメントや売上高構成にも変化が生じることもありそうだ。

文:M&A Online記者 松本亮一

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