「東京センチュリー」リースの枠を超え 建設関連サービスに進出

リース大手の東京センチュリー<8439>は、リースを中心とする既存事業の枠を超え、建設事業の発注者を支援し、コストや工程、品質を管理する手法であるCM(コンストラクション・マネジメント)領域に踏み込む。

同社は2026年7月2日に、特別目的会社を通じて建設CM会社のアクア(東京都千代田区)の全株式を取得し、子会社化する。

これまでも企業買収を手がけてきたが、今回のアクアの子会社化について、同社は企業投資における初の単独出資案件と位置付けるとともに、事業ポートフォリオの変革に向けた自社投資の拡大を体現する重要な取り組みとしている。

建設CM会社のアクアを子会社化

建設業界では、資材価格や労務費の上昇、人材不足が事業運営の課題となっている。

帝国データバンクの調査によると、2026年1月時点で正社員の人手不足を感じる企業は52.3%に上り、業種別では建設業が69.9%で最も高かった。

帝国データバンクの建設業倒産動向では、2025年の建設業倒産件数は2021件で、4年連続で増加し、過去10年で最多となった。

倒産増加の背景に、人手不足に伴う人件費の急騰や工期の延長、建材価格の上昇などがあり、価格転嫁が追い付いていない状況が指摘されている。

こうした環境下で、東京センチュリーは専門的な知見を持つCMの需要が拡大していると分析する。

子会社化するアクアは、超高層ビルや大規模再開発など多くの大型プロジェクトに携わってきた実績を持つ。

発注者、設計者、ゼネコンとの関係を生かし、コスト管理を起点にプロジェクト全体を調整する役割を担っている。

独自のデータベースを活用し、根拠が明確で精度の高いコスト管理につなげているのが強みだ。

東京センチュリーは、アクアの中立的で高度なマネジメント能力を評価し、自社の顧客ネットワークや事業リソースを組み合わせることで、アクアの成長を支援し、子会社化後も、アクアの独立性と専門性を維持する。

そのうえで、採用や育成体制を拡充し、専門性の高い技術者集団としての基盤を強化するほか、DX(デジタルトランスフォーメーション)面では、アクア独自のコストデータベースの高度化を支援し、業務効率化と付加価値向上を両立する体制を構築する。

自社投資で事業を広げる

東京センチュリーはリースを祖業とし、金融機能にサービスを組み合わせたビジネスモデルを展開してきた。

2026年3月期の売上高は1兆4576億7000万円で、前年度比6.5%増だった。

構成比は、情報通信機器や事務用機器などを対象とする国内リースが31.7%と最も高く、船舶、航空機、不動産などを対象とするスペシャルティが23.5%、法人・個人向けオートリースなどのオートモビリティが21.6%で続いた。

国際は18.6%、環境インフラは4.5%で、損害保険代理店事業などのその他は0.05%にとどまる。

「東京センチュリー」リースの枠を超え 建設関連サービスに進出
東京センチュリーの売上高構成比


今回子会社化するアクアは既存の主要5部門ではなく、同社の事業区分ではその他に分類される。

足元の売上高構成では小さい区分だが、同社は今回のアクアの子会社化を、企業投資における初の単独出資案件と位置付ける。

また、2026年5月に公表した2031年3月期を最終年とする5年間の中期経営計画では、事業ポートフォリオの変革に向けた自社投資の拡大を目標に掲げている。

同社は今回の案件を、この目標を体現する重要な取り組みと位置付けており、事業構成の変革に向けた投資姿勢の強さがうかがえる。

アクアの子会社化は、リース・ファイナンスを中心とする収益構造に、建設プロジェクト支援という専門サービスを加える動きとなる。

建設CMを手がけるアクアの取り込みは、同社が自社投資を通じて事業領域を広げ、事業構成の変革を進める一歩となる。

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東京センチュリーの事業内容

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文:M&A Online記者 松本亮一

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