・『リアル脱出ゲーム』とは
同社によると、2004年に発表された『クリムゾンルーム』というネットの無料ゲームを発端に爆発的に盛り上がった脱出ゲームを、大胆にも現実世界に移し変えたのが、同社が企画する『リアル脱出ゲーム』。マンションの1室や廃校、廃病院、東京ドームや六本木ヒルズなど、様々な場所で開催されており、2007年の初演以来330万人以上を動員する、今注目の体験型エンタテインメントだ。
・京都から世界へ
「参加者が自由に動けるということが、こんなに人々の興奮を呼ぶものなのかと感動した」と語るのは、代表取締役の加藤隆生氏。同社が京都でフリーペーパーを発行していた頃に企画したイベントを発端に、『リアル脱出ゲーム』はまたたく間にファンを増やし、海外へも進出、世界中で一大ブームを巻き起こした。中国への初進出は2011年の上海公演で、常設店オープンや商業施設でのイベント開催の実績もあるが、現在は店舗もクローズし、積極的な経営は行っていないとのこと。
・日本人のイマジネーション能力の高さは素晴らしい
『リアル脱出ゲーム』には開催形式によっていくつかのスタイルがある。同社が得意としているのはホール型と呼ばれるもので、50人~500人程度収容できる会場で、複数チームが一斉にストーリーを楽しむスタイルだ。同時に多数のプレイヤーが参加できる上、期間限定のコラボイベントも組みやすい。プレイヤーの回転率向上やリピーターの囲い込みには有効なビジネススキームであると想像するが、このスタイルは中国ではなじまなかったと言う。
「日本人のすごいのは想像力が高いところ。例えば、何もない部屋に人を集めて、『ここは潜水艦の中です。』と言っても、日本人は受け入れるんです。
・中国で新たな進化を遂げた“上海型”の『リアル脱出ゲーム』
現在中国で展開されている『リアル脱出ゲーム』のスタイルは、少人数で楽しむルーム型の発展したもので、ファンの間では“上海型”と呼ばれている。“上海型”の大きな特徴は、設備の徹底的な作り込みだ。謎解きのシチュエーションにあわせたデコラティブな内装や仕掛けが組まれることが多く、つまり、そこまでのリアリティがなければ、中国人は世界観に入り込めないということである。当然、相応の設備投資も必要だ。中国、特に上海では、『リアル脱出ゲーム』は娯楽の一つとして、すでに若者の間で定着しているが、いずれも同社の公演に影響を受けた後発企業によるもので、同社の運営による公演は現在行われていない。
・「まだまだ『リアル脱出ゲーム』の一発屋」
『リアル脱出ゲーム』と言う新たな分野を開拓し、たった10年で世界各地に浸透させた同社の功績は大きい。それでも加藤氏は、「自分達はまだまだ『リアル脱出ゲーム』の一発屋」と謙遜する。「これまでは謎解きという形の物語を作ってきたけれど、その“謎”というのは本当に必要なのか、“謎”を抜きにして、この興奮を作り上げることはできないのか」と、10年の節目を迎え、更なる次への展開へ構想を膨らませている。同社の繰り広げる自由な発想に益々期待したい。
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