冬場になると手荒れがひどくなる人、多いですよね。筆者も看護師という職業柄、病棟・外来・クリニックや施設で働いていたころはしょっちゅう手を洗って消毒液を手に刷り込んでいたので冬場は手荒れとの戦いでした。
手荒れがひどくて皮膚科に受診したという、くれない@さん(@dt4jp011)のツイート。「皮膚が弱いので、本日皮膚科に行った。すると 『兄ちゃん、エラい指荒れてんな。洗剤、スポンジに出して使ったりしとるやろキミ あれアカンで。CMでよくみるあれは間違った使い方やからな 水に数量入れて使うんだって使い方にも書いてるやで。』 とのこと。 こういう使い方はダメらしいです。」という文章と食器用洗剤にスポンジという構図の写真。
へぇ~。と思って自宅にある食器用洗剤の裏面の注意書きを見てみました。筆者宅にあった食器用洗剤は一般家庭用に作られたメーカーの違う3種類。
しかし、続けての部分で「荒れ性の方や長時間使用時、原液をスポンジなどに含ませ使用する場合は炊事用手袋をつかう」とも。やはり刺激は多少なりとあるようです。ちなみにメーカーによっては公式サイトで「食器用洗剤は薄めずにそのまま使いましょう。」と案内しているところもありました。正直なところ薄めるかどうかは種類や成分、つまり商品によるようですが、今回みた3社全てで長時間使用時には炊事用手袋着用を推奨していました。
台所用洗剤は合成界面活性剤が主成分であるため、洗浄力が強い反面、皮膚に残留しやすく刺激も強いのです。この為、厚生労働省でも「食品、添加物等の規格基準」を設け「洗浄剤の使用基準1 脂肪酸系洗浄剤にあつては界面活性剤の濃度が0.5%以下,脂肪酸系洗浄剤以外の洗浄剤(もつぱら飲食器の洗浄の用に供されることが目的とされているものおよび固型石けんを除く。)にあつては界面活性剤の濃度が0.1%以下となるようにして使用しなければならない。」(引用:厚生労働省「食品、添加物等の規格基準」)と食品衛生法の中で使用基準を定めています。洗剤によっては使用説明に「水1Lに対し洗剤0.75ml」と希釈する濃度を明記していますがこの法律に基づいた濃度という事ですね。
洗浄力を考えると直接スポンジに適量を出して洗うのが手っ取り早いのですが、その量が問題となるわけです。話題となったこのツイートにもリプライで「薄めて使うのが良い」と複数意見が寄せられています。
とりあえず各社共通の注意事項や洗い方のポイントをまとめるとこういうことになるようです。
・洗剤を薄める場合には一回一回使い切る 薄めたものを作り置きしない・できればゴム手袋を使う・ひどい油汚れは紙でふき取ってから洗うといいよ!
ちなみに洗っている最中の手の保護も大事ですが、実は洗った後のケアの方がより大事なのです。洗剤を付けるとどうしても洗剤が皮膚に残りやすくなるのです。ほんの微量でも手荒れの原因となります。またお湯を使うと汚れも落ちる反面手の潤いも落としてしまい、余計に乾燥しやすくなります。刺激と乾燥が手荒れの原因となるので、洗剤を使った後は徹底的に水で流して良く水をふき取ります。でも拭いただけでは皮膚に残った水分が蒸発するときに皮膚に必要な水分も一緒に持って行ってしまいます。そこで、しっかりと手を洗った後は手の水分が残っているうち(遅くとも15分以内)に保湿剤を付けるのです。チューブのハンドクリームなら約1㎝くらい、ローションタイプなら500円玉くらいの量を手のひらに取ります。
最初はべたつくと思いますが、良く刷り込んでいるうちに段々吸収されてさらっとしてくるはずです。しっかり刷り込み終えるまで数分かかるかとは思いますが、この数分の手間で手のあかぎれやひび割れを防ぐ事ができると考えればやってみる価値はあると思いませんか?この後綿の手袋を付けておくとさらに効果がアップします。
しょっちゅう洗剤などで手を洗うことがあるとなかなかじっくりとハンドクリームを塗り込む暇もないかもしれませんが、刺激物を取り除き保湿する事は手荒れ防止の一番の近道。日中はさっと保湿する程度にハンドクリームを塗っている人も、寝る前にじっくりケアしてみてください。これで冬場の手荒れも怖くなくなるはずですよ。
<記事化協力>くれない@さん(@dt4jp011)
(看護師ライター・梓川みいな)