
■WEAVER/New Album『Night Rainbow』インタビュー全文(1/4)
「このアルバムがWEAVERの次の新しい扉を切り開いてくれる」
まさに“待望”という言葉がぴったりのWEAVER約3年ぶりのアルバム『Night Rainbow』が2月10日にリリースされる。『Handmade』というそのタイトル通り、自らの手で作ることにこだわって制作された前作以降、半年間のロンドン留学、ベスト盤のリリースと経て、ライブを精力的に行っていく中で得たものが詰め込まれた一枚となっている。そして、試行錯誤を繰り返しながらも常に前を向き、何事も諦めずに来た彼らだからこそ作り得た一枚だとも言える。“Night Rainbow”とは、さまざまな条件が重なったときに奇跡的に現れる、夜にかかる虹のことなのだが、メンバーはそこに「決して簡単に出会えない音、感じたことのない音楽を探求して出来上がった作品」という想いをかけている。これまでの彼らの軌跡を感じつつも、それを知らない人でも、この滅多に出会うことのできない奇跡の音はきっと届くに違いない。
(取材・文/瀧本幸恵)
ロンドンに行って変わった自分たちを全曲で表現したい
――前作の『Handmade』から約3年ぶりとなるアルバム『Night Rainbow』がついに完成しました。
杉本雄治(以下、杉本):とにかくアルバムを早く出したいっていう気持ちは3人とも持っていました。前のアルバムをリリースしてからロンドンに半年間の留学もして。そんな中、活動のキーワードとして“ライブ”というものを持ってやって来ていて、ここ1、2年はライブで新しいものを表現出来ているなっていう実感もあったんですけど、それをアルバムという作品にまだ出来ていないことが焦りにもなっていたんです。でも、そこはスタッフが冷静に見てくれていて。まずは地に足を着けた状態で『くちづけDiamond』というシングルを出して、そこで思っていた以上の評価も得ることが出来たんですが、だからと言ってすぐにアルバムを出すというのではなく、もう一つWEAVERがどういう音楽をやっているのかを世の中に提示出来るものがあった方がいいということで、昨年の10月に『Boys & Girls』を出して。そういう流れを作ることが出来たから、今、このタイミングになりました。
――収録曲は前のアルバム以降のものというくくりではなく、2014年にリリースしたベスト・アルバム『ID』以降のものになっています。つまり“ロンドン留学以降”のものという。
杉本:そうですね。自己満足かも知れないんですけど、自分たちとしてはロンドンで変わったという自覚が大きくて。なので、今のリアルなWEAVERを知ってもらうためにも、ロンドンに行って変わった自分たちを全曲で表現したいなと。リスナーにとっては以前の曲が入っていても良かったかも知れないんですけど、そこに一つ、自分たちの意志がありますね。
――以前のインタビューで、ロンドンに行って変わったのは技術的なことよりも精神的なものが大きかったと話されていました。「○○でなくてならない」という考えから開放されて、自由になったともおっしゃっていたのですが、その辺りは今作に影響していますか?
河邉徹(以下、河邉):自由っていうのはこのアルバムの大きなキーワードにもなっていますね。1曲1曲の歌詞もそうですし、サウンド面も、ロンドンに行ったからこそ手に入れた自由さとか柔軟性が詰め込まれているんじゃないかなと思います。
――変わった部分を具体的に言うとどんなところでしょうか?
河邉:歌詞で言うと、「Boys & Girls」の<行け!>とか、今まで使って来なかったシンプルな言葉を使ってますね。そういう言葉ってJ-POPのある種の無責任さというか、キャッチーさを優先させたものというイメージがあって今までは避けて来たところがあったんです。でも、それを曲が求めていれば、そこはJ-POPの良さでもあるし、さまざまな良さを認めて、見極めた上で、そういう言葉を使えるようになりました。そこは変わったところなんじゃないかなって思いますね。
――歌詞についてはこの3年間で一見してすごく変わった部分だとも思います。
河邉:以前のインタビューでも言ったと思うんですけど、ロンドンから帰ってきてから自分自身がなんか抑圧されていたものが解放されるような、「あぁ、何でも書けるわ」といった感覚があったんですね。それは僕自身が年齢を重ねてそれで成長したという面もあるし、色んな曲を聴いたり色んな本を読んだりした中で経験が増えてというところもあると思うんですけど。それから、バンド自身がそうした色んなことを歌える段階に来たのかなというのもあって。やっぱり歌詞を書くときは、メロディからもインスピレーション受けるし、今のバンドの状態とか、位置っていうことからも影響を受けて、こんなことを歌ったら似合うんじゃないかなとかも考えるんですね。バンドがこういう段階に来たからこそ、こんなものも歌えるっていう自分の中の変化もあったし。その両方があって、今回のアルバムは特に『Handmade』から比べて聴くと大きな変化があるのかなと思いますね。
――河邉さんは常に歌詞について貪欲に向き合っているというか、次々にいろんなチャレンジをされてますよね。
河邉:前回もそうでしたし、今回もそうですけど、出し切った感みたいなのはなくて。常にこれもっと書けるし、まだまだこんなことも書けるっていうのがたくさんあるんですよ。だから、その時その時に良いと思ってるものを書いて詰め込んでいるつもりですけど、全部書いたからもうネタが無いなとかはなくて。そういう意味でこれから先も変わって行けるし、意識して今度は変わったもの書いてやろうみたいな感じではなく、新しい一面が自然と自分とかバンドの状態に合わせて出て来るのかなって思いますね。

バンドとしてロンドンから帰ってからの流れがすごく良かった
――メンバーとして河邉さんが書く歌詞の変化はどんなふうに受け止めていますか?
杉本:河邉が変わっていってるっていうのもあるんですけど、メンバー3人が一緒にどんどん変化していってるのも影響してるかなって感じますね。最近よく言うのが、WEAVERって河邉が歌詞を書いて、僕が曲を書いて、奥野も曲を書いてって、いいバランスが取れてて、3人で一つの作品を作っているっていう感覚が大きいんですよね。例えば、僕が作る曲が変われば、必然と河邉の歌詞もそこに沿って変わってくるし。その曲が出来て歌詞が乗って、そこでまた僕が受けるインスピレーションがあって、次に「河邉がこんな歌詞が書けるんだったらこんな曲書こう」というふうに、3人が一緒に自然と変化していっている感じがあるのかなぁと。
――それってわりとバントとしては珍しいパターンですよね。
杉本:確かにボーカルが曲も歌詞も書いてっていうパターンだと、ボーカルの意思がバンドの意思としてそのまま出てしまうところも多いとは思うんですけど、僕らはWEAVERとしてどういう世界観を、どういう作品を届けていくかって考えるので、柔軟に変化していけてるんじゃないかなと思います。
――先に歌詞のことをお聞きしましたが、やはりそれと連動しているので音にもいろんな新しい要素が見えます。
杉本:先ほども言ったように、大きなテーマとして“ライブ”があって。どんなことをしていてもライブで3人がプレイしているのが見えるというのは大事にしていました。例えば、この曲のイントロでは奥野がピアノを弾いて、僕がシンセを弾くとか、ステージでの情景もイメージしていました。なので、曲それぞれの世界観が今まで以上に具体的に見えていたなと思います。これまでは漠然と良い曲を作ろうと、あるものすべてをそこに詰め込んでいたところがあったんですけど、今回は1曲1曲のキャラクターが見えていて、こういう世界観を見せたいから、こういう風に盛り上げたい、聴かせたいっていうのがはっきりわかっていたことが大きかったと思います。今回の曲はより狭い一点を見れるようになったのかなって、今、改めて感じるんですよね。やっぱり、ロンドン行ったことがきっかけで自分がやりたいことが見えるようになったし、もう一度インディーズの頃のような、自分にはもうホントに音楽しかない、音楽しか救いがないというところに行き着けたからこそ、これで自分が生きていくんだという覚悟だったり、そこに対する意志というのがすごく固まったんですよね。自分のやりたいことを見つめ直してそれがはっきりと見えたんで、自分がやりたいものがいくつかあるとしたら、それを一点ずつちゃんと見て曲を作れたんじゃないかな。だから不安もありましたけど、これだけ新しいことを自信を持って出来て、それによって色んなキャラクターの曲が出来たんじゃないかなと思います。
――奥野さんはこの変化をどう受け止めていますか?
奥野翔太(以下、奥野):バンドとしてロンドンから帰ってからの流れがすごく良かったなっていうのは感じてて。「くちづけDiamond」っていうアニメのタイアップ曲として出したものがあって、そのあとに、「Boys & Girls」っていうライブで盛り上がれるために作った曲があって、ある一点を目指して曲作りをするというのをそこで出来たからこそ、今回、さっき杉(杉本)が言ったように、曲それぞれに一点を目指して作ることが出来たんじゃないかと思うんです。だから、これまでの一つひとつがその順番じゃなかったら、こうは上手く行ってなかったんじゃないかと。これまでもいろんなことに挑戦はして来ていて、シンセを使ったり、ストリングスを入れたり、EDMに憧れてる感じを匂わせたりはしていたんですけど、そのそれぞれが洗練されていったんです。今までは何か足りないから入れようという感じで使っていたシンセが、シンセが鳴っていると聴こえるように入っていたり。それが杉が作ってくるデモの段階である程度見えてるものも大きくて。その変化は僕が一番身近にいて感じた部分でもありますね。
――インタビュー2へ
≪リリース情報≫
New Album
『Night Rainbow』
2016.02.10リリース
【初回盤】(CD+DVD)
AZZS-43 / ¥3,611(税抜)
【通常盤】(CD)
AZCS-1053 / ¥2,500(税抜)
[収録曲]
1. Overture
2. You
3. くちづけDiamond
4. さよならと言わないで
5. クローン
6. KOKO
7. マーメイド
8. Beloved
9. Welcome!
10. Boys & Girls
11. Life
12. Hello Goodbye
<DVD> ※初回盤のみ収録
『WEAVER HALL TOUR 2015 Still Boys & Girls ~Sing Like Dancing In Our Hall~』
1. Shine
2. トキドキセカイ
3. 愛のカタチ
4. Happiness ~ふたりは今も~
5. blue bird
6. 僕らの永遠 ~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~
7. 泣きたいくらい幸せになれるよ
8. クローン
9. さよならと言わないで
10. Beloved
11. Boys & Girls
12. Hard to say I love you ~言い出せなくて~
13. 夢じゃないこの世界
14. Shall we dance
15. Free will
16. くちづけDiamond
En 1. こっちを向いてよ
En 2. Welcome!
≪ライブ情報≫
【WEAVER 11th TOUR 2016「Draw a Night Rainbow】
4月9日(土) 大阪 オリックス劇場
4月10日(日) 名古屋 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
4月16日(土) 高松 アルファあなぶき小ホール
4月17日(日) 静岡 グランシップ 中ホール・大地
4月29日(金・祝) 福岡 福岡国際会議場メインホール
4月30日(土) 広島 広島JMSアステールプラザ中ホール
5月2日(月) 仙台 若林区文化センター
5月4日(水・祝) 札幌 札幌サンプラザホール
5月6日(金) 東京 NHKホール
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