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ファイプロの生みの親、増田さんが亡くなられたと突然聞かされた。
すぐにあの増田さんだと頭の中で繋がらなかったが、
繋がった瞬間にグルグルと思い出が蘇った。
大きな声とチャーミングな笑顔で新人の僕に声を掛けてくれた。
「プロレス好きなの?」
ファイプロを託された僕の席にチョコチョコを顔を出してくれて、
どうやってファイプロが生まれファイプロが何であるかを伝承された。
伝承内容は全く憶えていないが、
増田さんの熱量の高すぎる言葉がファイプロの情熱そのものだった。
プロレスの持つ熱気と興奮と感動をデータを超えた先に持って行く、
それがファイプロだった。
マスター近くになると、必ず深夜のデバッグに顔を出して、
朝方まで一緒に遊んだ事を深く深く思い出す。
笑って怒ってガチ勝負になって空気が悪くなってまた爆笑して喜んで、
ファイプロ開発のどこかに増田さんは居てくれた。
新人の僕には、立場も存在も雲の上の増田さんがフラッと地上に降りてきたと
いつも感じていた。今も昔も僕にとってファイプロの神様だった。
その増田さんが本当の神様になってしまった。
天国で大好きなトミーボンバーとタッグを組んで、
コーナーポストに登って「オー! オー! オー!」と叫んでくださいね。
ファイプロを生み出してくれてありがとうございました。
須田剛一