デリケートゾーン(陰部)にニキビができて悩んだことはありませんか?
場所が場所なだけに、家族や友達にも相談しづらいですが、実はデリケートゾーンはニキビができやすい部分なのです。
「自然に治ればいいけど悪化したらどうしよう」「病院はどこに行けばいいの?」「別の病気かも」そんな疑問を解決できるように、デリケートゾーンのニキビについて徹底解説します。
- デリケートゾーン(陰部)にニキビができる原因
- ニキビ以外の病気について
- デリケートゾーン(陰部)のニキビの対処法
- 病院での治療
デリケートゾーン(陰部)のニキビを予防するには、まずは原因からチェックしていきましょう。
1.デリケートゾーン(陰部)にニキビができる原因
デリケートゾーン(陰部)は、毛穴や皮脂腺が多く非常に蒸れやすく、また角質が薄い場所です。そのため、ニキビができやすい要因が揃っているといえます。
1-1.毛穴や皮脂腺が多い
デリケートゾーンは、体の中でも毛が濃く毛穴や皮脂腺が多い場所です。
ニキビは毛穴のある場所にできるため、デリケートゾーン(陰部)の毛穴に皮脂が詰まるとニキビが発生します。
1-2.ナプキンやおりものシートによる蒸れ
ナプキンやおりものシートは、通気性が悪くデリケートゾーン(陰部)が蒸れやすくなります。
汗や皮脂の分泌を促し、毛穴が塞がることでニキビの原因になってしまいます。
1-3.経血や汗による雑菌の繁殖
月経時の経血やおりもの、汗がデリケートゾーン(陰部)の皮膚に付着し、雑菌が繁殖すると肌の機能が低下しやすくなります。
経血や汗そのものではニキビになりにくいですが、デリケートゾーン(陰部)の皮膚のバリア機能が低下することで、ニキビにつながることもあります。
1-4.下着やガードルによる摩擦や締め付け
顔は常に外気にさらされていますが、デリケートゾーン(陰部)は常に下着と接触して摩擦による刺激を受けています。
特にきついガードルやタイツなどによる股間の締め付けによる刺激と蒸れで、ニキビが発生しやすくなります。
2.デリケートゾーン(陰部)のできものはニキビではない可能性も
デリケートゾーン(陰部)には、一見ニキビのように見えるけど、ニキビではない別の皮膚病や感染症である可能性があります。
ニキビだと思って放置していたらどんどんひどくなるケースもあるため、早めの受診をおすすめします。
2-1.毛嚢炎(毛包炎 / もうほうえん)
毛嚢炎は毛包炎ともいわれ、毛穴の毛包に汚れや細菌が入り炎症を起こした皮膚病です。
ニキビはアクネ菌の繁殖によるものですが、毛嚢炎はマセラチア菌や他の細菌が繁殖して起こります。
アンダーヘアの処理をしたあとにできやすく、カミソリやシェーバーで角質層に刺激を与えることが原因のひとつと考えられます。
毛嚢炎は、抗菌薬の塗り薬や飲み薬による治療がおこなわれ、膿が溜まったときは切開して膿を出す処置をおこないます。
2-2.粉瘤(ふんりゅう)
粉瘤とは、皮膚の下にできる良性の腫瘍で、粘液や老廃物が溜まった状態のおできのことです。痛みやかゆみなどはありませんが、細菌が感染すると赤く腫れて痛みが伴う場合があります。
粉瘤はセルフケアでは治せず、嚢腫の摘出治療がおこなわれます。
2-3.性器ヘルペス
性器ヘルペスは、性行為によってできるヘルペスで、陰唇や膣周辺に赤いブツブツや水ぶくれができる感染症です。
男女とも起こるため、パートナーの治療も必要になり、男性は泌尿器科、女性は婦人科で治療できます。
抗ウイルス薬の飲み薬や塗り薬で治療をおこないます。性器ヘルペスになった状態で妊娠すると、母子感染のリスクを回避するために帝王切開での分娩をおこなうことが多いです。
2-4.梅毒
梅毒とは、梅毒トレポネーマという細菌により起こる感染症です。主な感染経路は性行為によって起こりますが、感染者の体液、血液に触れることで感染する場合もあります。
梅毒に感染すると、3週間ほどの潜伏期間を経て、外陰部に硬いイボのようなものができます。感染から数か月経つと、全身に発疹や脱毛症状が現れ、数年〜数十年経つと心血管や神経にも異常が現れてきます。
軽度であれば内服治療、数年を超え心臓や神経に症状が出た場合は点滴治療がおこなわれることが多いです。
2-5.尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマとは、ヒトパピローマウイルスに感染して起こる、陰部にイボのようなブツブツができる病気です。
主に性行為により感染し、潜伏期間が長く3週間〜8か月を経て、複数の突起が多発します。
塗り薬、凝固療法、凍結療法、レーザー治療などがおこなわれます。自費診療が主流のレーザーですが、感染症の治療のため保険診療で治療できます。
2-6.性器伝染性軟属腫(水いぼ)
性器伝染性軟属腫は水いぼといわれる、ウイルス性の感染症です。
1〜2mm程度のくぼみがあるイボができるのが特徴で、主に幼児に多い感染症ですが、大人は性行為で感染する場合が多いことから性器伝染性軟属腫とよばれています。
自然に治ることが多いですが、治らない場合は、腐食剤、レーザー治療、凍結療法で治療します。
2-7.真珠様小丘疹(しんじゅようしょうきゅうしん)
真珠様小丘疹とは、デリケートゾーン(陰部)に小さなイボができる症状です。病気や感染症ではないため、特に治療は必要ありません。
見た目が気になる場合は、レーザー治療や電気メスで除去できます。
2-8.バルトリン腺嚢胞・膿瘍
バルトリン腺嚢胞・膿瘍とは、膣口の左右にあるバルトリン腺が詰まり、嚢胞や膿瘍ができる病気です。
嚢胞が大きくなると、腫れたり違和感を生じたりすることがあります。嚢胞が感染を起こした状態が膿瘍といわれ、痛みや腫れ、赤みが生じます。
抗菌薬の飲み薬や膿の排出、嚢胞の切除などの治療がおこなわれます。
2-9.フォアダイス
フォアダイスとは、デリケートゾーン(陰部)にできる白いブツブツのことです。男性に多いですが、女性の場合は小陰唇に現れます。
病気ではないため治療は必要ありませんが、見た目が気になる場合は除去手術がおこなえます。
2-10.疥癬(かいせん)
疥癬とは、ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生して起こる病気です。
デリケートゾーン(陰部)に赤いブツブツができ、かゆみを伴うのが特徴です。感染経路は性行為以外に、衣類や寝具などでも感染します。
塗り薬や飲み薬による治療がおこなわれます。
3.デリケートゾーン(陰部)のニキビの対処法
デリケートゾーン(陰部)にニキビができたら、トイレのたびに刺激を感じたりかゆみが生じたりして非常に気になるものです。
ここからは、自分でできるデリケートゾーン(陰部)のニキビの対処法をお伝えします。
3-1.デリケートゾーン(陰部)のアンダーヘアの処理を控える
VIOの脱毛が一般的になりつつある今は、日常的にアンダーヘアの処理をしている人もいるでしょう。しかし、デリケートゾーン(陰部)にニキビができているときは、アンダーヘアの処理をするのを控えることをおすすめします。
特にIライン周辺は、角質層が薄くカミソリで剃ると角質層が薄くなり、肌のバリア機能が低下してしまいます。また、浴室に保管してあるカミソリは、菌が繁殖しやすく炎症を起こす可能性があるため注意が必要です。
処理をする場合は、カミソリよりも電気シェーバーのほうが肌あたりがやさしいため、どうしても処理したい人は電気シェーバーのほうがいいでしょう。
3-2.デリケートゾーン専用ソープを使用する
通常のボディソープは、デリケートゾーン(陰部)に使うと洗浄力が強すぎる場合があります。特に月経時の肌状態が不安定なときには、ヒリヒリしたり浸みたりした経験はありませんか?
皮膚が薄いデリケートゾーン(陰部)は、デリケートゾーン専用のソープを使用するとニキビへの刺激が軽減されます。やさしい洗浄成分で汚れをオフしながらもしっとりと洗えるソープがおすすめです。
シャンプーや体を洗ったあと、最後にデリケートゾーン専用ソープでやさしく洗うと、他の洗浄成分の残留も防げます。
3-3.布ナプキンを使用する
月経中に使用するナプキンは、経血が漏れないように作られているため通気性が悪く蒸れやすいです。
蒸れや経血による雑菌の繁殖で、デリケートゾーン(陰部)が肌荒れするとニキビが発生しやすくなります。
ナプキンは毎月1週間前後使用するため、日にちが長くなるほどデリケートゾーン(陰部)には負担がかかります。
ニキビができている人やできやすい人は、布ナプキンの使用や、デリケートゾーン(陰部)にあたる部分が肌にやさしい素材で作られているナプキンの使用を検討してみてください。
普段からおりもの用シートを使う人は、常に蒸れた状態になりがちなので、おりもの用の布ナプキンだと蒸れが軽減され、ニキビの予防につながります。
3-4.通気性の良いショーツを着ける
おしゃれなショーツや、ブラジャーとセットのショーツを着けると気分が上がるものです。しかし、サテンやナイロン素材はデザイン性に優れたものが多い反面、通気性が悪くデリケートゾーン(陰部)のニキビにはおすすめできません。
コットンやシルク素材のショーツは通気性が良く、肌あたりがやさしいためニキビ予防に期待できます。
シルク素材のショーツは、通常のショーツよりも価格が少し上がりますが素敵なデザインのものが多く販売されているので、肌へのやさしさとおしゃれの両天秤が叶います。
3-5.ガードルや股間を締め付けるものを着用しない
股間を締め付けるガードルや、股間へのあたりが強いボトムは摩擦の刺激により、ニキビやおできの原因になります。ショーツ+ガードル+タイツ+パンツだと4重になり、通気性も悪くニキビができやすい環境を作ってしまいます。
きついガードルや股間を締め付けるボトムを着用しないことも、デリケートゾーン(陰部)のニキビ予防につながります。
ガードルをどうしても着用したいときは、ショーツと一体型で柔らかい素材のものがおすすめです。
3-6.自己判断で市販の薬を使用しない
デリケートゾーン(陰部)のニキビは、自己判断で市販の薬を使うことはおすすめしません。特にIゾーンや粘膜へ使用できるものかどうかの判断が難しく、ニキビでない可能性もあるからです。
薬を使用する場合は、病院で処方されたものを使うようにしましょう。
4.病院で治療を受ける場合
病院でデリケートゾーン(陰部)のニキビの治療をする場合、何科に行けばいいのか、どんなことをするのか非常に気になるところです。
「デリケートゾーン(陰部)のニキビで病院に行く」のは抵抗があるかもしれませんが、他の病気の可能性もないとはいえないため、受診をおすすめします。
4-1.何科を受診すればよい?
受診をする場合は、婦人科か皮膚科になりますが、患部を見せないと診察ができないため婦人科がおすすめです。皮膚科でも診察はできますが、皮膚科でデリケートゾーン(陰部)を見せるのはなかなか勇気がいりませんか?
実際に婦人科には、デリケートゾーン(陰部)のニキビだけでなく、かゆみ、かぶれ、性交痛、尿漏れなどさまざまな診察をおこなっています。
患者の免疫力や女性ホルモンのバランスなども影響している場合があるため、婦人科を受診しましょう。
4-2.診察の流れ
婦人科に行くと、初診の場合は事前に細かく記載する用紙を渡されることが多いです。
- 症状
- いつから
- 出産経験の有無
- 婦人科の診察の有無
- 生理周期
など、診察前に記載してから診察をおこなうクリニックがほとんどです。
婦人科には診察台があり、下半身部分にはカーテンで仕切られています。パンツを脱いで診察台に上がると足を乗せるところがあります。
診察時には足を大きく開かれるため、初めての人は抵抗を感じるかもしれません。この診察で治療法や処方が決まるため、勇気を出して診察してもらいましょう。
また、症状によっては検査が必要になってくることもあります。
感染症の場合だと、パートナーの治療も必要になってくるケースがあり、男性は泌尿器科の受診が必要です。
4-3.処方薬
薬の使い方や飲み方の説明を受け、症状に合った薬が処方されます。
普段服用している薬がある場合は、必ず医師に伝えて併用しても大丈夫かどうか確認しましょう。
5.まとめ
デリケートゾーン(陰部)のニキビは、見た目だけでは判別が難しく、別の病気の可能性もあるため、なかなか治らない場合や不快な状態が続くときは受診することをおすすめします。
自然治癒や放置可能な症状もありますが、タオルや寝具の共有で感染が広がるケースも考えられます。
自分や家族、パートナーを守るためにも、自己判断は避け適切な治療を受けましょう。