ブラジル・中国ビジネス委員会(CEBC)は最新の研究報告書で、2024年の中国のブラジル向け直接投資が前年比2.1倍の42億ドル(約6170億円)となり、中国にとってブラジルは英国とハンガリーに続く第3位の投資先に躍進し、欧州以外の国でトップに立ったと明らかにした。

報告書によると、中国企業のブラジルでの投資は石油や電力など従来のエネルギー分野から新エネルギー車(NEV)、科学技術、サービス業などの新興分野に広がりつつある。

24年の中国企業による投資案件は39件と史上最多を記録し、投資先の分野も多元化が進んだ。

ブラジル開発・産業・貿易・サービス省産業開発・イノベーション・貿易・サービス局のウアラス・モレイラ局長は、中国からの資金はブラジル製造業の競争力向上につながるが、それよりも重要なのは投資を現地の生産チェーンに組み込み、地元の雇用と産業の高度化を促進することだとの認識を示した。同時に、サプライチェーン(供給網)におけるコストの高さ、複雑な税制、厳格な労働法により、多くの中国企業がブラジルでの事業運営で課題に直面していると指摘した。

報告書の主要作成者、トゥリオ・カリエロ氏は、中国企業の対米投資は減少を続け、24年は22億ドル(約3230億円)にとどまったのに対し、対ブラジル投資は急速に拡大していると強調した。報告書では、中国企業が事業の布陣を米国からブラジルを含む新興市場へと急速に移しつつあるとの見方を示した。

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一方、中国資本が急速に流入しているにも関わらず、米国が依然としてブラジルにとって最大の投資元国であることも取り上げ、24年の米国のブラジル向け直接投資は85億ドル(約1兆2500億円)に上ったと明らかにした。15~19年の中国企業による大型石油・エネルギープロジェクトへの投資が年平均66億ドル(約9700億円)だったのと比べれば、中国の対ブラジル投資は増加したものの、史上最高水準には及ばないと指摘した。【新華社サンパウロ】

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