中国の自動配送ロボット大手・雲迹科技(Yunji Technology)は10月16日、香港証券取引所に上場した。サービスロボット分野としては初の上場企業となる。
世界トップシェアのホテルロボ
2014年に北京で設立された雲迹科技は、ロボット本体や機能モジュール製品の開発・販売、AIを活用したデジタル運用・サブスクリプションサービスを主力事業としている。
2024年の売上高は2億4500万元(約51億円)で、2022~2024年の年平均成長率は23.4%。2025年1~5月の売上高は前年同期比18.9%増の8830万元(約18億円)で、粗利率は24.3%から43.5%へと大幅に改善した。
ホテル向け配送ロボットは中核事業であり、調査会社フロスト&サリバンによると、雲迹科技は同分野で13.9%の世界シェアを持ち、2位から5位企業の合計を上回る。2025年5月末までに、世界で約3万4000カ所のホテルに導入されている。2024年には1日あたりで最大3万6000台のロボットが稼働し、年間に約5億回の配送サービスを提供したという。
雲迹科技の配送ロボットホテル依存から脱却、多様なシーンへ
雲迹科技は、ホテル分野に依存しない事業構造を目指し、ほかの業種への事業拡大を図っている。
独自の「1+N+AIoT」モジュール設計を採用し、ベースロボットに機能モジュールを組み合わせることで拡張性を高め、1台のロボットが複数の機能を簡単に取り外しできるようにした。この設計により、同社のサービスロボットは世界150カ所以上の施設に導入されており、セキュリティ巡回、病院での物資搬送、工場作業支援など、用途の多様化が進んでいる。
2025年前半には、ホテル以外の分野の売上構成比が8.7%に上昇した。そのうち、商業ビル、医療機関、工場からの収益はそれぞれ123万9000元(約2570万円)、105万2000元(約2190万円)、55万5000元(約1150万円)で、単一市場への依存脱却が進んでいる。
サブスクモデルに転換
雲迹科技は今回の上場で得た資金のうち、60%を研究開発強化、30%を国内外の事業展開、残り10%を運転資金に充てる計画だ。
すでに550件の特許を取得し、出願中の件数は600を超えた。
自社開発の運営システム「HDOS(Hospitality Digital Operation System)」では、累計2億3000万人分のサービスデータを蓄積し、1日あたりの指令実行数は6億2000万件に達し、膨大な実環境データがアルゴリズムの継続的な最適化を支える。
収益モデルもハードウエア単体の販売からサブスクリプション型への移行。2022~2024年の「リース+サブスク」による収益の年平均成長率は45.5%となり、収益の安定化を進めている。
海外や工場での展開強化
雲迹科技は、香港生産力促進局(HKPC)の「 海外進出サービスセンター(The Cradle)」の支援を受け、香港に子会社「SkyTread Tech」および研究開発拠点を設立し、海外展開に向け準備を開始した。
今後は日本や東南アジア市場への進出を加速し、ホテル向けソリューションを中心に、中国で築いたビジネスモデルを海外で展開する方針だ。
さらに最近では、電子機器製造大手の立訊精密工業(Luxshare)との提携も伝えられており、海外の生産拠点における自動化やインテリジェン化の推進を支援する予定だという。これは、雲迹科技の技術ソリューションが多様な産業・環境に適応可能であることを実証するものであり、「AIエージェント+ロボット」モデルを製造業分野に応用する先行事例となる。
今後、自動車、半導体、バイオ医薬などの高度製造分野にも展開できると見込んでおり、幅広い業界での普及・導入が期待されている。
*1香港ドル=約19円、1元=約21円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)








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