シンガポール政府が人工知能(AI)の普及加速を目的として推進する国家プログラム「AIシンガポール(AISG)」が、戦略を大きく転換したことが分かった。東南アジア言語向け大規模言語モデル(LLM)プロジェクトで、米メタのオープンソースモデルの採用を取りやめ、中国アリババグループのオープンソースモデル「通義千問(Qwen)」のアーキテクチャを採用した。

中国メディア「新京報」が報じた。

AISGが発表した新たなLLM「Qwen-SEA-LION-v4」は11月25日の公開直後、東南アジア言語向けLLMの性能を評価するオープンソースランキングで首位を獲得した。メタの「Llama(ラマ)」に代表される従来のオープンソースモデルは、インドネシア語、タイ語、マレー語といった地域言語の処理能力が十分でなく、現地向けAIアプリケーションの開発効率と性能を大きく制約していた。

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今回の切り替えは、中国発オープンソースモデルの国際的な存在感が一段と高まったことを示している。とくにアリババのQwenシリーズは、2023年に完全オープンソース化されて以降、LlamaやDeepSeekなどの競合モデルを上回る広がりを見せ、世界で最も広く利用されているオープンソースLLMの一つとなった。Qwenシリーズの累計ダウンロード数はすでに6億回を突破したという。

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(36Kr Japan編集部・茶谷弥生)

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