スイスの金融大手UBSはこのほど、世界富裕層の最新動向に関する報告書、「ビリオネア・アンビションズ・リポート2025」を発表した。世界のビリオネア(保有資産10億ドル以上)は前年比8.8%増の2919人、総資産は13.0%増の15兆8000億ドル(約2500兆円)に達した。

アジア太平洋地域のビリオネアは981人増の1036人で、伸びが最も大きく、総資産は11.1%増の4兆2000億ドル(約664兆円)だった。

ビリオネアの投資先を産業別にみると、テクノロジー産業への投資資産は23.8%増の3兆ドル(約474兆円)に達し、テクノロジー産業は消費・小売業とともに、世界で富を最も多く創出する産業となった。

地域別にみると、ビリオネアの63%が北米を一番の投資先とした。割合は24年の80%から落ち込んだ。中国とアジア太平洋地域全体への信頼感の向上を受け、ビリオネアの34%は中国が最大の投資チャンスを得られると回答し、24年の11%から大幅に上昇した。

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UBSウェルス・マネジメント中国地区担当の呂子傑氏は、投資が従来の国内市場から多角的な方向に移行しつつあることを示すと指摘。「ビリオネアの投資見通しをみると、大中華圏(グレーターチャイナ)への投資信頼感が大きく向上している。ビリオネアの34%が大中華圏への今後1年の投資見通しを楽観視し、今後5年では、48%に上っている」と説明した。

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調査は、UBSと国際大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)のデータベースが用いられ、世界の47市場を網羅している。UBSのネットワークを活用し、UBS顧客のビリオネア87人に対するオンライン調査とインタビューも実施した。アジア太平洋地域の対象者は全体の38%を占め、最も多かった。調査は今年で11年目を迎える。

継続した調査は、「ビリオネアが富の蓄積だけでなく、産業の発展動向も示しているからだ」と呂氏は説明した。【新華社北京】

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