TikTokを展開する中国テック大手のバイトダンス(字節跳動)は2月7日、新世代の動画生成AIモデル「Seedance 2.0」を発表した。生成速度の向上に加え、マルチモーダル入力への対応、プロ級のクオリティを実現したことで、発表直後から国内外のクリエイターや業界関係者の間で大きな話題となっている。

Seedance 2.0は、画像・動画・音声・テキストの4種類の入力に対応しており、動画の構図やスタイル、動き、雰囲気を複合的に指定できるほか、映像の一貫性や複雑なクリエイティブ表現、細部の制御性も大きく向上した。

中でも今回の最大の特徴とされるのが「参照生成」機能だ。映画級の複雑なカメラワークや特定の動きを再現させたい場合でも、長文のプロンプトを作成する必要はなく、参考となる動画をアップロードするだけで、AIがその動きや演出を学習・再現する。これにより、専門的スキルを持たないユーザーでも高度な表現が可能となり、映像制作のハードルが大幅に引き下げられた。

海外のクリエイターからは早速、好反応が寄せられている。登録者約18万人のYouTubeチャンネル「Theoretically Media」は、これまで中国・快手の動画生成AI「Kling 3.0」を業界の新たなベンチマークと見ていたが、Seedance 2.0の登場は「業界標準を再定義した」と、画面の細部や動きの表現力を高く評価した。

中国国内でも反響は大きい。2月9日には、ゲームサイエンス創業者で「黒神話:悟空」プロデューサーの馮驥氏が自身の体験談を公表。「現時点で最強、他の追随を許さない」と評し、「AIGCの『幼年期』は終わった」と述べた。Seedance 2.0は超高性能でありながら利用の敷居が低く、動画制作の大衆化を一気に加速させるだろうとの見方を示している。

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一方で、懸念も浮上している。

馮氏は「フェイク動画の氾濫や信頼危機を招く可能性もある」と警鐘を鳴らす。「この点こそが今回この投稿をした本当の理由だ」と述べ、「リアルなフェイク動画が事実上誰でも制作可能となり、既存の知的財産制度やコンテンツ審査体制がかつてない衝撃に直面する」と指摘した。

(36Kr Japan編集部)

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