中国海南省三亜市にひときわ目を引く温室が並ぶ。ガラスと鉄骨構造を主体とした温室は従来の温室とは異なり、室内の光や熱を自動で調整し、「思考する温室」に近い。

温室の敷地面積は約150平方メートルで、傾斜の付いた屋根に整然と設置された太陽光パネルが、温室の「エネルギーの心臓部」となっている。日常的な稼働に必要な電力は、基本的にこれらのパネルで賄われ、追加の電力供給をほとんど必要としない。太陽光パネルは固定式ではなく、太陽を追尾する装置に取り付けられているため、太陽の位置に合わせて自動でパネルの向きを調整し、発電効率を最大化すると同時に、温室内部に十分な自然光を取り込むことができる。

温室内にはトマトやジャガイモ、チャノキなどの作物が整然と並び、すくすくと育っている。これらの作物はすべて可動式の栽培ラックに置かれているため、どの鉢にも十分な日光が行き渡る。曇りや雨の日、夜間には、作物の「頭上」に設置されたLED補光ランプが点灯する。この省エネ・低発熱の照明は、作物の生育サイクルを最大限に短縮し、育種効率を高めることができる。

植物が水を欲している時も、人が水やりをする必要はない。温室内に設置された湿度センサーがリアルタイムでデータを収集し、中央処理装置へ送信、システムが作物の生育段階に応じて、水分や養分を補充すべきか自動で判断する。水と肥料は設定された比率で混合され、作物の位置へ直接送られる仕組みで、必要な分だけ供給される。

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中国農業科学院国家南繁研究院のスマート化・デジタル化南繁技術チームの首席専門家、張建華氏は、このスマート温室の責任者を務めている。

プロジェクトについて張氏は、2023年に設計を始め、昨年8月から運用を開始したと紹介。すでに複数の作物育種チームと試験を行い、良好な成果を上げていると述べた。

張氏は、スマート温室は作物の「保育室」のようなもので、光周期を精密に制御できるほか、作物の開花を早めるよう誘導することも可能だと説明。「これにより世代数を増やし、育種サイクルを30~50%短縮できる。精密な環境管理によって、作物の受粉率も高められる」と述べた。今後については、さまざまな作物に適した人工知能(AI)モデルへと調整を進め、より高い効果を生み出していきたいとの考えを示した。【新華社三亜】

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