中国湖北省武漢市のクリエーター、楊涵涵さんは3月初め、自分たちが1カ月前に公開した人工知能(AI)短編ドラマ『霍去病(かく・きょへい)』が海外のSNSで話題になっていることを知った。

AI技術を用いて制作したこのドラマは、2000年以上前の漢王朝時代に漠北(ゴビ砂漠の北)へ遠征して匈奴(きょうど)と戦った若き将軍、霍去病を鮮明かつ迫力ある映像で現代によみがえらせた。

多くの海外ネットユーザーが「すごすぎる」「AIを使った過去最高の戦闘シーン」と驚きを示し「主人公は漢王朝の『フラッシュ』(米映画の主人公)、『ゴッド・オブ・ウォー』(米国発ゲーム作品)だ」「中国のAI映像の制作技術は驚嘆に値する」と称賛。日本のメディアも「創造性と技術がうまく結びつけば、個人や小人数でも大作レベルに迫れることを証明した」と評した。

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作品は海外で人気が高まると中国国内でも話題になり、検索ランキングの上位に浮上した。視聴した国内のネットユーザーからは「ストーリーではなく、リアルさに背筋がゾクッとした」などのコメントが寄せられた。

砂漠の突撃で舞い上がる砂塵、戦馬のいななきが生む緊張感、さらには眉をひそめる主人公のわずかな動きまで十分に作り込まれ、「AI映像は粗悪」という多くの人の固定観念を打ち破った。

製作に巨額の費用を投じたわけではない。わずか3人のチームが48時間の作業時間と約3000元(約6万9000
円)のAI処理費用だけで作り出した。

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「48時間で4分超の映像というのは業界では普通のスピード」。楊さんは、AI技術の発展と進化が中国の映像制作と文化の海外進出のあり方を再定義しつつあると語った。

デジタルマーケティング会社「DataEye」が「漫劇」(漫画やアニメ、AI生成による短編動画)についてまとめた報告書(2025年版)によると、25年の中国漫劇市場の総再生数は700億回を超え、中でもAI生成作品の伸びが著しく、年初にほぼゼロだった市場シェアは年末に10.88%まで急拡大した。

戦争シーンのような大掛かりな撮影はこれまで、莫大なコストがかかり、多くのスタッフと長い制作時間を要した。今では、小さな会社でも創造力とアイデアがあればAIを使って大作級の映像を完成させることができ、「中国の物語」をより低いハードル、より速いスピードで世界に届けることが可能になった。

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「私たちの夢の実現、つまりAIを使った本格的な劇場映画の製作は技術的に道半ばといえる。しかしAIの本当の価値はクリエーターを煩わしい反復作業から解放し、創造と物語に時間を振り向けられるようにすることにある」と率直に語る楊さん。技術はあくまで道具であり、人間の感情や美意識、発想に取って代わることはできないと常に考えている。

楊さんは「AIの助けがあれば、心に物語を持つ人は誰でも映画作りの夢を実現できる。今が最高の時代だと思う」と語った。【新華社武漢】

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