近年、日本のスタートアップシーンは東京を中心に右肩上がりの成長を続けている。その傍らで、独自の進化を遂げながら、いま熱い視線を集めているのが関西圏だ。
大阪・京都・神戸を軸にした関西圏は、日本第2の都市圏であり、世界的にも有数のメガリージョンの一つだ。3月11日に大阪で開催されたスタートアップイベント「J-Startup KANSAI 2026」は、関西が「世界のディープテック拠点」へと飛躍する意志を象徴するイベントとなった。本稿では、そのハイライトを紹介する。
日本のスタートアップ政策は“裾野拡大”から“価値創出”へ
イベントの冒頭で、経済産業省近畿経済産業局長の武田家明氏は、日本のスタートアップ支援政策が新たなフェーズに入ったことを強調した。
政府は2022年11月に「スタートアップ育成5か年計画」を策定し、投資額を2027年度に10兆円規模に拡大するとともに、将来的にユニコーン100社、スタートアップ10万社の創出を目標に掲げている。これにより、日本をアジア最大のスタートアップハブ、世界有数のスタートアップ集積地とすることを目指している。
武田氏は、この目標に向けて「資金供給の拡充、大学発スタートアップの創出、オープンイノベーションの促進など、環境整備に努めてきた結果、全国のスタートアップ企業数は、2021年当時と比べて約1.5倍の2万5千社へと拡大した」と成果を説明した。
さらに、これまでの「裾野の拡大」に加え、今後は「高さ(企業価値)の創出」へと重点を移す方針も示した。「重点支援企業に対しては、従来の支援に加え、より高い価値創出につながる新たな支援策を企画している」と述べた。会場では、その象徴となるディープテック企業など19社の選定式も行われた。
世界トップクラスの「新興エコシステム」目指す
関西広域連合 広域産業振興局長の片伯部真由氏は、データを示しながら関西のポテンシャルを語った。
関西広域連合は2府6県4市で構成され、圏域人口は約2200万人。スタートアップエコシステムの情報発信をはじめとした広域での産業振興に取り組んでいる。
世界的なスタートアップ調査機関であるStartup Genomeのランキングでは、関西は3年前まで圏外であったが、ここ数年で急浮上している。有望な成長都市を格付けする『新興エコシステム』部門では、一昨年の81~90位圏内から、昨年は71~80位圏内へと順位を上げ、世界からの注目度が高まっている。
この勢いをさらに加速させるのが、新ブランド「DeepTech Frontier Kansai」だ。京都大学や大阪大学をはじめとする世界屈指のアカデミア、そしてニッチ分野で世界シェアを持つ中小・中堅企業の技術力を集結し、関西ディープテックの魅力をグローバルに発信する戦略を打ち出している。
現在、大学・研究機関が連携するスタートアップ創出コンソーシアム「KSAC」をはじめ、複数の支援組織が活動をしているが、そうした情報を収集し、関西のディープテックの動向を一元的に把握できる環境の整備を目指しているという。さらに、関西の認知度を高めていくべく、欧州最大級のスタートアップ展示会「Viva Technology 2026」などへの出展も予定している。
GSE 2026は関西スタートアップの国際展開をどう加速させるのか
昨年、大阪・関西万博会場では、ディープテック領域を中心とする国内外の起業家・投資家等を招聘したスタートアップイベント「Global Startup EXPO 2025」が開催された。
その成果を継承する形で、第2回となる「GSE 2026」の開催も予定されている。国家戦略技術領域として位置づけられている先端技術を軸に、京阪神地域を中心としながら、全国のスタートアップ及び各エコシステム拠点における産官学金の多様な関係者と連携して取り組む構想だ。
今回のイベントでは、『GSE 2026 で加速する、関西スタートアップのグローバル展開』と題したセッションも行われ、GSEの現場を知る以下の登壇者が、関西ディープテックの現状や今後の国際展開の方向性についてトークを行った。
・株式会社OOYOO 代表取締役/大谷 彰悟 氏
・独立行政法人日本貿易振興機構 イノベーション部 スタートアップ課 課長/ 牧野 直史 氏
・株式会社神戸大学キャピタル 代表取締役 マネージングパートナー/水原 善史 氏
・関西広域連合(ファシリテーター)/玉城 理恵 氏
4名の登壇者の議論によれば、GSE 2025の最大の収穫は、関西に眠るポテンシャルが世界水準であることを実証した点にありそうだ。大谷氏は「万博の熱気もあり、海外のキーパーソンが次々とブースを訪れた。
特に印象的だったのは、海外勢の反応だ。玉城氏は「海外投資家から『これほど質の高いシーズが日本に眠っていたのか』と驚きの声が上がった」と明かす。この「驚き」は、これまで十分に言語化・可視化されてこなかった関西の技術力が、国際的な投資対象として明確に射程に入ったことを示唆している。
一方で、世界的な資金調達環境の冷え込みという逆風も無視できない。水原氏は「特にエネルギー分野などでは世界的に調達が厳しい状況にある」と指摘する。しかし、その逆風下でも関西が優位性を保てる理由は、その重厚な産業ポートフォリオにある。水原氏は、製薬企業を中心とした高度な研究環境や、厚い製造業の基盤が関西に集積している点に触れ、「ディープテック・スタートアップを育成するポテンシャルは極めて高い」と分析。実業に根ざした関西地域のエコシステムの強みを強調した。
GSE 2025や昨年の関西万博でも注目を集めた自動運転、空飛ぶクルマ、iPS細胞といった次世代技術のプロジェクトは、関西が単なる研究拠点に留まらず、具体的な社会実装のフィールドであることを世界に示した。関西のスタートアップにとって、この地域で積み上げた社会実装のデータは、海外市場へ進出する際の強力なエビデンスとなる。
2026年秋、大阪で開催される「GSE 2026」は、関西のディープテック・スタートアップが世界と本格的に接続するための重要な結節点となるだろう。単なる交流の場を超え、国内プレーヤーが海外投資家やパートナーと直接交渉し、グローバル展開の道筋を確定させる役割を担う。海外展開を見据える起業家や投資家にとって、GSE 2026をはじめとする最新動向のキャッチアップは、戦略を具体化させるための重要な鍵となりそうだ。
(文:山谷剛史、編集:36Kr Japan編集部)








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