
このペースで推移した場合、通年では50件前後に達する見込みであり、過去最多だった2024年の40件を大きく上回る可能性が高いとしている。少子化による生徒数の減少に加え、都市部では競争の激化やデジタル投資負担の増大が倒産増加の一因となっている。
学習塾の倒産件数 推移
小規模倒産が9割超 負債1億円未満が35件を占める
倒産した37件のうち、負債1億円未満の小規模倒産が35件と大半を占めた。1億円以上の倒産は2件で、いずれも大規模予備校事業者だった。1件目は、予備校のフランチャイズ事業を展開していた「CS管理会社」(旧商号:松尾学院、兵庫県、3月特別清算)で、負債額は約7億円。2件目は、大学受験予備校「ニチガク」を運営していた「日本学力振興会」(東京都、1月破産)で、負債は約1億7,100万円だった。
東京都・大阪府で倒産が集中 都市部の中小事業者が苦境に
地域別にみると、倒産件数が最も多かったのは「東京都」で10件、次いで「大阪府」が7件となった。都市部の中小事業者の倒産が顕著に増加しており、競争環境の厳しさが浮き彫りとなっている。帝国データバンクによると、少子化を背景に学習塾間の競争が激化しており、オンライン授業専門の事業者や学習用アプリ運営企業の台頭が影響しているという。業界関係者は、「業歴の長い塾でも、生徒獲得のためにオンライン授業やデジタル機器への投資を迫られているが、その結果として借入金が膨らむケースもある」と指摘している。
生徒数の減少が止まらず 少子化が業界構造を直撃
学習塾業界は、少子化による生徒数の減少という構造的課題に直面している。総務省の「人口推計」によると、学習塾の主要な対象年齢である6~18歳の人口は、2019年の約1,405万人から2024年には約1,336万人へと減少しており、この5年間で約5%減少している。少子化が加速するなかで、特に都市圏では生徒の奪い合いが激しさを増している。さらに、講師人材の確保難も課題として深刻化している。人手不足や人件費の上昇も経営を圧迫し、従業員を確保できずに経営を断念するケースも散見されるという。
地方では「身の丈経営」で生き残りも 今後も淘汰の加速懸念
地方の学習塾は、地域密着型の基盤を活かし、身の丈に合った経営で事業を維持する動きが見られる。一方で、大手塾が集中する都市圏では、資本力の乏しい中小規模事業者ほど収益確保が難しく、今後も倒産件数が増加する可能性が高いとみられている。【調査概要】
集計期間:2000年1月1日~2025年9月30日
集計対象:学習塾経営事業者の倒産(法的整理、負債1,000万円以上)
対象件数:37件
<参考>
帝国データバンク『学習塾経営事業者の倒産動向に関する調査』