奥村組と岩手大学、「太陽電池防災シート」の実証試験を開始 再生可能エネルギー創出と斜面防災を両立へ
奥村組と国立大学法人岩手大学は、茨城県つくば市内にある奥村組技術研究所において、ペロブスカイト太陽電池等の次世代太陽電池を貼り付けた遮水シートを試験用の盛土斜面に設置し、発電性能と斜面防災効果を検証する実証試験を開始したと発表した。

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奥村組と岩手大学、「太陽電池防災シート」の実証試験を実施奥村組は、岩手大学理工学部・大河原正文教授が考案した、再生可能エネルギーを生み出す「発電機能」と、雨水の浸透を防ぐ「遮水機能」を併せ持つ「太陽電池防災シート」の開発を進行。


同シートにより、斜面災害対策が必要な箇所を太陽電池の設置場所として有効活用できるため、カーボンニュートラルの実現と防災・減災という、2つの社会課題を同時に解決することが可能となるという。

今回の実証試験は、大河原教授の指導のもと、奥村組技術研究所内に造成した盛土斜面において、フィルム状の「ペロブスカイト太陽電池」(マクニカとの共同実証)と、シリコンベースの「ローラブル太陽電池」(SOELとの共同実証)を貼り付けた遮水シートを設置し、以下の項目を検証するとのことだ。

■検証内容

(1)発電性能の検証:斜面設置時における各太陽電池の発電効率や性能変化の確認
(2)施工方法の確立:斜面への効率的かつ安全なシート設置方法の検証
(3)耐久性の評価:太陽光、風雨、温度変化といった自然環境下でのシートおよび太陽電池の耐久性評価
(4)防災性の検証:シートを設置した場合としない場合の、盛土内の間隙水圧の変化を比較・測定し、雨水の浸透抑制効果を検証

今後、同実証において効率的かつ効果的な設置方法を検証し、斜面だけでなく、その他の傾斜地や未利用スペースへの適用可能性を追求するという。

また、防災インフラの強靭化とカーボンニュートラルの実現を両立するソリューションとして、持続可能な社会の実現に貢献していくとのことだ。
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