約3割が退職代行サービスの「違法リスク」を懸念 サービス利用も「会社から連絡」「退職拒否」などトラブル経験者多数
Wandering Seagullは、退職代行の利用または検討経験のある20代の若手社会人男女を対象に、「退職代行サービスの非弁行為についての認識」に関する調査を実施し、結果を公表した。

■退職代行を選ぶ最大理由は「精神的負担の軽減」、同時に3割がサービス利用時の「違法リスク」を懸念

今回、退職代行の利用または検討経験のある20代の若手社会人男女に調査を実施したところ、「退職代行サービスの利用経験」については、「利用したことがある」55.9%、「検討したことはあるが利用したことはない」44.1%という結果となった。

続いて、「退職代行サービスを利用/検討した理由」について尋ねたところ、「会社へ退職意思を直接伝えることが精神的につらかったから(ハラスメント・人間関係・心身不調など)」が55.5%で最多に。


次いで、「即日退職の希望を自分から伝えるのが難しかったから」29.7%、「上司・会社と話すこと自体が怖かった/気まずかったから」26.6%と続く。

この結果から、精神的な負担や人間関係の問題が退職代行サービスを利用、検討した大きな要因となっていることがわかる。また、「即日退職希望」や「退職に伴う交渉の気まずさ」なども理由として挙げられ、退職を円満に済ませたいというニーズの高まりを示された。

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退職代行サービスの利用経験・退職代行サービスを利用/検討した理由「退職代行サービスを利用することに対してどのような不安や懸念があったか」と尋ねたところ、「業務の引き継ぎができず同僚に負担をかけてしまう」が35.4%で最多に。次いで「会社の人への挨拶ができず関係性が悪化してしまう」33.9%、「サービスに違法リスクがあるかもしれない」26.9%と続く。

退職後の「業務の引き継ぎ」や「人間関係の悪化」を懸念する声が多いことから、退職後の影響を最小限に抑えたいと考える方が多いことがわかった。

また、「法的なリスク」や「社会的な評価」に対する不安もあり、退職代行サービスを利用することに対する心理的な障壁が存在していることが浮き彫りに。

約3割が退職代行サービスの「違法リスク」を懸念 サービス利用も「会社から連絡」「退職拒否」などトラブル経験者多数
退職代行サービスを利用することに対してどのような不安や懸念があったか

■サービス範囲の説明は7割に留まる一方で、トラブル経験者も多数。浮かび上がる“説明不足”の課題

退職代行サービスを「利用したことがある」と回答した人に、「退職代行サービスを利用した際、実際にどのような対応をしてもらったか」と尋ねたところ、「退職意思の伝達(39.3%)」「即日退職希望の伝達(36.5%)」「退職日の希望の伝達(28.9%)」など、「利用者の希望の伝達」が上位に挙がった。

一方で、回答の中には「有給休暇取得について、企業側から拒否された後に『調整』を行ってもらった(9.3%)」といった、民間業者が行うと非弁行為に該当する可能性がある対応も一定数見られた。

本来、弁護士資格を持たない退職代行業者が企業との交渉(条件調整・請求)を行うことは法律で禁止されているが、利用者の約1割が「交渉行為にあたるサポート」を受けたと回答しており、現場レベルでは境界線が曖昧なケースが存在していることが明らかに。

これは、事業者の運用体制の問題、サービス提供側の説明不足、利用者の理解不足など、複数の要因が影響している可能性があると同社は考察している。


約3割が退職代行サービスの「違法リスク」を懸念 サービス利用も「会社から連絡」「退職拒否」などトラブル経験者多数
退職代行サービスを利用した際、実際にどのような対応をしてもらったかでは、「企業との交渉」については事前にどのような説明があったのか、「退職代行サービスを利用する際、“企業との交渉(説得・条件調整)はできず、利用者の希望を伝達するのみである”という説明は事前にあったか」と尋ねたところ、約7割が「説明された(66.6%)」と回答。

また、実際に「退職代行サービスの利用にあたって、トラブルになったことはあるか」と尋ねたところ、「会社から直接連絡が来た(28.9%)」が最も多く、「有給休暇を消化できなかった(26.3%)」「会社から退職を拒否された(19.6%)」と続く。

「会社からの連絡」「有給休暇の消化」や「退職拒否」などのトラブルが多く見られたほか、「退職代行サービスと連絡が取れなくなった」といったトラブルを経験した人もみられ、利用する退職代行サービスの選定やサービス内容など注意が必要であることがわかる結果に。

約3割が退職代行サービスの「違法リスク」を懸念 サービス利用も「会社から連絡」「退職拒否」などトラブル経験者多数
「企業との交渉」について事前に説明があったか・退職代行サービスの利用でのトラブルの有無

■サービス利用者の「非弁行為」の理解不足が明らかに。求められるのは「法的リスクを避けるための説明」

退職代行サービスにおける非弁行為について、どの程度理解しているのか、「退職代行サービスにおいて、非弁行為(法律上、民間業者が行えない行為)となる可能性があることについて、どの程度理解しているか」について質問。

その結果、約8割が「明確に理解している(26.9%)」「ある程度理解している(51.4%)」と回答し、多くの人が、退職代行サービスにおける非弁行為のリスクについて理解していることがわかった。

さらに、「退職代行サービスにおいて、『交渉(説得・条件調整)』と『伝達(希望をそのまま伝える)』の違いをどの程度理解しているか」について尋ねたところ、約7割が「明確に理解している(20.0%)」「ある程度理解している(50.8%)」と回答した。

約3割が退職代行サービスの「違法リスク」を懸念 サービス利用も「会社から連絡」「退職拒否」などトラブル経験者多数
退職代行サービスにおける非弁行為について、どの程度理解しているのか最後に、「退職代行サービスを選ぶ際、どのような点を重視したいか」と尋ねたところ、「価格が安い34.7%)」が最も多く、「弁護士監修である(33.7%)」「退職成功率が高い(31.0%)」という結果に。

また、「非弁行為を行わない」といった点を重視したいという人も一定数おり、法的リスクを避けたいという利用者のニーズを反映していると同社は考察している。

約3割が退職代行サービスの「違法リスク」を懸念 サービス利用も「会社から連絡」「退職拒否」などトラブル経験者多数
退職代行サービスを選ぶ際、どのような点を重視したいか【調査概要】
調査期間:2025年11月28日~2025年12月3日
調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
調査人数:1,034人
調査対象:調査回答時に退職代行の利用または検討経験のある20代の若手社会人男女と回答したモニター
調査元:Wandering Seagull
モニター提供元:PRIZMAリサーチ

<参考>
Wandering Seagull『「退職代行サービスの非弁行為についての認識」に関する調査
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