■2025年の「農業」の倒産は過去最多を更新 初の80件超え
2025年に発生した「農業」の倒産(負債1,000万円以上、法的整理)は、前年比7.9%増の82件となった。2000年以降で過去最多となり、初めて80件を超えた。負債額合計は373億8,700万円で、前年の182億6,300万円を大きく上回り、2011年(4,524億6,600万円)、2022年(883億1,900万円)に次ぐ、過去3番目となった。
業種細分類別では、野菜類の栽培および出荷を手がける「野菜作農業(きのこ類の栽培を含む)」が28件となり、過去最多に。猛暑や豪雨災害の影響により、野菜の不作や品質の悪化で販売価格が低下、収益性の悪化を招いたことが、倒産増の一因となったという。
2024年に過去最多の6件となった「米作農業」は1件減少し5件だった。猛暑による米不作の影響はやや落ち着いたものの、代表者の病気・死亡に伴い、事業継続を断念する企業もあったとしている。
近年は、最新技術を駆使した「スマート農業」を導入する事業者もあるが、12月12日に民事再生法の適用を申請したサラ(岡山県笠岡市)は、太陽光利用型設備を用い、国内最大級の菜園を運営していた。設立5年で黒字化を達成したものの、その後猛暑の影響で野菜の生産量は伸び悩み、設備投資分の借入金返済が重荷となり、負債額は約157億円にまで膨らんだ。
「畜産農業」では、乳牛を飼育し生乳の生産を行う「酪農業」が10件と過去最多を更新。7月24日に民事再生法の適用を申請したファーマーズホールディングス(岡山県倉敷市)とその関係会社が10件中7社を占めた。
また、「肉用牛生産業」は2024年の3件から5件増加し8件となった。物価高に伴い豚肉や鶏肉に比べ、一般家庭での牛肉の消費は伸び悩み、需要が低下しているため、コスト増に対して販売価格への転嫁が追い付いていない。業界関係者は「国外では和牛の需要が高いため、海外向けの販売ルートを確保できる企業が生き残るだろう」としており、今後も淘汰が進むとみられる。
同社は、いずれの業種においても、倒産増加の背景には価格転嫁の難しさがあると分析した。農産物や畜産物は市場価格の影響を受けやすく、肥料や飼料などのコスト上昇と必ずしも連動しない構造があるという。
「農業」の倒産動向
■地域別では九州が全体の28%を占める
地域別では、「九州」が23件と全体の28.0%を占めた。九州では、個人農家が集まり法人化する動きが進んでおり、九州農政局によると、2025年の農業法人数は2020年比で6.8%増加している。法人化により取引条件の改善や仕入れコスト削減といった利点がある一方、猛暑や豪雨、病害などの外部要因で収益性が悪化し、結果として一定数が淘汰されたことが倒産増の要因とみられるとしている。
また、「施設野菜作農業(きのこ類の栽培を含む)」では、全8件のうち3件が九州で発生した。施設新設時に補助金を活用する例もあるが、短期間での収益化が難しく、先行投資を回収できないまま資金繰りが行き詰まるケースがみられたと分析している。
【調査概要】
集計期間:2000年1月1日~2025年12月31日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産
<参考>帝国データバンク『「農業」の倒産動向(2025年)』

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