ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月29日放送)に内閣官房参与で外交評論家の宮家邦彦が出演。参議院本会議で可決、成立した第3次補正予算について解説した。
2021年1月28日、会見する菅総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202101/28bura.html)
第3次補正予算が成立~単年度予算で過去最高
新型コロナウイルス感染拡大を受けた追加経済対策経費19兆1761億円を盛り込んだ、2020年度第3次補正予算案は、1月28日の参議院本会議で可決、成立した。1次、2次補正を含む2020年度の予算総額は175兆6878億円と、当初予算の1.7倍ということで、単年度予算では過去最大となっている。
宮家)コロナ禍ですので仕方ないですよね。アメリカだってたくさんお金を使っています。バイデン新政権になって、これからもっとお金を出そうとしている。共和党は反対していますがね。でも何もしないと経済が止まってしまいますから、お金を回して、少しでも多くの人に行き渡るようにしないとこうした危機は乗り切れないですよね。財政赤字の問題、均衡もありますけれども、今は先ず「お金を回す」のが道理だと思います。
飯田)このままでは氷河期世代をまたつくってしまう。いまはお金を出して何とかしなくてはいけません。
宮家)そうですね。企業が弱くなってしまったら、人も雇えなくなるという悪循環になりますから。

ホワイトハウスで指名受諾演説に臨むトランプ米大統領(アメリカ・ワシントン)=2020年8月27日 AFP=時事 写真提供:時事通信
コロナ禍において特に厳しい民主主義国家
飯田)各国この悩みを抱えていますね。
宮家)大変ですよ。
飯田)アメリカの場合は政権が変わって、財務長官が承認されて、ようやく経済対策が出ましたが、やはり共和党は反対している。
宮家)共和党の本来あるべき姿は、小さな政府です。ですから、財政赤字を減らすことは基本なのですが、トランプさんはまったくそれをやらずにバンバンお金を使ったのですよ。それはそれで経済をある程度回して株価も上がったのですが、それだけではない。いま心配なのは、株価の問題よりも、アメリカ経済の基礎体力です。これは世界に悪影響を及ぼしますからね。

就任式で宣誓後、手を振るバイデン米新大統領=2021年1月20日、ワシントンの連邦議会議事堂(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社
独裁主義は必ず破綻する
飯田)コロナが始まる前から、民主主義の限界などと言われていた最中で、より弱い部分が曝け出されたという感じもします。
宮家)だからと言って我々は民主主義を否定するわけにはいきませんし、民主主義の目的と独裁主義の目的は違います。独裁主義はいつか必ず破綻するのです。権力は必ず腐敗しますからね。権力を腐敗させないのが民主主義です。その代わり、民主主義には長い目で見ないと結果が出ないという問題がある。それでも、どちらがいいかと言われたら、私は民主主義がいいです。
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