青山学院大学客員教授でキヤノングローバル戦略研究所主任研究員の峯村健司が8月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。突然外相を解任された中国の秦剛氏について解説した。

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中国の秦剛前外相(中国・北京) 撮影日:2023年03月07日  AFP=時事

突然解任された秦剛前外相とは

飯田)中国の外相を解任された秦剛さんについてですが、どうご覧になりますか?

峯村)私は「秦剛研究家」と名乗ってもいいくらい詳しい人間だと自負しています(笑)。秦剛さんの解任について、おそらくいちばん最初にX(旧ツイッター)に書いた1人だと思います。6月にいなくなった段階で、今回の解任を掴んでいました。

飯田)消息としては6月25日が最後でしたね。

峯村)その直後くらいに当時のツイッターで、秦剛氏の解任をにおわす投稿していました。実は秦氏との出会いは15年ほど前にさかのぼります。私が2007年から北京で特派員をやっていたとき、彼とはみっちり会って、「お茶」を飲んでいました。

飯田)「お茶を飲む」というのは隠語ですね。

高圧的だった秦剛氏 ~「トップがどう見ているか」を気にしていた

峯村)ただお茶を飲むわけではありませんでした。最初は「最近は暑いね」とかよもやま話をしながら、いきなり「ところで最近、どうも朝日新聞の論調が変わってきている」という説教が始まるわけです。

飯田)いきなり。

峯村)「朝日新聞の伝統はわかっているか? 日中友好で云々……」という話が始まり、「ああ始まった」と思って私もスイッチを切り替えるのですが、「それに引き換え、どうも最近の峯村さんの報道は違う」というようなことを滔々と言われました。

飯田)続くのですね。

峯村)表面的なメディア対応はうまかったので、外国メディアのなかでは「秦剛さんはいい人だ」と振り返っている人もいます。

飯田)戦狼外交官などと言われましたが。

峯村)しかし、申し訳ないのですが取材が足りません。正直に言うと、非常に高圧的な態度で、やはり怖かったです。一方で、「トップがどう見ているのか」という上の意向をすごく気にしているようにも感じました。

反日・反米の秦剛氏 ~外務大臣になって最初にした仕事は日本のビザ引き締め

峯村)もう1つ感じたのは、心の底から反日、反米、反欧米の意識でした。

飯田)そうなのですね。

峯村)他の報道官、例えば女性の姜瑜さんなどは、スマホを見せながら「実は私は日本が大好きでね」というような柔らかい話をすることがありました。

飯田)実は日本が好きだという人もいる。

峯村)しかし秦剛さんの場合、柔らかい話は1つもないのです。「そもそも日本の歴史問題は」という話をずっとしてくる。中国外務省の知人に聞くと、秦剛さんが外務大臣になって最初にした仕事は2つあって、1つは戦狼外交官だった趙立堅さんをクビにしたことです。

もう1つは、日本人の訪中の「ビザ免除」の停止だったそうです。根っからの「戦狼外交官」だったというのが私の印象です。

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