「報道部畑中デスクの独り言」(第423回)

■都議選、都政を知り尽くした人物が解説

「自民党大敗」「都民ファーストの会(以下都ファ)第一党奪還」「国民民主党、参政党が初の議席獲得」……、これが今回の東京都議会議員選挙のポイントでしょうか。定数127人に平成以降最多となる295人が立候補、物価高対策や子育て政策などが焦点であると同時に、来月(7月)の参議院選挙の前哨戦と位置づけられ、各党の党首らが国政選挙並みの選挙戦を展開しました。

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東京都庁 「知事与党」は過半数を維持した

自民党は都議会会派の裏金事件が響き、選挙前の30議席から18議席に激減。

裏金事件で非公認となった当選者ら4人を含めても22議席にとどまり、過去最低だった2017年の23議席を下回る結果となりました。都ファは選挙前の26議席から31議席に増加、会派から無所属で出馬した1人を含めると32議席で、第一党の座に返り咲きました。

このほか、立憲民主党は12議席から17議席に増加。これに対し、公明党は23議席から19議席に減少、9回連続の全員当選を逃します。共産党も19議席から14議席にとどまりました。一方、国民民主党が9議席、参政党が3議席でともに初の議席獲得。地域政党の「東京・生活者ネットワーク」が1議席、無所属が10議席、広島県安芸高田市の元市長、石丸伸二氏率いる「再生の道」と、日本維新の会は全員落選しています。

ニッポン放送では投開票日の夜、渡辺一宏デスクが開票速報をお伝えしました。解説には元産経新聞編集委員、元東京都知事特別秘書で現在、星槎大学客員教授の石元悠生さんが出演しました。

都議選は本来、都政に関する審判です。小池都政に対しては「是」の判断を下したと、石元さんは分析します。自民党は大敗したものの、自民・都ファ・公明に国民民主を加えた「知事与党」の議席は82議席で、選挙前の79議席より増加し、過半数を維持。

小池百合子知事は選挙戦で60回以上街頭に立ったといい、今回の勝利者と言っても過言ではないでしょう。

また、投票行動の決め手になったのは物価高対策、少子化、子育て政策とみられます。物価高対策について、石元さんは直前に行った大学の講義で、学生から「格安スーパーが“格安”になっていない」という声を聞いたと言います。若年層にも物価高はこたえています。「知事与党」の勝利で、石元さんは、「役所都合ではなく、個人・利用者都合の政策をつくっていくべき。質の向上が見込めるのではないか」と期待します。

■そして、参院選へ。もしかして今後の小池氏は?

一方、都議選はこれまで「国政の先行指標」と言われてきましたが、若干様相が変わってきているというのが石元さんの分析です。都ファはあくまでも東京都の地域政党であり、参院選で都ファの票がどこにいくのか、まだ見えていないとしています。

都議選終わる、参院選への影響は?「仰天シナリオ」も?
通常国会は閉幕 参院選へ……

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第一に考えられるのは国民民主党。もともと都ファと政策連携する関係にあり、3年前の参院選でも都ファの候補を国民民主が全面支援した経緯があります。逆に今回、国民民主の候補に都ファ支持層がどれだけ支援に回るかが注目されます。

しかし、国民民主は山尾志桜里氏擁立をめぐるトラブル「山尾ショック」で政党支持率を下げています。今回の都議選は初議席獲得となったものの、当初「二ケタ」としていた目標には届かず、躍進と言えるかは微妙なところ。影響が懸念されています。

そこに出てくるのが参政党。今回の選挙で3議席を獲得。自民党の「岩盤保守層」の「受け皿」になるという指摘もあり、直近の産経新聞・FNNの合同世論調査では政党支持率が3.9%と前回調査の3倍に躍進。日本維新の会、公明党、共産党、れいわ新選組を上回りました。都議選におけるインターネットの検索件数でも国民民主、再生の道、参政が抜きんでていました。参院選でも無視できない存在になりつつあります。

そして、石元さんは参院選に向け、政党に求められることを次のように総括しました。

「都市部の有権者に対し、説得力をどう高めていくかが試される期間になる。有権者が何に関心を持っているのか、個人の問題が政治の問題になるのではないかという視点で、政党は調査分析を進めるべきだ」

まさに「Personal is Political」ということでしょうか。

さて、最後に気になるのは小池知事の動きです。かつて「希望の党」騒動を起こした経緯もあり、まだまだ国政への野心はあるのかどうか。放送後、石元さんと議論していると、こんな「仰天シナリオ」が飛び出してきました。

「もし、国民民主党が政権入りし、玉木雄一郎代表が首班指名されたら、小池氏は都知事の肩書を残したまま、“副総理格”として入閣する?」

まだまだ「居酒屋トーク」の域は出ないものの、「政界は一寸先は闇」とも言われます。選挙如何でその現実味は果たして……?

(了)

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