スーパーなどで見かける「きくらげ」は、日本で手に入るのは中国産の乾燥きくらげがほとんどで、なかなか生のきくらげを見かける機会がない。そんな中、国内でしかも千葉県で珍しい「きくらげ狩り」ができる農園がある。
乾燥させるために並べられた生きくらげ
ビニールハウスに案内してもらい、中に入ると初めて見る生のきくらげの大きさにびっくり。しかも手で簡単に採れるので、ぷりっぷりの感触に感動。欲しい分だけ収穫して、カゴに広げてハサミでひとつずつ石づきを取って行くと、100グラムずつ個包装をしてくれて購入できるという仕組み。生では約1週間、冷凍すればかなり日持ちをするのでたくさん購入する人も多数だ。
君塚きのこ園の君塚作治さん(中央)とスタッフの皆さん
「君塚きのこ園」を経営する君塚作治さんは、元は鉄道マン。親は代々、ここ大多喜町で農家をやっていたが、君塚さんが初めて国鉄に就職し、サラリーマンとして歩んできた。そして定年を迎えた5年前にきくらげの栽培を始めたという。「あの山の中で何ができるかなと考え、きのこ類かなと思い、その中できくらげは栽培している農家が少ないのと、国産での生産者が少ないという理由で始めた」と語る。
ハウス内では菌床がずらりと並ぶ
「始めた当初は、きくらげは一度にたくさん出来るので、重なったときに収穫する人手が足りないという事や、販売をするルートをなかなか開拓できず、無駄にしてしまうこともあった」とのこと。今では近くの道の駅や農産物販売所などで買うこともできる。
君塚さんのこだわりは、今も湧き出ている地下水で育てること。その弱アルカリ性の還元水で1日に3回、手作業で丁寧に与えるほかは農薬も使用していない。それで肉が厚く、コリコリした食感の生きくらげができる。
菌床には肉厚で大きなきくらげが育つ
またこの場所は山の中にあるので日当たりは決して良くはない。朝、日光が当たって昼すぎには日陰になる。その環境の方が栽培に適しているのと、きくらげは換気を良くしないと中で二酸化炭素が充満して、形が悪くなってしまうくらいのデリケート。そのため二酸化炭素の濃度が1000ppmを超えてしまわないように換気にも心がけているとのこと。(健康的な通常の室内のレベルが450~700ppm)
きくらげと豚肉、ピーマンを炒めた料理
今回、君塚さんに簡単にできる生きくらげを使った料理を出してもらった。1分くらい茹でて刻んだキュウリと一緒にポン酢をかけたものや、スーパーで売っているキムチと和えるだけでおつまみやご飯のお供になる。食べてみると歯ごたえも良く、乾燥したものと味は全く違う。
さっと茹でた生きくらげとキムチを和えたもの
生のきくらげ狩りは10月くらいまでは体験できるが今がちょうど旬。今年は「肉厚で大きく、プリプリしてどこにも負けないくらい」とのこと。

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