8月6日(水)、ニッポン放送『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(平日11:30~13:00)に俳優の渡辺哲が生出演。自身の長い俳優人生での数々のエピソードや一人芝居の魅力について語った。
大学時代は柔道部に所属していたが、勉強がおろそかになってしまい、中退。そんな時に下宿先にいた同居人がシェイクスピア・シアターの研究所に在籍しており、「暇なら来いよ」と誘われたのが役者人生のスタートとなったという。最初は制作志望で、演出家にもその旨を話したが、翌日から本読みをさせられてしまい、騙されて2日後には劇場へ通うように。90か月連続公演をやっているうちにやめられなくなってしまったと語った。
長い俳優人生で忘れられない思い出を聞くと、映画のオーディションで呼ばれた会場につくとそこが黒澤明監督の家だったそう。スタッフの指示で待っているとサングラスをかけた監督が入ってきて「渡辺くんは馬に乗れますか?」と最初に聞かれ、正直に乗ったことも触ったこともないと答えると「俳優じゃないですね」と言われてしまった。そこから1時間半向き合って黒澤作品のことを質問して話したのが思い出だという。
一人芝居については寂しいと語りつつも、演じているなかで話している幻の相手役と話す時、いつもは座っているはずなのにふっと立ち上がって歩いてセリフを話しているような錯覚が見えるときがあるという。錯覚に合わせるようについ目線や体が動いてしまい、その瞬間がたまらなくエクスタシーだと一人芝居の魅力を語った。
そんな渡辺が7年ぶりに満を持して一人芝居『カクエイはかく語りき』をこの夏に再演。田中角栄の地元である新潟の柏崎市文化会館で8月23・24日と東京の下北沢ザ・スズナリで9月9日から15日まで上映される。